永田 |
第27回を見終わりました! |
糸井 |
お疲れさまでした! |
西本 |
いや、みなさん、じつは今日、
仕事先で初めて会った人に
ぼく、言われたんですけどね。 |
糸井 |
いきなりなんですか。 |
西本 |
えらく歓迎されましたよ。
「読んでますよ、『新選組!』」って。
その方は初回から観ているらしいのですが、
最初から『新選組!』を
観ていた人たちのあいだでは
「ナイス援軍!」という感じみたいです。 |
糸井 |
ああ、そうですか! |
永田 |
途中参加を歓迎してもらえるのは
うれしいですね。 |
糸井 |
でも、そういうことでいうと
「ほぼ日」にはすでに
新選組の連載はあったんだよ。
ほら、江戸東京博物館のページ。 |
永田 |
つまり、こちらですね。 |
糸井 |
そうです、こちらです。 |
西本 |
「こちらです」って、
どういうことですか? |
永田 |
あとから、そこにリンクを貼るんですよ。 |
西本 |
ああ‥‥。 |
糸井 |
あの連載、思わず読み返したんだけれど、
興味があるいまのほうが
断然おもしろく感じるんだよね。
近藤勇が自分で刺繍したドクロとかさあ。 |
永田 |
奥さんが縫ったといわれてるけど、
江戸博のキュレーターの方は、
「近藤が自分で縫ったんじゃないか」
とおっしゃっていたやつですね。 |
糸井 |
ええ。ドクロの回は、こちらです! |
永田 |
次回の予習に最適な、
池田屋の回は、こちらです! |
西本 |
テレビに出たての若手芸人じゃないんだから、
「こちらです」で遊ばないでくださいよ。 |
糸井 |
西本さんは、こういう
小手先の芸に厳しいですよね。 |
永田 |
ええ。苦々しい顔をしてます。 |
糸井 |
それはさておき、
『風雲児たち』の作者、
みなもと太郎先生との対談はこちらです! |
永田 |
西本武司がお送りする、
「七夕の笹飾りを燃やしたぜ」レポートは
こちらです! |
西本 |
無意味な小ネタを紹介するな! |
永田 |
ちなみにこのレポートは3年前のものです! |
西本 |
そんなことより、
『風雲児たち』、よかったですよー。 |
ふたり |
あ、読んだ? |
西本 |
読みましたよ。いや、おもしろかった。
土曜の朝に「ピンポーン」で起こされましてね、
玄関に出たら、ズドーンと20巻が届いてました。 |
永田 |
おお、オトナ買いだ。 |
西本 |
ええ。なぜか突然ヨメが注文してました。 |
糸井 |
よかったでしょう? |
西本 |
はい。その日は家から一歩も出ずに
全20巻完全読破ですよ。 |
永田 |
僕はゴールデンウィークに
じっくり読破しました。 |
糸井 |
読んじゃいますよね。
幕末は、関ヶ原から始まってるんですよね。 |
西本 |
ええ。関ヶ原ですよ。
ちなみにぼくのお気に入りは
高野長英と佐久間象山です。 |
永田 |
そう! 『風雲児たち』を読んでると、
『新選組!』に佐久間象山が出てくるだけで
「おお、象山先生!」ってなるんだよなー。 |
糸井 |
しかも佐久間象山の役は石坂さんですからねえ。 |
西本 |
うれしいですよね、
あのキャスティングは。 |
糸井 |
幕末編が4巻まで出てるんだけど
それもおすすめです。 |
ふたり |
それも読みましょう! |
糸井 |
それではみなさん、さようなら! |
永田 |
‥‥じゃなくて。 |
糸井 |
ドラマの話ですよね。 |
西本 |
今回も血なまぐさい展開でした。 |
糸井 |
うん、どんどんそうなりますねえ。
もちろん明るい部分も織り交ぜられては
いましたけれど。
基本的には暗くなってきますよねえ。
どこから話しましょうか。 |
西本 |
本筋と違うところでいうと、
ぼくが個人的に
うれしかったのは平畠さんです。
「くず」も大ヒット、ピンでCMも出ていて
