私の「いま生きているということ」という詩句が、
多くの人の共感を得ているのは、
私たちが現実に生きる時間は、
過去でも未来でもなく瞬間に過ぎ去る
この〈いま〉しかないということに、
誰もが気づいているからでしょう。
今を止めることは出来ないし、
今を意識し続けることも出来ませんが、
今は過去の終点であり未来の出発点です。
あらゆる時間が凝縮された一点と言うことも
できるかもしれない今という瞬間は
限りなく豊かだと私は思っています。
*2014年8月7日時点
今年の3月に子どもが生まれました。
自然と涙がでました。
そして88歳のおれのおばあちゃんが
0歳のひ孫を抱いたときに
こうやって人生がいれかわっていくんやなって思ったんです。
生まれた瞬間から、
死に向かっているんじゃないですか。
そのあいだに
たのしかったとか、くるしかったとか、
もうかったとか、いい気分だったとか、
はらがへったとか、いろいろすったもんだがあって、
最後は死ぬんや、と。
植物は一日で死ぬものもあれば、
長く生きるものもあるんですが、
おれはとくに樹齢が長い樹が好きで、
きっとどこかで憧れているんだと思います。
人間の人生は、植物の時間軸とまた違って、
あっという間だなって、たまに切なく思ったりもします。
おれの子どもが生まれても、
おれが死んだとしても、
ブラジルに住んでいるひとにとっては関係ないし、
となり町に住んでいる人なら、
喜んだり、悲しんでくれるかもしれないけど、
その程度のもの。
そうやって
死んでは、生まれて、
生まれては、死んで、
世界中はそのあたりまえの繰り返し。
スタートと終わりはみんな同じで、
生まれることと、死ぬことですよね。
みんなそれぞれの、生と死の中間にあるのが
それぞれの人生であり、それぞれのものがたり。
世界中はそれの繰り返しなんです。
「My LIFE is…」やったら、おれの場合、
「植物がすべてだった」とか
「オイシかった」とか、
「一度きり」って言うかもしれないんですけど、
「LIFE is…」やったら、
「いのちのものがたり」だと、思いました。
*2014年8月5日時点
物心がついたときから、とびきりの怖がりで、
いつもなにか怖いことが起きるんじゃないかって
思っていたんです。今でもそうですよ(笑)。
18歳でアメリカに行ったときは、
怖くて怖くてしょうがなかった。
英語も話せないし、とにかく怖い。
その場にいるアメリカ人全員が、
ぼくに悪いことしてやろう、いたずらしてやろうって
見ている気がしてました。
そういうとき、自分の身を守るために、
とにかく「カンサツ」ですよ。
たとえば、ぼくを見て、からかってやろうかな、って
相手が立った瞬間には、こっちはもう先に気がついていて、
ドアの方に向かって逃げてるんです(笑)。
昔から逃げ足の速さは誰よりも負けませんね。
そして、ひと一倍、好奇心旺盛。
怖がりだから、知りたがり屋なんです。
好奇心と怖がりが合体しているので
いっそう「カンサツ」することになります。
全身アンテナの「カンサツ魔」ですよ。
気づくことが好きなんでしょうね。
いつも「カンサツ」して、
「なぜ」「なに」「なんだろう」
ということを考えている。
そして推理をするのも大好き。
一日中、推理しています。
子どもの頃、シャーロック・ホームズになりたかったんです。
そんなふうに「カンサツ」していることが
じぶんにとっていま必要なこと、
勉強すべきこと、仕事のこと、暮らしなど、
すべての原点になっています。
「暮しの手帖」も、エッセイも、
「カンサツ発表」のひとつなんです。
*2014年8月18日時点
歳を重ねてくると、一年が早く感じるんです。
「なんでかなぁ」って考えていた時に、
「知らない場所に行くときの道のりは
すごく遠く感じるけれど、
帰りはあっという間に感じる」
ということと同じじゃないかな、って気がついたんです。
そこで、今年は
やったことのないことを
やってみるという年にしています。
いままでは
わたしより、得意な人がやったほうがいい仕事は、
よかれと思ってやらないこともあったのですが、
今年はどうしようかな、ってときは
とりあえずやってみています。
ベースに料理があるので、
まったく不安でもないんでしょうね。
たとえば、パリで食堂を3日間、開いてみたり、
和歌山県で10軒の宿でわたしがつくったレシピで
宿ご飯ができたり、駅弁のレシピをつくっています。
日常、慣れたことをすることも大切なんですけど、
やったことのないことをやってみると、
いろいろな思いがうまれます。
