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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

賢いレストラン。その2
さあ予約をしましょう。

ジョージ 海外でのレストランの予約ってね、
自分たちですると多分、
あんまり上手でない英語で、
要領も伝わらないよね。
つねさん んー、あ、そっかそっか。
ノリスケ 希望したいことが伝えらんないもんね。
ジョージ そう。
でも、僕は、すごいいいテーブルをもらいました。
ノリスケ わかった。ホテルのコンシェルジェ使ったんでしょう。
ジョージ そう! 泊まってるホテルから
予約を入れてもらったの。
つねさん あっ。そっかそっか、それか。
それだったらみんな出来るよね。
ジョージ そう。
ノリスケ でもね、コンシェルジェって活用してないよ、
日本人の観光客。僕も……ほとんどない。
つねさん 僕も、知らないもん。
ノリスケ ほんとにしないね。うん。
ジョージ 金つかませるの。
ノリスケ 「チップ」って言いなさいよ。
そんなに、そでの下、ワイロみたいな意味ではなくて。
いくらくらい払うものなの?
ジョージ 10シンガポール・ドル……700円ぐらい?
つねさん それは投資なのね。
ジョージ うん。どこそこに、こうこうこういう
レストランが出来たらしいんだけど、
(ここらへんから、かわいらしく)
行きたいなっ。
でも、週末だから取るの難しいかなっ?
って。
ノリスケ ヒヒヒヒッ。そんなに小首かしげて!
ジョージ 行きたいなっ。って。
そうするとね、
トライしてみましょう、とかって、
電話してくれるんだよ。
でも、人気のレストランだから、
そう簡単にはいい答えが返ってこないの。
おたばこお吸いにならないのであれば、
奥まった席しかあいていないと……とかって。
それを聞いたらもういちど拗ねます。
……んーっ、景色がいいって聞いたの〜〜ん、
とかって(笑)。
つねさん ハッハッハッハ。
ほんとなの?
ジョージ ほんとっ。
そう言うと、
どうしても、大切なうちのゲストなので、
よろしくお願いしたいんだけど、って
必死になって言ってくれるよ。
僕は、行きたいの〜〜ん、
って言っただけなのに(笑)。
つねさん ハッハッハ!……でも、
そういう押しの強さって、
なかなか出来ないよね。
ノリスケ 引いて押して、みたいな感じ?
そんなの、あなたしかできないわよ。
ジョージ でも、女の子なら、できますっ。
そういうときに、上手に演じてくださいっ。
つねさん そっか。
ジョージ うん。
ノリスケ そうかー。交渉するにしても、
四角四面に言うことは、ないよね。
海外に行くとやってしまいがちなのが、
あらかじめ情報をたっぷり詰め込んで行くでしょう?
で、このレストランに行きたい、
なら自分で予約をしましょう、
予約の英語を暗記して、その通りにする、
というのが、第一段階なんだろうけど、
それって、すごくガードを堅くして、
「私は大丈夫、私は大丈夫」って暗示かけながら
動いてる、って感じはするよね。
コンシェルジェを使うのは
第二段階、上級者って感じする。
ジョージ さらに第三段階もあるのよ。
そうやって一生懸命コンシェルジェが
取ってくれて、行ったらやっぱり、
それなりにお行儀良く食事をするでしょう?
そしたら、案内してくれた、
そのレストランのマネジャーみたいな子に、
「ほんとは取れなかったはずなのに、
 僕が泊まってるホテルのコンシェルジェって、
 ほんとに良くやってくれてね、嬉しかった!」
とかってちゃんと言っておくの。
するとね、彼らは彼らで
ネットワークがあって、
そのことが、当のコンシェルジェに伝わるの。
翌朝、ホテルのロビーぶらぶらしてたら、
彼が来て、昨日、どうも私に勧められて
行って頂いたようなことを言って頂いて、
ほんとにありがとう、とお礼を言われたよ。
ノリスケ ほーっ。
ジョージ で、他に、あのお店と違うタイプで、
こうこうこういうレストランがあるけど、
どうしようかー、って、新しい情報をくれるの。
ノリスケ おおー、出てくる出てくる(笑)。
つねさん 芋づるなわけだ。
ジョージ 何だったら、お取りしますよ。
で、そういうふうに1回ドアが開いたら、
そのドアから向こうを、徹底的に……
つねさん 侵食するの?
ノリスケ 探検とか、探訪とかって言ったら?
ジョージ そう。それで、やっぱり、
僕が僕が、っていうんじゃなくて、
1回きっかけ作ったら、