皆がDON DOKO DON のぐっさんに
目が向いているなか、
ようやく平畠さんが登場! |
永田 |
あれ、ハマり役でしたねえ。 |
西本 |
ええ。現在中日ドラゴンズの、
川相選手のモノマネ以来の
ハマり役といっていいでしょう! |
糸井 |
「冴えない役」っていうので
冴えてましたね。 |
永田 |
なんかブーたれてる役で(笑)。 |
西本 |
それもDON DOKO DON という
コンビ自体をネタにしている感じがして、
「俺たちの大河ドラマ!」でした。 |
糸井 |
あなたはちょっと喜びすぎじゃないですか。 |
永田 |
この人、オープニングで平畠さんの
名前を見つけたときから
喜んでましたからね。 |
西本 |
おそらく、ぐっさんの出番があるときは
平畠さんもスケジュールが
空いているはずですから
今後も期待です! |
永田 |
おもしろ枕はそれくらいにして、
本編を語ってくださいよ。 |
西本 |
いや、今回は感想が簡単に出てこないですね。
なんかこう、ドラマに撃ち抜かれた感じで。 |
糸井 |
わかるわかる。 |
西本 |
拷問の場面とか、意外にキツいですよね。 |
糸井 |
ああ、あそこなあ。キツいよなあ。 |
永田 |
あの、拷問のシーンを見せないのって
うまいですよね。
どんなひどいことしたんだろうって
観てる側は思うから。 |
西本 |
日曜に放送を観た人から、
さっそくこんなメールが届いてましたよ。
|
=
あの苛酷な拷問って、
どんなことをしたんでしょうか?
「俺が出てくるまで土蔵には誰にも入れるなよ」
と言っていたトシちゃんの手には
「ろうそく(?)」と「なんか尖ったもの」
が握られていたと思うのですが。
オンナ二人で頭をひねったのですが、
わからないので、ひょっとして
男の人ならすぐわかる事なのかも?
後学(?)のために教えてください。
(りかぽん) |
|
糸井 |
おお、奇しくもそれは、
江戸博物館の連載のなかで触れられていますよ。 |
永田 |
拷問の方法についての通説は‥‥。 |
西本 |
こちらをご覧くださいませ! |
永田 |
ベタな同調、ありがとうございます。 |
西本 |
いえいえ。 |
糸井 |
話は戻りますけど、あの拷問は、
意味としてかなり重いですよね。 |
永田 |
といいますと? |
糸井 |
だって、拷問ですよ?
京の街を、帝を守るためとはいえ、
主人公たちが拷問するわけですからね。
ぼくは小学校の時に拷問博物館っていうところに
行ったことがあるんですけど、
いろんな拷問の道具が飾ってあって
子どもながらに気持ちが悪くなりましたから。
だってね、たとえば、こう、金属の筒のなかに、
針がびっしり植えられているものがあって、
そのなかにこう、人間を‥‥。 |
永田 |
拷問の描写はけっこうです。 |
糸井 |
ともかく、少年時代、
「拷問は、いけない!」って
ぼくは強く思いましたから。
それを、大儀のためとはいえ、
新選組がやってしまうわけですからね。
土方が「土蔵につれていけ」って行ったとき、
八嶋さんが、ちょっとうれしそうに、
「承知!」って言いますよね。
つまり、新選組の側に立ってみると、
一瞬、「やった!」って思うんですよ。
そこが怖いなと。 |
永田 |
なるほどなるほど。 |
糸井 |
観てる側にも、新選組を一瞬、
完全に「善」としてとらえて、
「ざまあみやがれ!」って、
感じる部分もあるんですよ。
その心はやっぱり人のなかにあるからさ。
そこんとこを、微妙〜に刺激しますよね。 |
永田 |
あの時代、善悪の基準っていうのは、
揺れ動いているんですよね。
どっちかが完全に大悪人っていうのじゃなく、
どっちも自分たちが
正しいと信じてるほうに進んでる。 |
糸井 |
そう。山南のセリフでもあったじゃないですか。
