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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

カミングアウト。その4
マダムへの道。

つねさん 僕、でも、いなかにいたときに、
カミングアウトしてなかったけど、
一時期一緒に住んでたことがある人がいて。
で、そいつがすごい、
喋り方とか仕草に出る人だったんだよ。
だから一緒にいる僕も
「そうでしょ?」って認知されちゃってた。
ジョージ ベタベタな喋り方とか
女っぽい仕草をしなくっても、
そうじゃないかと思ってた、っていう人は、
いっぱいいる。
つねさん 僕、1回、初対面の女の子に、
僕の相方のこと知ってた子なんだけど、
「つねさんってもしかして、そうなんですか?」
って訊かれたことある。
ノリスケ ズバリ(笑)。
つねさん ズバリ言われて。
そしたら、横にいた女の子が、
「だーめよ、ほんとにそうだとしても、
 面と向かって言っちゃダメ」
とかって(笑)
変な弁解の仕方してさ。あ〜。
ジョージ で、どうしたの? そのとき。
つねさん いや、濁した。
僕、基本的にカミングアウトはイヤなんで。
ジョージ あ〜。
ノリスケ ふーん。
つねさん あ、相手を選んで、
一部の友だちには、してるよ。
ノリスケ 友だちへのカミングアウト。
少しづつだなー。
少しづつ、この人にはしといたほうが、
この先の人生、ずっとつきあっていきたいと
思ったら、言いたいよね。
つねさん うん、あの、関係が、
しても変わんないんだったら。
ノリスケ さっきの、好きな二人のことは、
迷ったよ。結局していないんだけど、
占い師に聞いたこともある。
つねさん そしたら?
ノリスケ ひとりは、すぐに受け入れて、
それがどうしたの、って理解してくれるけど、
もうひとりのほうは、
すぐに理解できなくて、
かえって悩ませちゃうって。
結局、言ってない。
ジョージ 別に、別にねー、
しなくてもいんだろうけどね。
つねさん そうそうそう。
ノリスケ しなくてもいんだろうけどね。
ジョージ するのが趣味の人もいるんだよ。
つねさん あ、いる。
ノリスケ いる。
つねさん あの、僕、なんか、若い子で、
某所で知りあった子が、女の子と話してんの。
もう、カミングアウトしまくってるんだよ、
初対面の子に。で、えーっ? と思ったら、
だって僕、自分のことカミングアウトしないと、
自分に嘘つくのイヤなんですよー、って。
で、カミングアウトしない自分っていうの、
半分以上、自分を出してないんで、
そういうのすごいイヤだから、
僕はちゃんと言うんです、って。
それ、ちゃんとかどうか、
ようわからへんねんけどな、みたいな。
ジョージ そういうのってさ、たとえば、
ノンケで女装癖のあるオヤジが、
だれかれかまわず、
僕は女装が好きなんですよ、って言わないと、
自分の全てをさらけ出してなくって、
気持ちが悪いっていうのといっしょなんだよね。
ノリスケ アハハハハ。変な話だよね。
つねさん ねぇ。僕はマゾだから、
縛られてロウソク垂らされるのが好きなんですよ、
そういう僕を知ってください、って
言って歩く人なんて、いないわけじゃん。
ノリスケ 就職活動でも言わないよね。
ジョージ そー。
ノリスケ なんか、それ、プチ・リブだよね。
つねさん そういうふうに、聞きたくもないのに
聞かされちゃうのって、
暴力だもん。
ノリスケ そうだよね。
ジョージ だって、たとえばさ、
僕が誰かといっしょにいて、
メシ食ってて、飲んでて。
で、そいつが急に、
僕、ゲイなんですよ、とかって、
周りの人に言い始めたら、
そいつといっしょに行ってる
僕の立場はどうなの? って。
つねさん あるある。
ジョージ 僕もそうだと言わなきゃいけないの?
って思う。
つねさん そう、だから、前にさ、
変な女に引っ掛かったって言ってたじゃん?
そしたら、僕、ノンケの友だちと3人で
ふつうの飲み屋で飲んでたの。
