| ノリスケ |
習い事で、いちばん長く続いたのって、なあに？
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| ジョージ |
おとこ、かな。
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| ノリスケ |
それ、習い事？
いろんなことを教わったから？
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| ジョージ |
そ。いろいろ習ったけど・・・
いちばん長く続いたのは・・・英語。
でも、どうだろう？
だいたい５年くらいで終わっちゃうね、
習い事って。
英会話とかっていうのは、
習い事の時期が終わってから、
はじめて実用になってくるから。
実用になると、もう、
習わなくてもよくなるんだよね。
習うんじゃなくって、
自ら学べばよくなるから。
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| ノリスケ |
うん、うん。
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| ジョージ |
習うっていうのは、感覚的にいうと、
先生の真似をすることじゃない？
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| ノリスケ |
うん。手習い。
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| ジョージ |
だよねー。だから、
習いが終わって学びが始まる、でしょ？
だから、やっぱ５年くらいで
習いは終わっちゃうな。
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| ノリスケ |
ってことは、一応それなりに、
こう、もうここでオッケーっていう線を引いて、
次に移ったりするの？
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| ジョージ |
僕の場合は、先生がもういいですよ、
次のとこ行きましょうって。
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| ノリスケ |
ちゃんとやりきるんだね。
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| つねさん |
すごーいねぇ。
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| ジョージ |
わりと、やりきるよ。うん。
あんま妥協はしないかもしれない。
いま半端になっているのが
エアロビクスなんだけど、
出来ないとすっっっっごい悔しいの。
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| つねさん |
すっっごい難しいところだよ、クラスが。
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| ノリスケ |
上手い人たちのクラスってさ、
もう、みんな上手すぎるもん。
後ろで盆踊りだよね。
東八郎が踊ってるみたいなもんよ。
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| ジョージ |
もう一回やるとしたら、何だろう？
やっぱ、お琴やりたい。
お琴っていうのは、
「紀ノ川」って映画、観たことある？
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| ノリスケ |
キノカワね。宮尾登美子さんのだっけ。
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| ジョージ |
そうそうそう。あの人の映画でね、
お琴がね、いいシーンで使われてるの。
男に裏切られた女が復讐を誓うシーンで、
お琴の琴柱（ことじ）でねー、
弦をねー、ギユッ、ギユッ、ギユッ、
って擦るんだよ。その音がねー、
なんか、ギリギリギリギリッて。
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| つねさん |
それ、したかったのー？
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| ジョージ |
すーごい、したかった。
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| ノリスケ |
それはでも、ほら、ベースがないとー。
お琴ができる人がー、する、表現。
その世界に憧れてる・・・
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| つねさん |
あなたは、でも、そういうの、
ゴージャス系のが多いよね。
細雪とかさー。
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| ジョージ |
バイオリンもね、習ったことある。
お袋と一緒に習いに行きましょー、
ってしたんだけど、腕がね、
右腕がちょっと曲がってて、
ボーイングしたときに、
まっすぐできなかったんだよね。
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| つねさん |
ふーん。
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| ジョージ |
そしたら、先生が、
「お母さん、このお坊ちゃんは、
一生懸命頑張っても、一流にはなれません。
でも、どうせ、お稽古ごとで、
手習いですから、一生懸命頑張ってください」
っていったら、
「結構ですっ。
うちの子は一流になれないようなことは、
一切しないことにしてますから、
ねぇ、あなた、いいわよね？
帰りましょ」
っていって帰った。それで終わり。一回だけだよ。
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| つねさん |
なあに、それって！
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| ジョージ |
ギーコーギーコーやっただけ。
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| ノリスケ |
そう言われて、あなたもそう思ったの？
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| ジョージ |
だって、悔しかったんだもん。
そうだな、って思ったよ。
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| つねさん |
悔しがりだったの？
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| ジョージ |
でも、バイオリンを習いたかったきっかけは、
あの、調律？ ピンピンピンピン、
ジージージー、ピンピン、ジージーっていう、
立派に弾くことよりも、
あの調律がしてみたかった。
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| ノリスケ |
