APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

恋愛の話しましょ。 その1
せっかく女の子なのにね。

ノリスケ 自分が選ぶ女の子の友だちって、
やっぱり、格好よく生きてないとやだ。
格好いい、っていうのは、
ぶさいくとかどうとか、っていうんじゃなくてね。
ちゃんと生きてる女の子じゃないと、
友だちにしたくないの。
ジョージ ちゃんと生きてる、かー?
うん、それもあるし、
ナイーブな女性じゃないと、
僕はダメかな、と思うよ。
ナイーブといってもね、
弱さとか、そういうんじゃないんだよ。
つねさん 繊細とか? じゃないの?
ジョージ 繊細……無垢。
無垢だねー。
つねさん 僕、どっちかっていうと、
いろんな意味で「かわいい」っていうの。
そういう友達が、多いよ。
ノリスケ チャーミング。
ジョージ んとー、なんかねー、
おとこおんなと呼ばれる、
私のようなホモから見ても、
あんたみたいな女は、やめてしまいなさい(笑)、
っていうような女が、いっぱいいるんだよね。
ノリスケ ハハハハハ。
ジョージ ま、その片方で、
男の風上にも置けないという
やらしい男もいるんだけどね(笑)。
いるんだけど、やっぱ、
男の中にも女があって、
女の中にも男があって、
でも、いい男もいて悪い男もいて、
いい女もいて悪い女もいるわけだから。
つねさん いい男のような女って、いるよね。
ジョージ いるね。
ノリスケ 男気のある女だって、いるよ。
僕は好きよ。
つねさん そうそうそう。
ジョージ うん。概して、
男気のある女っていうのは、女らしい。
つねさん はあはあはあ。
ジョージ 悪い意味でなくて、女らしい。
それにしても、ゲイから見ててね、
あんたせっかく女に生まれたんだから、
もっと頑張んなさいよ、って思うことあるよね。
ノリスケ 思うよ、それ。そう、思うよねー。
なんてもったいないの、
せっかく女に生まれたのに! って。
くやしいくらいだわ。
ジョージ だってねー、僕むかしね、
ものすごい、野望っていうか、
考えたことがあるの。
ノリスケ 野望?
ジョージ 夢っていうか。
もし、僕が女だったら、っていう。
つねさん うん。なに?
ジョージ 毎日、毎日、
メルセデスのオープン2シーターに乗って、
サングラスかけて、
多摩川の川っぺりまで行って……
ノリスケ 峰不二子?
ジョージ 何でも。でね、そういう私が、
川っぺりのグランドで練習してる
ラグビー部の男の子を、
1人ずつ捕まえてきて、
好き放題遊んでやるの。
って、昔のカレと語りあったことある。
ノリスケ あら、まあ……。たいへん。
……ああ、自分が、
ゴージャスな女だったらねー。
ジョージ だって、100人男並んでるとして、
せいぜい、そんなかにいる、
女に興味のない男っていうのは、
1人なわけでしょう?
ノリスケ そうだね。
ジョージ 99人は、女の対象になるわけでしょ?
ノリスケ 確率高いよね。
ジョージ で、にも関わらず、
女は男ができないだのね、
男と長続きしないだの!
ノリスケ そおよー。ぷんぷん。
ジョージ 言うわけでしょ?
悔しくて仕方がないわ。
僕は、100人のうちのそのたった1人が、
ガリガリだったら、いけないわけなのよ!
ノリスケ マーケット、狭い狭い。
ジョージ ね。
ノリスケ なのに、そういう努力をしない女は、
腹が立つわけね?
ジョージ うん。
ノリスケ 自分を安売りする女は、だめよ。
でもそういう人って、
自分を安いとは思っていないのね。
ジョージ だけどね、男の立場にしてみれば、
安く買ってるふうに、なっちゃうの。
僕のきらいな女ってね、
文句言ってるばっかりで、
男を育てようとしないん女よ。
ノリスケ あー。うんうんうん。
ジョージ 僕ら、ある特定の男とつきあい始めると、
最初のしばらくの間は、
自分も変わるけど、
相手も変えようとする努力をするでしょ。
ノリスケ お互いね。にじり寄る間が、
戦争のよう(笑)。すっごくたいへん。
面白いけどね、変わる自分を見るのも、
変わっていく相手を見るのも。
ジョージ なかなか変わらないのも、いるね。
あなたのように!
つねさん へへへ。
ジョージ 体重が変わらない(笑)。
つねさん よくわかんな〜い(笑)。でも、
反論させていただきましょう。
小学校のとき「好きな言葉」に
「天上天下唯我独尊」って書いて、
お父さんに殴られたアンタも、
変わらないわよ。
ノリスケ ほんと? 凄い。
ジョージ やめて、その話は!
お釈迦様の言葉よ。
ハスがパーンッ! と開いて、
すくっと立ち上がったときに、
悟りの言葉を、叫ばれたのね。
ノリスケ なんか、すごいショー・アップ
されてるよ(笑)。お釈迦様って。
つねさん ほーんとだよね。
ジョージ 上から、あれでしょ?
花吹雪も、散ったんでしょ?
つねさん ラス・ベガスのショーみたいだね。
ジョージ そそそそ。ショー・ガールよ。
人生はショーなのよ。
ノリスケ わけがわかりませんっ(笑)。
話がそれてるし!
ジョージ どんどんそれてく。いけないわ。
ノリスケ 男を育てる話よ。
つねさん そうそうそうそう。
ジョージ 男は、どうやって育てるの?
ノリスケさんはどうなの?
ノリスケ フフンッ。
ジョージ フン、だって。鼻で笑ったわね。
ノリスケ ガハハッ。
ジョージ こえ〜。
ノリさんは今の彼、育ててないの?
ノリスケ いやっ、変わったよ、やっぱり。
ジョージ でも、あれでしょ?
ノリさんは、美味しいものが好きで、
彼は、無頓着なんでしょ?
ノリスケ 無頓着。外出きらいなんだよね。
美味しいものは好きだけど、
それが人生の目的でもなんでもない。
普通に、普通のものが食べられれば、幸せなの。
とにかく、ひとりできちんと生きることを、
自分にたたき込んでしまった人なんで、
そういう期待を、一切しなくなったの。
僕はもちょっと、欲深いんだけど……
ジョージ 自分の人生に、他人がいる、
必要がなかったの?
ノリスケ そうかもしれない。
今でも言うもの。
できることなら、誰とも会わずに、
ひっそり暮らしたい、って……。
だから僕は彼と一緒に住むことにしたの。
ジョージ あぁ。
ノリスケ ひょっとして僕さえ、必要じゃないのかな?
とも思うようなことなんだけどね、突き詰めちゃうと。
それは、まだ、よく、わからないの。
でも、少しずつ少しずつ、
これも美味しいよね?
こういう食べ物もあるよ?
って(笑)やってるんですけど。
でも、家にいるときのリラックスしたあの人が、
本当のあの人だとしたら、
外にいるときは、とても大変なんだろうな。
つねさん そうなんだ。
ノリスケ うん。

(ちょっとディープな話になりつつ、続きます)

2001-06-11-MON

BACK
戻る