永田 |
さあ、ドラマを見ない我々が、
きちんと最後まで見終えましたよ! |
糸井 |
ひとまず、お疲れさまでした。 |
ふたり |
お疲れさまでした! |
西本 |
いやあ、ものすっごく久しぶりに、
チャンネルを変えずにドラマを見ましたよ。 |
永田 |
ぼくもです。『池中玄太』以来! |
西本 |
『パパはニュースキャスター』以来! |
糸井 |
いかがでした? |
永田 |
まず思ったのが、
ドラマの1回目は特殊であるということです。 |
西本 |
お、また分析がはじまりましたね。 |
糸井 |
続けてください。 |
永田 |
じつはぼく、年に何度か、
ドラマを見ようとすることがあるんですよ。
ところが、どんだけ話題のドラマを見ても、
1回目の途中でチャンネルを変えちゃうんですね。
「やっぱ、ダメだあ」って。 |
西本 |
わかります。 |
永田 |
けど、『離婚弁護士』を見終えて思ったのは、
それはある意味当然のことなんですよ。
というのは、第1話というのは、
どうしてもいろんなことを
説明せざるを得ないんです。 |
糸井 |
つまり、世界観を提示するわけですよね。 |
永田 |
そうですそうです。
だから、どうしてもそこに、無理が入る。
説明的なセリフも入るし、
自己紹介的な顔見せも入る。
本番のドラマはその先にあるんですよ。
だから、たぶん頭の導入は、
そういうつもりで見たほうがいいんじゃないかと。
というか、そこでつまづいてたらもったいない。
実際、今日の第1話って、
導入を超えて事件に入ってからは
すっと見られましたから。 |
糸井 |
ぼくもそうですね。
正直、最初のあたりは違和感がありました。
ちょっと厳しい意見ですけど、
「つかみ」を大切にするのなら、
最初から事件を始めて、
説明はあとからでもいいんじゃないかと。 |
永田 |
なるほどなるほど。 |
西本 |
ドラマが好きな人たちは
初回はそういうもんだと思って
おおらかに見てるんですかね? |
糸井 |
つまり本をぱっと開いて
「登場人物たち」っていうページを
見ているわけだね。 |
永田 |
そうですね。ドラマに不慣れなぼくらは、
本を読むつもりなのに
「登場人物たち」があったりすると
まどろっこしく感じてしまう。 |
西本 |
なるほど。
糸井さんは、どうでしたか? |
糸井 |
ぼくが強く感じたことはですね、
「出ている人がぜんぶアメリカ人」
だなあ、と。 |
ふたり |
は? |
糸井 |
つまり、天海さんも竹野内さんも、
アメリカ人的なんですよ。
要するに、吹き替えっぽいんですよ。
まあ、それは、
いいとか悪いとかいう話じゃなくて、
ひょっとしたら最近のドラマの
傾向の話かもしれないんだけどね。
ほんとだったら、舞台は
ニューヨークにしたかったんじゃないか、
っていう感じがするんです。
だから、天海さんも竹野内さんも、
すごくアメリカ人的なんです。
その中でひとり、
宮崎美子さんがジャパニーズでしたけど。 |
永田 |
ああ、宮崎さんはジャパニーズでした。
第1話のムードメーカーでしたね。 |
西本 |
お話の流れとしてはどうでした? |
糸井 |
ぼくは間宮(天海さん演じる主人公)
について、こう思いましたね。
「お前がいなければ
上手くいったんじゃないか!」と。 |
ふたり |
(笑) |
糸井 |
もめさせようとしてるじゃないか、と。
だから、今後、ぼくは、
間宮について厳しく見ていきますよ。
「お前についてはちょっと
試させてもらう」と。 |
西本 |
「厳しくいくぜ」と。 |
糸井 |
ええ。あの、ジャパニーズの宮崎さんが
うまく謝ったり怒ったりしてくれたから
よかったものの、間宮だけだったら
たいへんなことになるところでしたよ。 |
永田 |
その間宮像がどうなっていくのか?
っていうのがこの先の展開の
縦軸なんでしょうね。 |
糸井 |
そうですね。
あ、これは天海さんじゃなくて、
間宮貴子という
キャラクターについての話ですからね。
天海さんについて言うと、
調停に行くとき、
エレベーターに乗る前のところで
天海さんが「大丈夫です!」って
励ますところがあるんですけど
あそこの天海さんは天下一品だったね!
要するに根拠なく
「オレがいるから大丈夫」って言える説得力。
あの人の強さを思い出したね、
ほら、あの、誰だっけ、
ジェニファー・ロペスじゃなくて、
「ジュ」みたいな、「ジェ」みたいな、
なんだっけ、ジュリア・ロバーツ! |
永田 |
ジュリア・ロバーツぐらい
スッと思い出してくださいよ。 |
糸井 |
みなさんは気に入った場面はありますか。 |
永田 |
ぼくは屋上の場面の
最後のセリフと演技がよかったです。
陣内さんが衝撃的な事実を告げて、
天海さんが呆然とする。
先に屋上を下りていく陣内さん。
そこで、天海さんが呆然としながらも、
それを教えてくれた陣内さんに
「ありがとう」って言うのが好きでした。 |
糸井 |
あなたは礼儀正しさを重んじますよね。 |
西本 |
番長並の正義感がありますね。 |
糸井 |
永田さんは番長ですよ。 |
西本 |
学ランを着てください。 |
糸井 |
学ランの裏地は春画です。 |
永田 |
もっとマシな裏地にしてください。 |
糸井 |
ところで西本さんは
ちっとも語ってないじゃないですか。 |
西本 |
語りましょう。
ひとつ、言いたいことがあります。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
西本 |
後半に出てきたバー、
「月の涙」ですが、
あそこはオレの店です! |
糸井 |
意味がわからないんですけど。 |
永田 |
あ、わかった。じつはですね、
こないだ撮影の見学に行ったとき、
ぼくら、あのバーのセットを
見てきたんですよ。 |
西本 |
ドラマで竹野内豊さんが座っていた席、
あそこにぼく、座りました!
ぜひここで写真を入れてください! |
永田 |
誰も喜ばないと思うけどなあ。
まあ、いいや、載せときますよ。 |
|
西本 |
ありがとうございます。満足です! |
糸井 |
そういったところですかね、今日は。 |
永田 |
もっとこう、ほかになんかないですか?
なんか、冷静な意見が多かったような。 |
糸井 |
いや、そのへんはそのままいこう。
いきなり夢中になれるわけじゃないんだ。
でかいキャッチャーミットを持った気分で、
大きく構えていこうぜ。
つまり、なんだかんだ言っても、
ドラマ嫌いなんだよ、オレたちは。 |
永田 |
そうでしたそうでした、忘れてました。 |
西本 |
最後までチャンネルを変えずに
通して見たことが稀ですからね。
ふつうだったら今日は、
ニュースに変えたりしながら
見ていたはずですから。 |
糸井 |
いえてますね。 |
永田 |
そんなぼくらが、
どうドラマを見ていくのかということが
この企画の縦軸としてあるわけですね。 |
糸井 |
そのとおりです。 |
西本 |
よっ、まとめ上手! |
糸井 |
夕焼け番長! |
西本 |
学ラン! |
糸井 |
学ランの裏地はつげ義春です。 |
永田 |
もっとマシな裏地にしてください。 |