「あの尊王攘夷は政治のために
言ってるだけだ」とか。
あんなことは両方が思っているわけですよ。
つまり、根本的に何を考えているか、
どっちがほんとうに正しいのかなんてことは
ガタガタなんですよ。
だからこそ、あの拷問が重いんですよ。
つまり、土方があれをやったってことは、
「彼らは、目的のためなら
たいがいのことはする集団になりました」
っていうことじゃないですか。 |
永田 |
そうですね。
おそらく三谷さんは、そこへ向けて、
慎重に慎重にグラデーションを
かけてきたんでしょうね。
多摩のまっすぐな若者たちを、
拷問オーケーな集団にするまでの過程を。 |
糸井 |
もう、クラクラしますよね。
鬼になるんだっていうことですよね。
芹沢を殺して以降、
彼らは生まれ変わるっていうか
いい意味でも悪い意味でも
成長していくわけじゃないですか。
振り返ってみると、芹沢が死んでから、
翌々週が今回でしょ。
その短期間であれだけの変化を
表現しているのは、見事ですよね。 |
永田 |
その変化を、「いいのか?」って
観る側が感じるからこそ、
ヒリヒリするんですよね。
「よっしゃがんばれ!」って
完全に思えない不安がある。
たとえば、あの集団のなかに
ヨーダ役、つまり長老役の人がいて
そこにすがるかたちができてれば
観る側も落ち着くんでしょうけど、
そこがないままなんですよね、新選組って。 |
糸井 |
ようするに若い連中が
そのまま駆け抜けてるからね。
新選組の幹部の連中も、
すごく冷静かというとそうじゃない。
象徴的なのは、山南が拷問の前に、
「近藤さん呼んでこい!」
っていうシーンがあったじゃないですか。
あのあたりの若い集団の弱々しさ。
やる土方のほうも、冷静に決断するというより、
「突き進むしかない」っていう感じだからね。
速度がでちゃってハンドルが切れない感じ。 |
永田 |
ほんと、そうですね。
あれで、たとえば近藤勇が50歳とかなら、
落ち着きが生まれるかもしれないんだけど。
だって、今回の近藤勇は
父親の役までやってましたからね。
教師役、兄貴役、父親役と。 |
糸井 |
うまいこというね(笑)。 |
永田 |
あれがまさに、
糸井さんがずっと言ってる、
香取さんが近藤勇をやるという
意味なんでしょうね。
その「無理な感じ」っていうのが、そのまま、
「若い近藤勇が新選組を率いる無理さ」を、
リアルに表現してる。
あの、新しく入った隊士たちに
拳を飲み込んで見せる茶店のシーンが
象徴的だったと思うんですけど、
もう、局長の立場になってからは、
あれをやってみせても、
喝采されないわけなんですよね。 |
糸井 |
うん。で、今後の近藤たちは、
「やるしかない!」っていう方向に
進めば進むほど、評価されていくわけでしょう。
褒美はもらうし、武器はもらっちゃうし
役はどんどん大きくなるし。
それはもう、立ち止まってられないですよね。
だって、あれから4年経ったら
もう明治ですからね。 |
永田 |
うわっ! そっか! |
糸井 |
オリンピック1回分でもう明治なんですよ。
早いですよお、それは。
だから地獄のフタの真ん前で
チキンレースをやっているわけですよ。
それは、怖いですよ。怖い話なんですよ。
で、それをそのまま観せると、
ドキュメンタリーみたいになっちゃうんだけど、
ドラマにするために三谷さんは
またうまく工夫してるんです。
たとえば、あの拷問にしても、
拷問に匹敵するものを何で見せたかというと
武器の山ですよ。京を焼くかもしれない火薬。
つまり、天秤のこっち側に拷問、
向こう側には倉一杯の火薬。
そういうもので釣り合いをとるっていう
芝居を作ったんですよ。それはうまいよねえ。 |
永田 |
なるほどー。そういうところの
サービス精神は、執念深いとすら‥‥。 |
糸井 |
いえるよね、うん。 |