その、世界観そのものが欲しいのね。
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| ジョージ |
そうそうそう。そうなんだよ。
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| ノリスケ |
ねえ。お琴もそうだしね。
そのギーってやるためにはさー、
全部入ってやらなきゃだめなんだよ。
バイオリンもペンペンペンペンペンペン・・・
って誰かの家に行って、転がってるバイオリン、
調律して、グィィィーーーッッ、ギューーンッと、
メンデルスゾーンかなんか弾くから、いいのよ。
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| つねさん |
ツィゴイネルワイゼンとか？
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| ノリスケ |
わかるわ。
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| ジョージ |
だから、調律だけできたって
仕方がないんだもん。
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| ノリスケ |
それは、英会話にしたってさ、
英語喋れるっていう目的はあるんだけど、
最終的には英語を喋れる自分、
っていうのが欲しいんだよ。
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| ジョージ |
そうそうそう。
英語はね、どういうレベルまで
行くべきかっていうと、
アマン・グループのホテルに行って、
シャワーの出ぐあいがちょっと悪いとします。
昨日の夜浴びたときには、しっかり出たのに、
今朝はちょっと出かたがおかしい、
どうにかしてちょうだい。っていうのを、
面と向かってでなく、電話で流暢に、
フロントの奴をへこませるために
英語が喋れると、素敵なわけっ。
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| つねさん |
ワッハッハ！
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| ノリスケ |
勝ちに行くわねえ。
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| ジョージ |
僕はできるから、いんだけどね。
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| つねさん |
やな子っ。
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| ノリスケ |
英語ってさー、英語そのものがさー、
すごく、主張する言葉のような気がするけどね。
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| ジョージ |
でね、英語はね、怒っちゃだめなの。
英語という言葉はね、日本語に比べて、
怒りの言葉がいっぱいあるんだよ。
で、ある、ということは、
使わないためにあるんだよね。
んで、たとえば、日本で、
今のシチュエーションを言うとしたらばー、
「すいません、昨日の晩、出ていたお水が
出なくなったんですけど、
なんとかしてくれませんか？」
って、言うのが、いちばんいいんだろうね。
で、英語だと、
「よもやこういう立派なホテルにとって、
こういうことを言っていいのかどうか、
僕はよくわからないが、
ちょっと聞いて頂きたいことがあるんだ」
って始めるの。
「昨日の夜は、ひじょーに良い気持ちで
シャワーを浴びた。で、今朝もう一度、
昨日の、あのシャワーを浴びたい、
と思って蛇口をひねったら、
オー！？ どうしたことなんだ？
出ないではないか。
こういう状態を、あなたは、
どう思いますか？」
って、言わないといけない。
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| つねさん |
ビッチやねぇ、英語って。
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| ノリスケ |
あぁー・・・
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| ジョージ |
そういう風に言うと、
向こうも、あぁーっ、やられた、って思うのよ。
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| ノリスケ |
抗議って、そういうことだよね。
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| ジョージ |
そう。
それを、お湯が出ないー、お湯が出ないー、
って言ったら、あー、うるさいだけの客だ、
あんなのはどうせ大したことないんだから、
後まわしにしましょう、ってことになるんだよね。
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| ノリスケ |
そうなのか・・・
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| ジョージ |
うん、でも、あれだね、英語的な人生があり、
日本語的な人生があり、その両足を、
バンッて開いたような人生って、
素敵かな？ みたいな。
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| つねさん |
んぁー、いいよね。素晴らしきかな。
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| ジョージ |
そうそうそうそう、だって、
おとこ口説くときだって、
英語的口説き方と、
日本語的な口説き方って、あるもん。
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| つねさん |
あー、そうなの？
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| ノリスケ |
ちょっとちょっと、
じゃ、ジョージサンは、つねさんを、
どういうふうに口説いたの？？
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| ジョージ |
んー、この人は、
英語的に口説いたつもりだけど・・・
前半はね。
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| つねさん |
どーゆーふーに？
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| ジョージ |
自分の主張は、一切なかった。
自分がして欲しいことは、一切いわなかった。
愛だから。
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| ノリスケ |
フッフッフッフ・・・クックックック・・・
ごちそうさまでした。
その話、こんどゆっくり聞くわ。
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（このテーマはこれでおしまい。