あの人のおかげで、あの人のおかげで、
って言うと……
つねさん 要するに、相手を立てるんだ。
ジョージ そう。情報がグルグルグルグル回って。
で、褒めてくれたその人は、
もっと何かしてあげようと思って、
色んなことを教えてくれるよ。
そういうふうにしていくと、
情報収集することじたいも、
とっても楽しいものになるんだよ。
つねさん 素晴らしいね。でも、結局、
そういうあなたと一緒に行ってるから
自分、何にも出来なかった、
独りで行ったら(笑)。
ノリスケ 外国だったら、そうやりましょう、
とは、まあ、言えるけど……。
ジョージ んー、でも、日本でもそうだよ。
ノリスケ 日本でもそう? でも、日本だったら、
旅行に行ったら、まあ、ホテル泊まるけど、
東京に住んでる子が、
東京のレストランに初めて行きましょ、
と思ったら、自分で予約をするしかないよね。
ジョージ うん、そうそう。
ノリスケ でも、それは、言葉が通じるんだから、
言い方があるのかな?
予約の仕方、間違ってたかなー。
ジョージ 言葉は通じるけれども、
そのときの予約の仕方で、
やっぱりレストランの受け入れ体制、
決まるからね。
つねさん はあ〜。
ジョージ 予約の電話するときって、
どういう風にする?
つねさん したことなーい。
ノリさんは、予約の電話、入れたことある?
ノリスケ 予約の電話? あるけど、
べつに、ふつうに……
1回行ったことあるとこならな、
どの席がいいです、
って言ったことあるけどなー。
初めて電話するときって……
ジョージ まず、知ったかぶりしちゃいけないんだよね。
ノリスケ あー、それはそうだね。
ジョージ うーん。2回目3回目行ったとこだったらば、
どういう場所で、どういう風に
電話を受けてくれてるかまで分かるでしょ?
ノリスケ 分かる。想像できるね。
ジョージ でも知らないお店のときにはね、
やっぱり、
私は初めてこのお店に電話をかけました、
っていうことを言わなきゃいけないの。
つねさん うん。
ジョージ あと、そもそも予約の電話かける
時間帯を間違えると、
ぜったい相手にされないからね。
つねさん ああ、忙しい時間とか?
やっぱ、夕方ぐらいにかけるとか?
ノリスケ うん、そうかな?
ジョージ んーとね、だいたい、
当たり前のお店だったら、
3時ぐらいから仕込みをしてるよ。
2時から3時ぐらいの間から
仕込みをしてるから、
……ただ、2時とか3時とかに電話をかけると、
コックさんしかいなかったりとかするの。
ノリスケ ああー。
ジョージ で、ホールの人が出てくる時間っていうのが、
4時ぐらいかな?
3時半から4時ぐらいかな?
だから、4時ぐらいに電話をかけるのが
いちばん。4時から5時のあいだ。
ま、5時から6時の間も許されるのは
許されるけどね。
ノリスケ で、初めてだったら、初めてです、
ってことを言う。
ジョージ うん。
ノリスケ 雑誌で見ました、とかは言ったほうがいい?
ジョージ 初めてお電話をかけるんですけど、って言うの。
そうするとね、お店によっては、
「どちら様からの御紹介でしょうか?」
とかって言われるお店もあるの。
そう言われたら、
あ、このお店は、すごい、サロン的なお店で、
まわりのお客様に溶け込む努力をしないと、
ぜったい楽しくないってことがわかるの。
そういうこと聞かれなかったとしても、
あの、どこそこのどうこう、
こういう雑誌を拝見して
お電話を差し上げてるんですけど、
って正直に言うの。
雑誌にのっかってる料理っていうのは、
いつもある料理でないことが
ほとんどだったりするので、その確認もこめて。
つねさん そうだよね、季節のスペシャルだったりとか。
ジョージ そうそう。あ、その雑誌を
ご覧になったんであれば、
こうこうこうした商品は、
今の季節、ないんですよー、
とかって言ってくれたりとかもするよね。
つねさん ああ。
ジョージ で、そん次には、時間と?
つねさん 人数と。
ジョージ 人数と。
つねさん あと、やっぱり、予算なり、
どういうのが、とかって。
ジョージ うん、それも正直にね、
だいたいどのくらいの予算かを決める。
他には?
つねさん あとは、何だろう?
ノリスケ どういうメンバーで行くか?
ジョージ 目的ね。これを伝えないと、いけません。
ノリスケ わ……それ伝えたことないや。


(つづきます)

2001-07-02-MON

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