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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

賢いレストラン。その1
情報はどこで探すの?

ノリスケ このごろさ、新宿のデパートの
地下のパン屋さんにさ……
つねさん 並んでる。
ノリスケ 行列、好きじゃないんだけど、気になる(笑)。
あれってパン屋さんに並んでるでしょ?
つねさん あーん、あの、中村屋のメロンパン。
ジョージ ……ごめん! 僕、並ぶー。
つねさん ワッハッハッハッ!
ノリスケ ハハハハハハッ。意外っ。
ジョージ 事務所の女の子たちに、一応ね、
たまにはね、貢ぎ物をしないといけないんで。
10時から販売開始なんで、
うちの会社10時からなもんですから、
遅刻するんですけども。
つねさん ハハハハッ。
ノリスケ 10時に、そこにいるわけだからね(笑)。
ジョージ そう。すいませーん。
つねさん 経営者が(笑)。
ジョージ ごめんなさい。
「今日、何人いるの? 女の子」とかって。
1人5個までしか買えないんだよ。
つねさん じゃ、何度も並ぶの?
ジョージ そうなの。10人いたら、
2回並ばないといけないんだけど、
2回目は、もしかしたら、
ないかも知れないじゃない?
ほーすっとね、道行くね、
サラリーマンとかおばさんとかに声かけるの。
すいません、僕と一緒に
並んでくれませんか? って(笑)。
ノリスケ すーごい!
つねさん そういうことしてたんだ!
ジョージ そうだよ。
つねさん 知らなかった。
ノリスケ それはすごい。
つねさん 最近も?
ジョージ うん。
ノリスケ けっこう、それって、
「いいですよ」って言われるもの?
ジョージ うん、言われるもんだよ。
その、良さげな人を選べば。
だって、分かるもん。
これから、この人、もう、
バシャーンてタイム・カード押して、
あとは談話室滝沢で1時間いるしか、
午前中はないんだな、っていうおじさん、
分かるもん、見てると。
ノリスケ ああ、ヒマな人ね。
……そういう風な、ナンパって、
されたことがないな(笑)。
つねさん わーっ。
ジョージ ありゃっ。
ノリスケ 一緒に並んでくれませんか? だよ。
やだっ、行列、きらいっ。
ジョージ でも、でも、ディズニー・ランドとか、
行くでしょう?
ノリスケ 行くよー。
つねさん ああいうところで並ぶのは平気?
ノリスケ できれば並びたくないけど、
それはしょうがないもん。
待った甲斐があるのが、
わかってるから、平気。
つねさん でも、あれだよね、こないだの、吉田カバン、
並んで入ったら、つまんなくって
何も買わずに帰ってきたよ。
ノリスケ どこの吉田カバンで並ぶのー?
青山の裏のとこ?
ジョージ そう。あそこがね、たまに何か、
限定商品出すの。だから、並ぶんだよ。
ノリスケ じゃあ、おばさんも若者も
限定品に弱いということでは、
いっしょなんだ。メロンパンと同じ。
ジョージ そうねー。
つねさん そ、いっしょなんだけどさ。
限定モンって、弱いよね。
ジョージ 反省としてはさ、
雑誌系の情報を丸のみにすると
無駄な行列に加わることになるよね。
躍らされる私たち。
つねさん でもー、雑誌の情報って、
有意義だと思う派だなー。
だって、それなかったら、
わかんないじゃん? ってもんて、
いっぱいあるでしょ?
ジョージ うん。
つねさん 知ってる人は知ってるけど、
知らない人って知らないから。
ノリスケ ほんとは、でも、足で探したりするのがね。
つねさん でも、歩いてもわかんないことって、
あるじゃない? たとえば、それが
自分の生活圏になかったりとか。
ノリスケ それは、否定はしないけど。
雑誌は確かに、ヒントにはなるんだけど。
ジョージ ふん。新しいお店とかって、どやって見つけるの?
ノリスケ 新しいお店、あんまり行かない……(笑)。
ジョージ ババア。
ノリスケ がーん。
つねさん 馴染みのお店しか行かない?
ノリスケ 人に教えてもらって行く、
っていうのは、あるけど。
ここ(オーガニック系のカフェ)だって、
今、そうだし。
ジョージ 仕事柄、新しい店見つけないといけないから、
必死にはなるよ、僕は。
ノリスケ そうだよね。
ジョージ うん。ぜったい行列には頼れないし。
行列って、ほとんどがガセネタに
躍らされてる結果なの。
あのね、行列が出来てるよー、
とかっていうところに行くとね、
たいてい、目ざとくって自主性のない
ババアが並んでるか、
口半開きで顎に力の無さそうな
