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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

生きていく私。その3
強く生きるっていうこと。

ジョージ でも、人から色々とやかく言われるのって、
ガクーンてくることって、あるでしょう?
ノリスケ ある。
ジョージ どゆときに、やっぱ、いちばんショック?
ノリスケ 見知った人に面と向かって言われるのは
大丈夫。すぐのみ込んで、すぐ消化して、
すぐ直せるから。
つねさん あの、うん、納得いかないこと言われたとき、
僕、ダメ。
ジョージ 問題の本質つかれたときには、
仕方がないかな? と思うけど、
違うこと言われたときは……
ノリスケ 一を見て、十までを、
決めつけられるのは、やだねー。
ひとつのことを取り上げて、
僕の全ての世界観を侮辱するようなことは。
ジョージ 自分を分かってもらう段階って、
いくつかあると思うんだよね。
いちばん最初は、言葉を尽くして、
自分の本質を伝える努力を、
みんなに分かってもらう努力をするけど、
それは、絶対、無理なんだよね。
で、その次には、ほんとうに自分のことを
分かってくれそうな人を探して。
そん次にはもう、
ひとりひとりに話しに行くしかないよ。
で、そういうことが不可能な、
たとえばネットでの誹謗中傷とかってもう、
仕方がないんだろうね。
ノリスケ そう、仕方がないと思う。
ジョージ あと、強く生きるっていうの、
どういうの? そしたら。
つねさん 僕、人間強くないと思ってるから。基本的には。
ジョージ 人間は強くないよね。
つねさん うん、絶対、強くない。
強くなれるっていうのは、どっかに、
はけ口があるからなんだと思う。
それが家族だったりとか、
恋人だったりとか奥さんだったりとか、
すると思うんだけど。
ノリスケ はけ口っていうより、
100の罵詈雑言があっても、
1の信頼があったときに、
その1の信頼が、とても大きな木だったら、
僕は大丈夫、っていうような、気持ちじゃない?
つねさん そうそうそう。だから、信頼っていうか、
寄りかかれる部分があれば、
強くなれると思う。
だって、つっぱってたって、
つっぱってる子、僕いっぱい知ってるけど、
みんな弱いもん。
ただ、たとえば顔がね、恐いから、とかね(笑)。
ノリスケ 顔が恐いから(笑)?
つねさん あの、けっこうつっぱってる、
兄貴ぶってるからっていうんで、
すごい頼りがいがあるとか、
そういうふうに見られる子って、
いっぱいいるんだけど、
そんなのぜんぜん、強くも何ともないよ。
ただ自分を演じてるだけで、
お前、実際弱いでしょう? みたいな。
ジョージ よく、落ち込んだら、
自分よりもっと悲惨な人がいる、
と思ってどうこう、って言うじゃない?
つねさん マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグみたいに?
ジョージ あれは最悪だよね。
人間、いったん下を見たら、
もう途端に、自分も下に見られてるんだな、
って思わなくちゃマズいんだよね。
つねさん たまに言われるもんね。
ジョージ だって、ねぇ? 誰かから、
自分のほうがマシだから、
って思われる自分っていうのを思ったら、
絶対思っちゃいけないよね。
絶対上を見続けるの。
つねさん でも、それこそ誹謗中傷されたときに、
あれよりはこっちのほうがいいじゃん、
とかって言われ方されたら、
やっぱ下見ちゃうよね。
で、なんで? 俺の方が上じゃん。
とかって、比べちゃう。
で、そういうのポロッて、言っちゃったら……
ノリスケ そのしっぺ返しは、自分に来るの。
ジョージ ま、比べる、比較するんだったら、
昨日の僕とか去年の僕だよね。
ノリスケ 自分とね。
ジョージ だって、……わかりやすく言うと、
ダイエットするときは、
それしかないでしょ?
つねさん そうね。
ジョージ 目標設定と目標達成はもう、
たえず自分が中心、自分が基準なんだよ。
ノリスケ そうね。
つねさん でも、自分なりの、って、なかなかみんな、
考えないわけよ。恋愛にしたってそうじゃん。
なんか「あんたは、いいよねー」って、
言うだけ言うけど、じゃあ、
お前はどういうふうな努力してるの? っていう。
ノリスケ あんたはいいよね、は、やだね。
いいなー、って言われんのが、
いちばん嫌いだな。
つねさん (ジョージさんに)
もてるからいいよねー、とか、
よく言われてたでしょ?
ジョージ 言われたよ。
ノリスケ そういうときは
「いいでしょう?」って言うの?
ジョージ もて過ぎるのってめんどうですよ、
って答えるの。
ノリスケ ハハハハハッ。
ジョージ で、もてなくて、幸せですか?
って聞くの。そうすると、絶対、
自分はもてない、って言わないよ。
「いや、僕もそこそこは、もてますから」
って返ってくるよ。
つねさん 張るのね。
ジョージ いや、人間ってそうだよ。
僕は、その人は、僕はそこそこもてますから、
って言うことによって、
人間性取り戻したと思うもん。
つねさん ああ。
ジョージ ぜーったい、誰にも同情しないし、
同情されたくないし。
だから、そういう意味では、
言い訳をする人は大っ嫌いだね。
たとえば、僕は背が低いから。
言い訳にはなんないもん。
だって、世の中には背が低い人を好きな人が、
いっぱいいるんだから。
僕はデブだから、も、言い訳じゃないでしょう?
ノリスケ うん。そうそうそう。
ジョージ 下手したら、僕は性格が悪いから、
っていうのも、言い訳じゃないかもしれない。
つねさん いるいるいる、いっぱいいるよね。
ジョージ 僕、足が臭いから。
ノリスケ ま、だんだん難しくなるけどね(笑)。
ジョージ これも言い訳じゃないかも知れないんだよ。
これは、振り出しに戻って、
二丁目に捨てるゴミなし、てことなんだけど。
ノリスケ 微妙なとこだね(笑)。
ジョージ この世界のことを考えれば、
絶対に、言い訳はないんだよ。
だから、ある意味、
僕たちは言い訳のきかないところに
生きてるんだよね。
(つづきます)

2001-07-11-WED

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