| ノリスケ |
ハハハハハ……
「おまえってひとりのときに
インスタント・ラーメンを食うような
女だったの？」
って、男に言われました。
で、その子はどうしたの？
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| ジョージ |
それはね、偉いよ〜。毅然として、
「アジアの料理、アジアの料理に使うの」
と、言い放ったの。
もちろん、言い逃れなのよ。
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| つねさん |
はいはい、あるよね。
最後にラーメン入れるやつ。
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| ジョージ |
あの、トム・ヤム・クム系とか……
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| ノリスケ |
アジア系のスープ料理は、
麺を使うことがあるものね。
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| ジョージ |
作った後に、
インスタント・ラーメン入れて食うやつ、
確かに、あるんだよね。
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| ノリスケ |
うん、うん。
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| つねさん |
ある、ある。
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| ジョージ |
で、さらに、
それを即興で作って出した、っていうの！
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| ノリスケ |
ほら、このためにあるのよ、って？
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| つねさん |
すごーい。
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| ジョージ |
凄いでしょう。
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| ノリスケ |
かっこいいじゃん。
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| ジョージ |
だから、女のみなさん、
自分ちにインスタント・ラーメンが
転がってるところを男に見つけられたら、
その手しかありませんっ。
そのくらい女のひとり暮らしの女の部屋の
インスタント・ラーメンっていうのは、
男にとって、ものすごいインパクトなんだよね。
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| ノリスケ |
そうか、びっくりするものなのかー。
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| つねさん |
でも、でも、どうなのかな？
あってもいいじゃないの。
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| ジョージ |
あのね、あっても悪くないんだけど、
「あってほしくないもの」って、
世の一般の男が思ってるものって、あるじゃん。
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| ノリスケ |
そうなのよね。確かにね、好きな女の子が、
インスタント・ラーメンひとりで作って
食べてる姿を想像したくない、
ってことよね。幻想なんだけど。
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| ジョージ |
でしょ？
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| ノリスケ |
勝手なものよね。
逆ってあるかな？
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| ジョージ |
ある。男の部屋にあるミリン？
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| つねさん |
はい。ありまーす。
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| ノリスケ |
お料理上手（笑）。
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| ジョージ |
あと、男の部屋に、柳刃包丁から出刃包丁まで、
７・８本、包丁が揃ってるのは？
板前さんでもないのに……あ、でも、
それはちょっと違うな。それはいい。
そうじゃなくて、そうだ、たとえば、
女性のみなさん想像してください。
あなたが好きになって、初めて訪れた男の部屋に
かわいいテディ・ベアが１０体ありました。
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| ノリスケ |
きゃーっ。
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| ジョージ |
……ていうのとおんなじぐらいに、
女の部屋のインスタント・ラーメンは、
インパクトが強いものなのよ。
だから、なるべく「あってほしくない」の。
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| つねさん |
ふーむ。わかったわ！
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| ジョージ |
ねえ、生まれてはじめて
自分で料理を作ったって、
どういうシチュエーション？
誰の手も借りずに、
自分の意志で料理を作ったっていうの。
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| つねさん |
あ、僕ね、小学校のね、低学年ぐらいのときに、
卵焼き作りたかった。
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| ジョージ |
家庭科の実習じゃなくて？
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| つねさん |
ううん、家で。僕、鍵っ子で、
帰ったらひとりなんだよ。
で、なんか、作ってみたくなって、
母の仕事先に電話したの。
どういうふうに作ったらいいの？ って。
電話してから作った覚えがある。
たぶんあれが、家で作った最初の料理だと思う。
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| ジョージ |
ノリさんは？
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| ノリスケ |
僕はね、ちょこちょこしたものは、
作れてたんだ。
温めなおすとかて、やらされてたから。
そうじゃなくて、
創作的なこととして料理をやろうと思ったのは、
ケーキ。
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| ジョージ |
わかる〜！ わかる〜！
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| ノリスケ |
ケーキ、スポンジから焼いてみたかった！
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| ジョージ |
日常的でないものなのよね。
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| ノリスケ |
そう。
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| ジョージ |
べつに、それがなくても食うに困らないものを
作ってみた〜い。わかるわっ。
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| ノリスケ |
それをね、作ってみたくてねー。
スポンジって、ほら、買ってこれたりもするし。
だから、作ってみたかったんだよ。
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| ジョージ |
僕ね、『クマのプーさんの料理本』っていうのが
あってね。
その中に入ってた、
ジャーマン・ポテト・パンケーキっていうのを、
作りたかったの。
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| ノリスケ |
あ〜。