永田 |
だってもう、新選組の末路は動かせないし、
みんな知ってるんだから、ここまできたら
重いほうへどんどん突っ走るっていうのも、
脚本家の筆の動きとしては
あると思うんですけど、そうしないですよね。
今週もまたあのラブコメみたいなシーンが
ところどころにあったりして。
だから、しぶとくしぶとく
「茨の道に砂糖菓子を置いていく」
みたいなことをやってるんですよね。 |
糸井 |
そのへんは、三谷さんの力だし、
『新選組!』の見どころですよね。 |
永田 |
それで思ったんですけど、
八木家の娘、あの吹石さんの役って、
フィクションらしいんですよ。
八木家に「ひで」っていう娘は
実際にはいないらしくって。 |
糸井 |
あ、そうなんだ。 |
永田 |
だからぼくは、極端にいうと、
八木ひでがからんでくる場面はすべて
三谷さんの砂糖菓子フィクションだと思ってて、
そのへんをたのしむつもりで観てるんですけど。 |
糸井 |
ああ、なるほどねー(笑)。
だからやっぱり三谷さんは、
新選組っていうものを
立体的にしようとしてるんだよね。
新選組っていうものには、
憎しみも愛情も両方あって、
その反対側にいる人たちに対しても
同じものがある。
そういうのをぜんぶ入れ込もうとしてる。
‥‥これは個人的な印象だけどね、
三谷さん、自分のコラムなんかで
「『新選組!』は評判が悪くて‥‥」
みたいなことをよく書いてるんだけど、
ほんとうはすごく自信があると思うんだ。
つまり、新しくておもしろいことを
やっているっていう自負があるから、
きちんと見続けてくれっていう
メッセージとしてあれを書いてると思う。
つまり、落ち込んでるという愚痴じゃなくて、
このまま突っ走るよっていう
演説のかわりに書いてるんじゃないかな。 |
永田 |
それ、すごい読みですね(笑)。 |
糸井 |
本人は否定するかもしれないけどね。
少なくとも、オレはそう思って
『新選組!』を観てる。
だから、三谷さんのやってる戦いは
デカい戦いなんですよ。
オトナの試合をしてるってことなんですよ。
それは、かっこいいよね。 |
永田 |
なるほど‥‥。 |
西本 |
‥‥‥‥。 |
糸井 |
西本さんは、黙ってますね? |
西本 |
ひとつ言っていいですか。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
西本 |
あんたらは、よくもそんなに、
いま観たばかりのドラマについて、
ぺらっぺらぺらっぺらしゃべれるな! |
糸井 |
あははははははは。 |
永田 |
あ、そういや、にしもっちゃん、
日曜日に観なかったんだよね? |
西本 |
そうですよ!
ぼくは前回も前々回も2回観たから
ちゃんと整理できてしゃべれたけど、
今回はさっき初めて観たばかりですからね、
いまは余韻にひたってるわけですよ!
どっちかというと、拷問の重さとかで
打ちひしがれてるわけですよ! |
ふたり |
あはははははは。 |
西本 |
それを、ぺらっぺらぺらっぺら!
こっちは、事前に仕入れたおもしろ枕話と、
DON DOKO DON の平畠さんの話が精一杯だ! |
糸井 |
『離婚弁護士』のときは
1回観ただけでも、
ちゃんとしゃべってたじゃないですか。 |
西本 |
あれは観ながら整理する余裕がありました。
けど、これは違いますよ。
だって、映画観てるようなもんでしょう?
コマーシャルもないし、
ガーーッと入り込むじゃないですか。 |
永田 |
あ、それはそうだよね。 |
糸井 |
うん。とくに今回みたいな話は、
観た直後は語りにくいね。 |
西本 |
たとえば女の子と
映画観るとするじゃないですか。
すげえ感動したとするじゃないですか。
そのとき、映画館出た瞬間、しゃべれますか?
ぺらっぺらぺらっぺらしゃべれますか?
