ジョージ |
あと、カーディガン。
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ノリスケ |
カーディガンは、ぜったい持ってく。
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ジョージ |
カシミアだよ。ぜーったいカシミア。
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ノリスケ |
でも、僕、ギャルソンだからウールか麻混。
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つねさん |
僕、カーディガン、持ってない。
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ジョージ |
中国製でもいいから、カシミアっ。
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ノリスケ |
なんで、カシミア?
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ジョージ |
コットンでも、いい。麻でもいい。
だけど、ぜったい化繊が入ってないこと。
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ノリスケ |
静電気がねー。
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ジョージ |
乾燥するから、静電気が大変。
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つねさん |
あ、そっか。
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ノリスケ |
静電気、怖い。
ぼくは死ぬときはきっと
静電気にびっくりして死ぬのよ。
それくらい嫌い。
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ジョージ |
だから、天然素材の、
上質の、カーディガン。
荷物持ちたくない旅行のときは、
ジャケット着て行くじゃない?
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つねさん |
うんうん。
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ジョージ |
で、ジャケットは、旅先の使い回し考えると、
黒とか濃いめのグレーとか、
茶とか紺とか、濃いめの色でしょう?
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
で、これはね、あの、裏のラベルが、
いわゆる、あの、勝負ですから、
Cクラス以上に乗るラッキーな方は、
ステュワーデスが受け取ってくれるわけですから。
エルメス、とは申しませんので、
くれぐれも、ギャップは、買わないように。
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ノリスケ |
ハハハハハハッ。
けっこう極端なんだけど、それ。
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ジョージ |
あー。間であれば、何でも可。
うん。あの、23区でも、結構です。
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つねさん |
ハハハッ。
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ジョージ |
で、その、どゆのかな?
機内に入って来たときの、
ジャケットの姿と、それを脱いで、
機内のくつろぎのための
カーディガンを着たときの姿の、
ギャップが激しければ激しいほど、
ステュワーデスの印象に残るんだよ。
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ノリスケ |
そうか。
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ジョージ |
そうすっとね、
お部屋着は、ちょっと派手目の色。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
ピンクだとか、黄色だとかね、
オレンジ色だとか。
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ノリスケ |
赤っぽい色。
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ジョージ |
そゆのを着て、私はここにいますっ!!!
ってゆうふうにいわなきゃいけないの。
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つねさん |
主張するんだ。すごいね。
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ジョージ |
ぜったいにね、上質なカーディガン。
これは女性のために言ったんですけど。
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ノリスケ |
え? 男だって。
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ジョージ |
男はね、Fクラスの、ステュワーデスにね、
どういうお客さんを、
いちばん大切にしたいですか?
って聞くとね、まず、お行儀のいい人。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
で、手荷物が、多すぎず少なすぎず、
洗練されてる人。
で、機内に入って、いちばん最初に、着替える人。
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ノリスケ |
はい。
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ジョージ |
ただし、ズボンまで着替えるのは、NG。
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つねさん |
あー。
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ノリスケ |
あたりまえだ。
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つねさん |
ジャケットとって・・・
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ノリスケ |
カーディガン。
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ジョージ |
そう、ジャケットとって、
渡したときのジャケットが、
とっても軽くて上質で、シワもなくって、
で、そのあと、パッて振り返ったら、
カシミアのカーディガンを羽織ってたらば、
あ、あの人に真っ先にサーヴィスをしに行こう。
って思う。僕、それで、けっこう、
いい思いをしてるもんねー。
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つねさん |
あんた、あと、カバンでしょう?
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ジョージ |
カバンもそうだしね。
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ノリスケ |
機内持ち込みは、何?
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ジョージ |
ん、機内持ち込み、基本的に、エルメス(笑)。
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ノリスケ |
エルメス。
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ジョージ |
すいませ〜ん。エルメス、
一時期、フリークをやってたんで・・・
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ノリスケ |
あー。こないだ、僕、
ちっちゃいリモア買って、持ってったらさ・・・
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つねさん |
あ、なんか・・・
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ジョージ |
かわいいよ。
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ノリスケ |
けっこうね、褒められた。
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ジョージ |
あとね、ちっちゃいグローブ・トロッター。
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ノリスケ |
あ、あるんだ。
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ジョージ |
ちーっちゃいグローブ・トロッターはね、
ほんとに、いいよ。
あー、こんなのがあるんですねー。
ってね、もね、一躍、人気者。
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ノリスケ |
へー。
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つねさん |
あんた、人気者系、好きだもんねー。
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ジョージ |
要は・・・
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つねさん |
目立つの?
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ジョージ |
目立つというか、飛行機に行ったらば、
僕たちはお客さんなんだけど、
数多くのお客さんの一人であって、
優先的におもてなしをしてもらおうと思ったら、
ステュワーデスに、
心良いと思ってもらわないと、
いけないんだよね。
だから、そのための工夫だよ。
ありとあらゆるものが。
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つねさん |
演出するんだ。
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ジョージ |
着席するまでに、機内履きをポーンと置いたり、
カーディガンを置いたり、
本、単行本かなんかをポーンと置いて、
で、カバンを上にあげて、
トイレにまず入って、出てきたら、
すいません、新聞を下さい。とか、
現地の時間は何時なんでしょうね?