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| ジョージ |
プーさんが、
すっごい美味しそうに食べてたんだよね。
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| ノリスケ |
わかる気がする、それ。
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| ジョージ |
それ、作ったよ。妹と２人で作ったの。
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| ノリスケ |
まず誰かを誘って作るよね。
僕、友だちと作った。
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| ジョージ |
そう。で、その頃ってね、
うち、裕福じゃなかったからね、
じゃがいも２個すり下ろして、
タマネギ１個すり下ろしてとかっていうのをね、
あんたたち、無駄にするんじゃないよ、
って言われながらね、作ったの。
んもー、すごかったよ、作りながらね、
これたぶん失敗するんだろうな、
ちがうよね、これって絶対、
料理にならないよね……て、わかるの。
で、焼いたら、すっごい臭いがするの。
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| ノリスケ |
ハハハハハ。
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| ジョージ |
で、食っても食えなかったのお！
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| ノリスケ |
なに入れたら
そんなになっちゃったんだろうね（笑）。
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| ジョージ |
だって、その通りに作ったもーん。
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| つねさん |
レシピ通りなのに。
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| ジョージ |
そおー。でもね、食えないんだよ。
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| つねさん |
プーさんは人間じゃないから食えたんだよ。
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| ジョージ |
でも、全部焼いたの。
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| つねさん |
で、まずかったんでしょう？
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| ジョージ |
まずかった。
無駄にするなって言われたから、
バロンにあげたの。
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| つねさん |
ブルドッグの。
でもバロンも食わなかったんでしょ（笑）。
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| ジョージ |
そうなの。バロンも食べないんだよ。
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| ノリスケ |
ほんとにまずかったんだね。
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| ジョージ |
すっごいまずかった。それが生まれてはじめて。
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| ノリスケ |
僕も、ケーキは失敗した憶えがある。
なんか、軟体動物ができたの。ダマダマで。
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| つねさん |
俺も、妹のね友だちが来たときに、
ホットケーキ焼いてあげたんだよ。
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| ノリスケ |
うまくいったの？
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| つねさん |
ぜんっぜん。
もう、グチャグチャ（笑）。
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| ジョージ |
パンケーキもそうだしね、プリンとかね。
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| ノリスケ |
プリンも作った！
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| ジョージ |
あのー、んとー、
インスタント・ミックス使わない焼きプリンか、
スポンジとかねー、クッキー。
これはね、作ったよ。
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| つねさん |
すごーい。それはやりたかったなー。
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| ノリスケ |
僕ね、思い出した。
グリーン・スタンプでね、
オーブン・レンジを貰った。
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| ジョージ |
グリーン・スタンプよ、グリーン・スタンプ。
若い人、わかります？ 若い人。
ベル・マークみたいなものなんですけどっ。
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| つねさん |
ハッハッハッハ。
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| ノリスケ |
あれでね、オーブン・レンジを……
オーブン・トースターに
ちょっとオーブン機能が強いやつか。
ケーキも焼けます、みたいな。
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| ジョージ |
ちょっと庫内が大きくって。
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| ノリスケ |
そうそう。それで焼いたんだ。
小学校の高学年じゃないかな。
そのころから、なんか、
おねえさんだったのねえ。趣味が。
だって、ケーキよ、ケーキ。
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| ジョージ |
僕もね、その頃ね、スーパーとかに行って、
ケーキ用品売り場ってあるじゃない？
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| ノリスケ |
ある。
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| ジョージ |
何回も行ったわ。
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| つねさん |
好きだったー？
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| ジョージ |
好きだったよー。
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| つねさん |
トッピング用の、なんか、ナッツとかー？
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| ノリスケ |
細かいお砂糖とか。
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| つねさん |
お砂糖、ああ。
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| ジョージ |
あとね、型抜きのとか？ ああいうのとかね、
どゆのかな？ 文房具みたいな感じなの。
消しゴムだとか鉛筆だとかボールペンだとかを、
集めるような感じで、
ああいうの集めたかったの。
でも、考えてみたらそのころから、
なんか、こっち側に来始めてたのねえ……。
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| ノリスケ |
そうよねえ、スポーツ用品に行くよりは、
そういうほうが楽しかったのよねえ。
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（ちょっと脱線。つづきます）