若い男の子と女の子が並んでるか、どっちか。
つねさん ハッハッハ!
ノリスケ 顎に力(笑)。
でさ、じゃあ、あなたは、
どこで情報を集めるの?
ジョージ 雑誌を見るよ。
つねさん 読んでんじゃん(笑)。
ジョージ でもね、雑誌の読み方があるのよ。
おんなじ雑誌をね、
ずーっと続けて読まないとダメなんですっ。
ノリスケ 何読んでんの? 『GINZA』?
ジョージ 『GINZA』、『マリ・クレール』、
『家庭画報』も読むよ。
女の雑誌は、ほとんど読むよ。
でも『クロワッサン』は、もう見なくなった。
ノリスケ おばさん過ぎて?(笑)
ジョージ いや、違う。あのね、違う。
不思議なのが、30代の前半って、
『クロワッサン』読んだんだよ。
自分と違う世界だったから(笑)。
で、今クロワッサン読むと、
いやーっ、どうしよー、って思うよ、
更年期障害がどうとかね、
そろそろ老後のことを考えてみようとか。
ノリスケ リアルすぎて、正視できないのね。
いちおう、女性誌じゃなくて、男性女性両方が
ターゲットだから、余計よね。
ジョージ そう。あの、収納上手な奥様の、
ワードローブの中とかっていうのはね、
ちょっとね、ちょっと身近すぎる。
ノリスケ 男性誌系は読まない?
ジョージ もちろん読むよ。『GQ』、
『エスクワイア』、『メンズ・エックス』、
どうたらかーたら、あと、『ブリオ』だっけ?
ノリスケ 一通りぜんぶ、だね。
ジョージ そう。ぜんぶ読む。毎月読む。
ノリスケ そりゃすごい。
特集によっては買うけど……
ジョージ でもね、その買い方がいちばんいけないと思うの。
たとえば、んーと、今月の特集が、
美味しい中国料理屋さんで、
自分は中国料理が好きだから、
たまたま買ってみました、っていう見方は、
いちばんいけないのかも知れないのよ。
ノリスケ どして???
ジョージ うん。だって、その雑誌の傾向とか知らないで、
店の情報だけもらって、
面白そうだと思って行ったら、
自分が思ってるような客層のお店では
なかったりすることが多いから。
だから、とりあえず
「この一冊」っていうのを選んで、
それずーと読むのがいちばんかな? って思うけどね。
ノリスケ 情報を信じる根拠をはっきりさせるってことね。
ジョージ うーん、情報は、信じるのも大切だし、
やっぱりトータルで
その情報の世界の住人にならないと
楽しめないんじゃないの?
つねさん そうか。
ジョージ でもね、こないだ仕事でシンガポール行ってね、
結構おしゃれで、出来たばっかり、
出来て半年ぐらいしか経ってないような、
いいレストランに、
日本の女の子たち来てるんだよ。
だから、情報収集力が
すごいんだろうと思うんだよね。
ノリスケ へえええええ。
情報収集力と行動力が、
両方あるんだね。
ジョージ あるある。
ノリスケ 男の子には、それが欠けてるよね。
ジョージ そう。ただね、
情報収集力と行動力はあるんだけど、
情報集めて行動する間の大切な部分、
踏んでなかったりするの。
ノリスケ それは、なあに?
ジョージ だから、自分で行動しちゃうの。
いいレストランだったら、
お店に実際に行く前に
しなきゃいけないことがひとつあるんだよね。
つねさん おしゃれとか? じゃなくって?
ジョージ その前に、なの。
よし、今回は、レストランに絞って
話をするわよっ。
ノリスケ レストランに行く前にまずすること……
……予約?
ジョージ そう、予約しなきゃいけないんだよ。
んで、たまたまね、
シンガポールで行ってたお店に、
2組、日本の女の子たちが来てたの。
で、1組目は、も、
ほんっとにひどいテーブルなの。
で、おそらく予約はしたんだろうと思うんだ。
週末で満席のお店で、
それでもテーブルがあったから。
景色が売りもののお店なのに、
もう、景色も何にもない、
トイレの入り口、みたいなとこなんだよね。
ノリスケ かわいそー。
ジョージ で、もう1組の子たちは、
予約も何にもしないで、
雑誌の記事だけ切り抜いて、やって来て、
入り口のところで待てって言われて、
僕たちがお店に入ってすぐ来て、
2時間ぐらい食事して、
帰ったときにもまだ座ってたから、
2時間以上待たされてるんだと思う。
つねさん かわいそう。
ジョージ どっちもかわいそう。
ノリスケ せっかく、そうだよね、
男の子にはない情報収集能力があるのに、
そこで損をするのは、かわいそうだわ。

(つづきます)

2001-07-01-SUN

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