とかって、適当にボロボロボロボロいってると、
いちばん最後にシャンパン一本くれたりとかするの。
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ノリスケ |
あー。
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ジョージ |
飛行機の中の客を、
生かすも殺すも、ステュワーデス次第。
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ノリスケ |
そうねー。
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ジョージ |
うん。ここ、勘違いすると、
ビジネス・クラスのやな客になるんだよ。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
「オイ!」とかって。
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ノリスケ |
オイ。
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つねさん |
客だから。って?
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ジョージ |
ほんとだよ。
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ノリスケ |
いるんだよねー。
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ジョージ |
もう、彼らに言いたいのが、
「有り難うございます」と
「お願いします」の、この2つ。
あと、「はい」「いいえ」。
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つねさん |
挨拶っていうのは、
ほんとうに重要だよね。
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ジョージ |
ぜったい、「うん」はダメ。
「オイ」もダメ。で、無口は、もっとダメ。
「ねえちゃん」最低。
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ノリスケ |
オレのことちゃんとわかれよ、みたいなね。
未だにいるんだものね・・・
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ジョージ |
あとは、手のあげ方よね。
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つねさん |
こういうのは、ダメなのね?
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ジョージ |
あ、でも、これ、プリティーだよ。
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ノリスケ |
いま、顔の横で、指をヒラヒラさせました。
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ジョージ |
ヒラヒラしている腕に、
何が光っているか。も、けっこう、
ポイントが高いと思います。
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ノリスケ |
時計?
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ジョージ |
あの、時計、はですね、やっぱり、
時差調節が簡単な時計を持ってって下さい。
それが一番です。
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つねさん |
あー。
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ノリスケ |
簡単じゃない時計って、なに?
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ジョージ |
デジタル・ウォッチ。
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ノリスケ |
あっ!(笑)思いもよらなかった。
持ってないもの。
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ジョージ |
デジタルはダメです。
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ジョージ |
あと、超複雑系は、一回時刻変えると、
大変なことになって、それで、もう、
時計屋、駆け込んだことがあるんでー。
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つねさん |
あ、そうなの?
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ノリスケ |
トゥール・ビヨンとか。
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ジョージ |
あと、一目で高級だな、と思う時計は、
なるべく持っていかないことだろうね。
腕から先、切り落とされたりとかするしね。
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ノリスケ |
あなたは、どうしてるの?
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ジョージ |
これだって、
そんなに高級に見えないじゃん。
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ノリスケ |
見えるよー!(笑)
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つねさん |
でも、あの、石は入ってないからね。
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ノリスケ |
そっち系かー。
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ジョージ |
そう。
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ノリスケ |
あの、マカオの質屋に行くと、
売ってるようなやつね(笑)。
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ジョージ |
そいで、複雑系。針がいっぱいあるの。
針がいっぱいあったり、
窓がいっぱいあったりするのはNG。
ちなみに、あのー、JALと全日空の
ステュワーデスが、大好きな時計ていうのがね。
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つねさん |
うん。あるの?
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ジョージ |
うん。口説かれたい男がしてほしい時計は、
なんでしょう?
一位、ブルガリ。
二位、カルチエ。
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つねさん |
あー、そっかー。
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ジョージ |
ただし、カルチエのなかでも、
サントス系は、ダメです。
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ノリスケ |
パシャでないとね。
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ジョージ |
ブルガリは、なんでも可。
ロレックスは、デイトナと、
GMTサブマリーナ以外は、
みんな、もう、目もくれないそうです。
あ、ロレックスしか、知らないんだ、
って思われるんですって。
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つねさん |
あー。
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ノリスケ |
ビンテージ・ロレックスは?
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ジョージ |
ビンテージは、もう、
好き嫌いの問題になってくるから、
ダメみたい。
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ノリスケ |
でも、それしてるからって、
口説かれたいかどうかは、
また別の話だよ。
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ジョージ |
でもスチュワーデスとお友達になると、
けっこう楽しいよ。
地元の美味しいお店、知ってるし。
聞かれるよ。なんかー、
ニュー・ヨークで、お泊まりですか?
ご滞在ですか?
「うん、そう。」
どちらにお泊まりですか?
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つねさん |
「フォー・シーズンズ。」
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ジョージ |
あーーーっ、私たちは、
ぜったい行けないところなんですー。
アフタヌーン・ティ、美味しいんですって?
・・・もう、彼女たち的には、
そろそろ誘って。っていう。
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つねさん |
ハハハハハ。オーラが出てんだ。
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ジョージ |
どこまで言わせるの? みたいな。
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ノリスケ |
困っちゃうね。
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つねさん |
ごめん、とかって?
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ノリスケ |
どうするの?
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ジョージ |
え?
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つねさん |
あっちのスチュワードの方が、タイプですとか
言うの?
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ジョージ |
ううん、僕、何回かいっしょに、
お茶飲んだこと、あるよ。楽しいもん。
楽しい。ステュワード嫌いなんだ。なんか。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
腰が、柳腰でさ。
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つねさん |
ネチっこいよね。なーんかね。
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ジョージ |
だって、鎖の付いた老眼鏡とか、
してるのいるんだよ。短髪で。
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ノリスケ |
そういうのってCクラス以上、
Fクラスくらいなんじゃない?
Yクラスには、いないよ。
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ジョージ |
最近、Yクラス、
日本人乗務員が乗ってなかったりするもんね。
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ノリスケ |
ハハハハハ。アジア系よね。
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ジョージ |
そう。だって、
「当機はシンガポール・ベースの乗務員が、
7名乗っております」。
12名のなかで、7名って、
それ、いったい、どういうこと?
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ノリスケ |
Yクラス、全員そう。
|
(つづきます)