しゃべれませんよ。しゃべれやしませんよ。
しゃべってるあなたたちが変ですよ。 |
永田 |
って言われてもなあ‥‥。 |
西本 |
もう、来週からは、絶対日曜に観ますわ。 |
糸井 |
なんで日曜日に観なかったんですか。 |
西本 |
オールスター、観ちゃったんですよ。 |
永田 |
新庄のホームスチール、しびれたねえ。 |
西本 |
その話ならいくらでもできますよ! |
糸井 |
あははははははは。 |
西本 |
いちおう、いまおふたりが話したこと以外で
ぼくなりに気に入ったところを
話していいですか。 |
ふたり |
どうぞどうぞどうぞ。 |
西本 |
長州の人たちが武器を取り返しに
来たシーンがあったじゃないですか。
倉庫を見張ってた新選組の人たちは
「あわわ、あわわ」と対応してましたけど
あのとき、誰も斬られなかったじゃないですか。
あそこ、大がかりなセットがあるわけでもなく、
大立ち回りがあるわけでもないのに
すごく効果的でしたよね。 |
永田 |
あ! そうだね。 |
糸井 |
なるほど。 |
西本 |
守ってるほうも思わず逃げてしまうし、
突っ込んでいくほうも、
とどめを刺したくないから
蹴飛ばしてたりして。そのへん、
すっごくリアルだなあと思いましたね。
現場はこうなんだろうなあと。 |
永田 |
新選組が、じつは若い組織なんだってことが
わかるところですよね。
志は高くても、末端はもろいんだなあという。 |
西本 |
そうそう。背負っているものが
あるように思えるけれども
じつは、全員がそうではないってあたり。 |
糸井 |
若いんだね、なにしろ。
そうかそうか、なるほどね。あそこで
チャンバラが起こらないということが
演出のひとつなんだ。それは気づかなかった。
いや、やっぱり3人で観るのはいいな。
部で活動すると、発見が多い。 |
西本 |
お役にたててなにより。 |
永田 |
大儀であった。 |
糸井 |
ついでにぼくもひとつ、
発見があるんですけど。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
糸井 |
このドラマって、
新しくて乱暴なことをやる一方で、
周到に様式を守っているんですよ。
いいですか? 大事なこと言いますよ?
新しいことを追求するには、
‥‥ネクタイが必要なんですよ! |
永田 |
(ひそひそ声で)
この人はなにを言ってるんですかね? |
西本 |
(ひそひそ声で)
さっぱりわからないですね。 |
糸井 |
黙って聞きなさい。たとえば、ですよ。
タモリさんっていうのは、
ネクタイの使い方がひじょうにうまいわけです。 |
永田 |
(ひそひそ声で)
わかりますか? |
西本 |
(ひそひそ声で)
ますますわからなくなりました。 |
糸井 |
もうひとつ、たとえ話をしましょう。
ライブドアの社長が近鉄を買収するっていう
記者会見をしたときに、Tシャツだったでしょ。
あれを観て、ある野球関係者が、
「スーツ着なあかん!」
って言ったらしいんですよ。
つまり、いくら本気であったとしても、
あんな格好をしてたら、
本気だと信じられない人がいるわけです。 |
永田 |
(ひそひそ声で)
これはこれで理解はできますが。 |
西本 |
(ひそひそ声で)
『新選組!』とどう関係するんですかね? |
糸井 |
最後まで聞きなさい。
つまり、ある男が、
「お父さん、娘さんを私にください!」
って言うとするじゃないですか。
そのときに「オレはオレだから」って、
勝手な格好していったら、
本気を見せる以前にアウトですよね。
そういうときは、
相手の土俵に乗っかるっていう
度胸を見せないとダメですよね。 |
永田 |
(ひそひそ声で)
よくわかんないけど、
そもそも結婚式ってそういうもんだよな。 |
西本 |
(ひそひそ声で)
いえてるいえてる。
ぼくも腹くくってやりましたけど、
いまはやってよかったなと思いますわ。 |
永田 |
(ひそひそ声で)
そうなんだよねー。たいへんだけどねー。 |
西本 |
(ひそひそ声で)
永田さんのときは何人くらい