それを乗り越えて、
目的の場所についたときは達成感があって、
すごく印象に残るんです。
なんでもない日の中に、
なんでもないんだけど、
「知らない道を行ってみる」という気持ちを加える。
得意じゃないことでも、やってみる。
そのように、今年はやってきても
時間がたつのはすごく早いんですけれど、
年末に今年はこういうことがあったな、って
はっきり思い出すことができそうです。
*2014年8月7日時点
私の好きな文字、言葉である「夢」という字を
私の「LIFE is …」の横に書かせていただきました。
私は15歳で日本に来ました。
体も小さく、右も左も分からない相撲界で
毎日厳しい稽古に励む中で、
何があろうと私の心の中には
「絶対強くなり、上にあがってやる」
という気持ちがありました。
父はモンゴル相撲の大横綱だったので、
「僕も横綱になるんだ」と常に夢を持ち、
夢に向かって努力してきました。
横綱になった今でも、常に夢、目標があります。
力士として33回幕の内優勝という
前人未到の大記録を達成すること。
相撲以外でも母国モンゴルでお米を作る夢もあります。
現在「白鵬米」プロジェクトも立ち上げ活動しています。
全国、海外の小中学生を集めて
「白鵬杯」という少年相撲大会を毎年開催して
相撲少年達の夢を応援しています。
私の人生には「夢」がたくさんあり、欠かせません。
*2014年8月27日時点
(つづきます)
2014-11-05-WED
1931年生まれ。詩人。
「朝のリレー」「二十億光年の孤独」
「いるか」「かっぱ」「みみをすます」「生きる」
など、数千篇におよぶ詩作品や、
レオ・レオニ作『スイミー』、
スヌーピーでおなじみ「ピーナツブックス」シリーズ、
『マザー・グースのうた』などの翻訳、そして
テレビアニメの「鉄腕アトム」主題歌や
「月火水木金土日のうた」などの作詞も手がける。
現在は、詩の朗読を中心にしたライヴ活動も
精力的に行なっている。現代を代表する詩人のひとり。
「ほぼ日」の、谷川俊太郎さんが登場するコンテンツ
◎谷川俊太郎、詩人の命がけ。
◎詩人と漫画家と、絵本。─『かないくん』をつくったふたり
◎谷川俊太郎質問箱
◎一輪の花と等価の詩が書けたら。
ほか、多数。
幕末より150年続く花と植木の卸問屋
「花宇」の五代目。
日本全国・世界数十カ国を旅し、
収集している植物は数千種類。
日々集める植物素材で、
国内はもとより、海外からの依頼も含め
年間2000件もの案件に応えている。
2012年、ひとの心に植物を植える活動
“そら植物園”をスタートさせ、
植物を用いたいろいろなプロジェクトを
多数の企業・団体などと各地で展開、
反響を呼んでいる。
著書に『プラントハンター 命をかけて花を追う』
(徳間書店)、
革命的植物エッセイ『そらみみ植物園』(東京書籍)
などがある。
「ほぼ日」の、西畠清順さんが登場するコンテンツ
◎そら植物園となにができるかな?
(BEGINNINGショップ内/現在は販売を終了)
◎そら植物園+ほぼ日 植物をはじめよう!(Facebookページ)
◎緑の丘に、つどいましょう。
ほか。
『暮しの手帖』編集長。エッセイスト。
中目黒のセレクトブックストア<COW BOOKS>代表。
2014年9月1日号の雑誌『BRUTUS』では
「松浦弥太郎の『男の一流品カタログ』」として
特集されている。
著書も『100の基本』『松浦弥太郎の仕事術』など多数。
「ほぼ日」の、松浦弥太郎さんが登場するコンテンツ
◎手で書くことについてぼくらが考えたこと。
フードスタイリスト。
TVCMなど、広告を中心に活動。
2005年に荻上直子監督作『かもめ食堂』参加をきっかけに、
映画やテレビドラマのフードスタイリングも
手がけるようになる。
2013年にはNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』の
フードスタイリングを担当。
著書に『LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。』
(1,2,3巻)、
『LIFE 副菜 おかず、おかわり!』
『LIFE あつまる。』(以上、東京糸井重里事務所)、
『シネマ食堂』『セカイのきんぴら』(朝日新聞出版)、
『飯島風』(マガジンハウス)がある。
「ほぼ日」の、飯島奈美さんが登場するコンテンツ
◎飯島奈美さんの「LIFE」
(こちらに、コンテンツが見やすくまとまっています)
◎飯島奈美さんの和歌山はおいしいぞ!
ほか。