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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

お買い物のエチケット その6
さあ、いよいよお金を払います。

ノリスケ なるほどねえ。
お買い物ひとつにしても、
ちょっと気を入れると、
ずいぶん楽しいものになるのね。
どこに行っても、きちんとサービスされるような
人間になりたいものだわ。
ジョージ そうね。たとえば、ちょっといいホテルに、
もし泊まったとしたらば、ね?
ホテルのベル・ボーイさんとかっていうのは、
目をかけてあげたいお客さんって、
絶対いるんだよ。
つねさん うんうんうん。
ジョージ で、これもやっぱり、
入り口を出入りするたんびに
「こんにちは」とか「おはよう」とかって、
言ってくれる人であったり、
あるいは、1日何回も
着替えに戻って来る人、とかね。
ノリスケ 旅を大事にしている人よね。
ジョージ そういうの、すごくよく見てるの。
特に日本の女の子だったらば、
朝、Tシャツにショート・パンツで
出てったと思ったらば、戻ってきて、
昼過ぎぐらいにちょっと
ドレス・アップして出てきて、
も1回戻ってきて、
夜にはもちょっとドレス・アップして……。
で、ディナーが終わったら、
またなんか、カジュアルな格好になって
夜の街に出ていく、っていうのは、
ボーイさんから見ていても、
すっごーい、楽しいんだよね。
ノリスケ 嬉しくなっちゃうよね、
そういうふうに元気なお客さんがいると。
ジョージ そうなの。そうすると、
声かけてくれたりとかするの。
たとえばチェック・アウトしたときに、
タクシーが欲しい、でも、
午前中のタクシーって
なかなか来ない……そういうときに、
このホテルを拠点に旅をうんと楽しんで
ボーイさんにその姿を印象づけた
プリティでキュートな女の子が
タクシー欲しがってたら?
もう他のお客さんどけて、どうぞ、って。
ノリスケ わあ。
ジョージ 特権はね、必ずやって来るんだよね。
目立って可愛い、
あるいは目立ってエレガントなお客さんには、
必ずやってくる。
ノリスケ 御褒美がくる……
つねさん 目立って可愛く見せる、
エレガントに見せるには、
「ちゃんとする」ってこと?
ジョージ ん、だから、まずは笑顔だよ。
ノリスケ 笑顔とマナー。
ジョージ 笑顔とマナー。
それと、見苦しいほどの荷物を持たないこと。
ルイ・ヴィトンでお買い物をしたら……
つねさん 1回帰るの?
ジョージ 1回帰る。
ノリスケ そう、何往復もする(笑)。
ジョージ そう。
ノリスケ それが楽しい、と。
ジョージ お部屋に帰る、お部屋に帰って1回開けて。
自分が買った、そのおバカな所業のね、
結果を見る。しげしげと眺める。
で、あ〜ん、買っちゃった。
つねさん で、次行こう、と。ま、いいやっ。
ジョージ そ。で、次のところに行く。
そこで運良く買わなくて済んだらば、
次のお店に行く。で、次のお店で
運悪く(笑)何か買ったらば、
もう1回、戻る。
戻って2つ並べて反省会をする。
で、もう1回出てく。
この、性懲りもない行動の繰り返しなのよねー、
お買い物って。
ノリスケ お金の払い方ってさ、
トラベラーズ・チェック、現金、
クレジット・カードってあるけど、
現金じゃ、ダメ?
ジョージ や、僕は現金でも構わないと思うよ。
ただ、現金の出し方、だよね。
現金でスマートに決済をするっていうのは、
すごく難しい。
ノリスケ うん、難しいよね、
かえって難しいなとは思うよ。
つねさん あ〜。やっぱりカードがいちばん
楽なんだよね。スマートだよねー。
ジョージ うん、スマートだし、
名前を覚えてもらうきっかけにもなるし。
で、日本へ戻ってきて
リファンドかなんかしたいときにも、
クレジット・カードだと簡単にできるしね。
ノリスケ 保証が付いてたりするからね。
つねさん それこそほら、こんな札束?
こーやって数えて、
ポーンッて出すのって、何か……
ジョージ うん。
ノリスケ 品良くやるのは難しいっ。
ジョージ そうだね。むかし、
ド高い時計買ったときに、
銀行から下ろしてきたばかりの札束
ドーンと置いたときには……、
置いた瞬間は、すごい、
意識が高揚してるんだよ。
やったぞ、買ってやるぞ、って思うんだけど、
それをね、少々お待ち下さい、って
みんなが血相変えて勘定するわけじゃん?