披露宴に呼んだんですか? |
永田 |
(ひそひそ声で)
なんだかんだで100人くらいかなー。 |
西本 |
(ひそひそ声で)
ぼくはですね‥‥。 |
糸井 |
黙って聞けっ!! |
ふたり |
さっさと『新選組!』の話をしろっ!! |
糸井 |
『新選組!』のなかには、
あっちこっちにネクタイがあるんです。
いままでの時代劇ファン、
大河ドラマファンに対して、
そっちの土俵に乗っかりますという
ネクタイをしめてるんですよ。
その例が‥‥眉毛です! |
西本 |
うわ! |
永田 |
あっ、わかった。いえてる、それ! |
糸井 |
全員が、元の眉がわからないくらい潰して、
こぉんなふうに、逆八の字にしてますよね。
あれはねえ、そうとう意識的ですよ。 |
西本 |
そこがネクタイだ。 |
永田 |
どれだけイマ風のイケメン俳優をそろえようが、
言葉じりに「〜じゃん?」を入れようが、
眉毛は時代劇なんだ。 |
糸井 |
超時代劇ですよ、あれは。
どうですか、この発見! |
ふたり |
抜群の働きであった! |
糸井 |
さあ、いよいよ次回は池田屋事件ですね。 |
西本 |
来週は日曜日に観ます。 |
永田 |
たのしみですねえ。 |
糸井 |
たのしみだよねえ。
ところでさー、テレビ局とかに行くと、
『新選組!』に出てる人たちに
会うことがあるんだよ。 |
西本 |
こないだの『ガキの使い』の収録では
坂本竜馬(江口洋介さん)に会いましたね。
『トリビア』の収録に行くと
武田観柳斎(八嶋智人さん)がいるし。 |
永田 |
おお、なんかうらやましい! |
糸井 |
そうそう、不思議な感じがするんだよね。
で、思うことがあるんだけど‥‥。 |
永田 |
なんですか。 |
糸井 |
「いいなあ、『新選組!』に出られて」って。 |
ふたり |
あははははははは。 |
糸井 |
あそこにいられたらうれしいなあって、
そんなふうに感じたりして‥‥。 |
永田 |
むっ! |
西本 |
‥‥まさか糸井さん、チョイ役で
出してもらえないかとか
考えてるんじゃないでしょうね? |
糸井 |
どきっ! |
永田 |
ダメだ! それはダメだ! |
西本 |
ええ、それは絶対ダメです。
ブラウン管のこちら側にいるからこそ、
「ほぼ日テレビガイド男子部」
が成立するんですよ。 |
糸井 |
‥‥なんかこう、斬られちゃうだけとか、
通行人でもいいんだけどさあ。 |
西本 |
ダメです! |
永田 |
もし、まかり間違って、
ほんとうにオファーがあったとしても、
オレとにしもっちゃんで絶対止めます。 |
西本 |
ええ。ふたりで後ろから
羽交い締めにしてでも阻止します。
ていうか、そのオファーはもみ消します! |
糸井 |
うわ、そこまでするのか! |
ふたり |
します! ダメです! |
糸井 |
‥‥ちぇっ。 |
永田 |
『新選組!』には出られなくても、
糸井さんには、人がうらやむ
立派な出演作がすでにあるじゃないですか。 |
糸井 |
え? なに? |
永田 |
クサカベ役です!
メイとサツキのお父さんです! |
西本 |
あ、『トトロ』か(笑)。 |
永田 |
ぼくが「糸井事務所に入ってよかった」と
思えることのひとつが、
「生クサカベ」を聴けたことですよ。 |
糸井 |
『クサカベでーす!
引っ越してきましたー!』 |
ふたり |
やんや、やんや。 |
糸井 |
これをさあ、知り合いの
子どもの前とかでやるとさあ‥‥。 |
西本 |
大喜びでしょ? |
糸井 |
もうね‥‥すごい!
動きがピタッて止まるの(笑)。
それまで走り回ってた子どもが、
ピタッて止まって「きょとん?」とする。 |
永田 |
あはははははは。 |
糸井 |
で、そのあとに、
「メイちゃんのお父さんだ!」って大騒ぎ。 |
西本 |
それ以外になにを望むんですか。 |
永田 |
十分にうらやましいですよ。 |
糸井 |
‥‥そうか、そうだな。 |
ふたり |
そうですよ。 |
糸井 |
『クサカベでーす!!
引っ越してきましたーっ!!』 |
ふたり |
もういいです。 |