同じ店で、その女が4人で飲んでたんだよ。
で、僕ちょっと用事があって抜けたの、数時間。
そしたら、その間に飲み屋で、
女が、私ゲイの人、すごい好きなんですよー、
つねさん、好きなんですよー、
とかって言ったんだって。
そしたら、その飲み屋のマスターが、
え? じゃあ、つねさんってそうなの? って。
うちの友だちが、2人でフォローしまくって。
そんなことない、そんなことない、とかって。
あれは辛かった。
ジョージ うん、そうだね。あと、けっこうね、
これは僕らも、僕らっていうか、
だれでもしちゃうことなのかな? と思うけど、
何気なく言った一言で、
いたく傷つくことってあるよね。
ノリスケ あるよー。
ジョージ フツーの女の子からさ、
なんかオカマっぽーい、とかって言われると、
あ〜、オカマっぽいんじゃなくって
オカマなのにー、とかって思うことあるよ。
つねさん ウハハハハ。
ノリスケ 人から言われるのって、
やっぱり困るね。
ジョージ イヤだね。
ノリスケ こないだ、会社で、同僚に
「わたしの知ってる二丁目のひとは
 ノリさんだけだし!」
って、知らない人がいるときに言われてさ、
あわわわわわわ、ってなった。
ま、いいけど(笑)。
ジョージ 素敵ーっ。
ノリスケ おいー、と思って。おいー。
ジョージ 素敵。
でもさ、ほら、つねさんがカミングアウトして
仕事してる○○○社があるじゃない?
ノリスケ あそこの仕事は僕もしてる。
僕もカミングアウトしてるよ。
ていうか、最初からそういう人という扱いで。
ジョージ ちょっ、ちょっ、そのことに関して、ね?
いいよ、2人とも、
その独自のポジションがあるから、いいよ。
だけど、僕の場合はさ、
僕のポジションって何かって言うと……
つねさん ワッハッハッハッハ!
ノリスケ わかった! アハハハハハ!
ジョージ 「つねさんの彼氏」っていうポジションなんだよ?
つねさん いや、まだ、あーーーっ。うん。
ジョージ こっれはさ、これは、すごいポジションだよ。
でも、けっこう嬉しいの。
何でかって言うと、世の中には、
有名人の奥さんっていうのを
職業にしてる人いっぱいいるわけじゃん? ね?
で、世間に出るのに、
誰々夫人っていう出方しか、
ミセスっていうのはそういうことでしょ?
ミスターズ(Mrs.)だから。
つねさん そうね。
ジョージ で、ワシね、もう、○○○社のなかでは……
つねさん ミセスなのね。
ジョージ こういう認知の仕方が、あったのね、
って思って。すっごい嬉しいのよん。
こないだ、飲み会に出たら、
あそこの女性上司、
ボクを
「みんなーっ、
 つねさんの、彼氏よ〜〜!」
って紹介するのよ。
僕もしょうがないから
「いつもつねさんがお世話になってますー」
っとかって、これってまるで、
うちの主人がお世話になってますって
感じじゃない? うふふ(うれしそう)。

つねさん うるせー。
ジョージ ねっ? けっこう、けっこう楽しい。
ノリスケ ま、覚悟ができてるから楽しいんであって。
つねさん っていうか、この人、会社の経営者、
っていう別の顔があるから楽しいんだよ。
ノリスケ そうなんだよ、それだけだったら辛いし、
ケンカの原因になるかも知んないし。
つねさん そうね。そう。
ジョージ これは面白いよ。
ノリスケ ねー、もう、しょうがないね、
そういう場所だとね。
でも、たとえば宴会の席でさ、
そういうふうに扱われたとするじゃない?
そうするとさ、困るけど、
それはそうだよって、開き直って応対しないと
格好悪いからやっちゃったりするじゃん?
そすると「いいのノリさん、私分かってるから、
ぜんぜん恥ずかしいことじゃないからねっ!」
とかって笑顔で言われちゃうともう、
またもうめんどくさいなと思って(笑)……
ジョージ なんも恥ずかしいなんて思ってないんだし、って。
(いろいろたいへんなのねー。つづきます)


2001-08-06-MON

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