もう、どんどん恥ずかしくなってくるの。
ノリスケ ハハハハハッ。
ジョージ あ、やめて、お願いだから、
別室で勘定して、って思うんだけど、
別室に持ってって、
お金が足りなかったらダメだから、
みんなで目の前で勘定するんだよ。
つねさん あ、そっか。
ジョージ もうね、すーっごい悲しいよ。悲しい。
でも、もっと悲しいのが、
クレジット・カード出して、
たとえば、アラモアナ・ショッピング・
センターの角にあるルイ・ヴィトンに
夕方の6時半ぐらい行って、
おそらくもう入場制限する寸前ぐらいに
人が入ってるなかを、
椅子に座らせてまでもらって、
いい対応をしてもらって、買うもの決めて、
カード出して、リーダーにかけたら、
「お客様、申し訳ありません」
って、言われたらどおしよ〜? って!
ノリスケ 限度額なしのカードを
持ってくしかない?
そういうわけにいかないわよ。
ジョージ だからね、出かける前に
カード会社に電話だよ、絶対。
つねさん いくら残ってるか、っていう?
ノリスケ ううん、上げてもらうんでしょ?
限度額を。
ジョージ そう、上げてもらうの。
申し訳ないけど、
海外旅行に行くので、って。
つねさん あ、そういうの、出来るの?
ジョージ うん、それは、ふつうにできることよ。
あのね、たとえば昨日まで
日本ではカードで月額1万円だけ使ってた人が、
ハワイでいきなり、
25万とかっていう決済起そうとしたら、
盗難カードか? っていうふうに出るんだよ。
限度額よりも、不規則な使用の仕方をしていると、
おかしいっていうのが出ちゃうことがあるの。
だから、ちゃんと電話を掛けて、
たとえば1週間後の何月何日から何日まで
ハワイに行きますので、
海外だから手持ち不如意になったときに、
急に高額の買い物するかも知れませんから、
よろしくお願いします、って言うと、
30万ぐらいの限度額のカードが、
30万掛ける1.5の45万円ぐらいまで
上がるには上がるんだよね。
つねさん そうなんだ……知らなかった!
ジョージ これはまず絶対忘れないこと。
で、自信を持ってカードを出してね。
で、これもあれだよ、
パーティに呼ばれたのと同じで、
背筋をシャンと……ね!
ノリスケ 伸ばして……
ジョージ そう、椅子には浅く座って。
絶対、足は組まない。
足を斜め35度くらい。
ノリスケ 揃えて!
ジョージ そう、揃えて。
で、両手を膝の上に乗っけて。
カードがやってくるのを待つ。
楽しいよー、その瞬間って。
あ、でもね、ブランドのお店はね、
いいお客さんであればあるほど、
対応がスピーディじゃないです。
だから、待たされるのは我慢しましょう。
ノリスケ あ〜。
ジョージ カード渡して、
カードがなかなか戻ってこないってことも
あるからね。落ち着いてね。
つねさん イライラして、すいませーん、とかダメ?
ジョージ ダメ。「私のが後回しにされてる」なんて、
ぜーったい思わないこと。
……たまに忘れられてることもあるんだけど。
ノリスケ ハハハッ。
ジョージ 日本人ほど手先、器用じゃないから。
おくるみも、大変でしょ?
ノリスケ 下手だから。
ジョージ ねー。で、少々、こう、
ゆがんでても、怒らない。
時間がかかってても怒らない。
ニコニコしながら。
で、ヴィトンあたりだったらば、
横に置いてあるカタログか何かを眺めながら。
ノリスケ ニコニコして。
ジョージ そう。エルメスだったらば、
売り場を、まるで美術館を歩くように?
つねさん 後ろ手を組みながら。
ジョージ そう、後ろ手を組んで、
ゆったりゆったりと、見て歩くの。
もし、1人じゃなくって
2人以上で行ってるときは、
何か穏やかに話をしながらね。
つねさん あー。
ジョージ こんな素敵なのがあるわー、
とか言いながら歩いてると、
ああ、なーんて買い物しなれた
人たちなんでしょう! って、
東南アジアだとかなりの頻度でもって、
ギフトがついてくるわよー。
つねさん わー。
ジョージ うちにある香水のミニ・ボトルはほとんど、
ギフトよ。で、そのミニ・ボトルがそのまま、
おみやげになったりとかして!
つねさん あー、でも、それはいいよね。
ジョージ そう。だから「与えよ、さらば……」
つねさん 与えられん。
ノリスケ 求めよ、じゃないのね。

(もうちょっと、つづきます)

2001-06-24-SUN

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