明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第2回 ビデオの棚を前に苦悩する

── それでは、ええと、この、
ビデオまわりから行きたいと思いますが‥‥。
ボーズ ‥‥はい。
── このへんは、なに?
ボーズ いやあ、はっはっはっ、
このへんは、いいよ。まだ新しいから。
── 「まだ新しい」ってどういうことよ。
っていうか、すでに溜まりつつあるぞ。
ボーズ 言ってた尻から、
『 山田太一ドラマ』ってテープが(笑)。

── 録画してんじゃん!
「再放送あるから録画の意味ねー」
とか言いつつ、
その再放送を録画してんじゃん!
ボーズ そうなんだよね、それは、ほんとに、いやー、
これはだから、元凶なんだよね。すべての。
── だから、どうすんのよ?
ボーズ ああ、そうか、だんだんわかってきた。
要するに、かさばるものを捨てていくという
方向性ではないんだな。
── ははあ、なるほど。つまり、その、
アティテュードを、捨てていくっていう。
ボーズ そうそうそうそう!
この、なんか、そう、気持ちだよね、この。
── 哲学はいいから、捨てるもの決めましょう。
このVHSビデオの棚はたいへんだなあ。
ええと、これは、8ミリ?
ボーズ 8ミリ。
── これも、録画用?
ボーズ ‥‥うん。
── 「うん」じゃないでしょ!
ボーズ いや、あの、小さいからいいと思って
8ミリにしているんだけど、
それはそれで、溜まっていってて‥‥。
── 『ガキ2003 6月』って、これ、
『ガキの使い(やあらへんで)』?
ボーズ そう。わははははは!
やばいでしょ?
── 最新の自前アーカイブが
もう着々とできてるじゃん(笑)!
ボーズ もう、ほんとごめんなさいって感じなんだけど。
だから、何を切り捨てていきゃいいのかな。
『ガキ』はやめらんないんだよね、録るの。
どうしてもクセで(笑)。
── ものを捨てるまえに録画やめなきゃ。
ボーズ うん。少なくともVHSはやめよう。
── 消極的だなあ。
あっ! ていうかさ、こっちに
『ガキの使い』の市販ビデオ、あんじゃん!

ボーズ ‥‥あるんだよ。
── で、その下に録画した『ガキ』が。

ボーズ いやー、そのへんはね、
けっこうね、きついんだよ(笑)。
なかなか、恥部というか、
恥ずかしいっていう感じもあるんだけど。
── じゃあ、どっちか捨てようよ。
ボーズ でもやっぱりね、あの、
撮ったときの気持ちとかもあるから。
そのビデオ、意外と観るんですよ。
その、市販ビデオよりも。
── なんだそりゃ(笑)。
ボーズ いや、意外と観る観る。
しかも、『ガキ』の隙間に
『ごっつええ感じ』のコントが
挟まってたりして、バランス的にも、
こう、よかったりして。
── どんなバランスだ(笑)。
でも『ごっつ』のほうも
最近DVDになったじゃないですか。
ボーズ ところがなってないコントもあるんだよ。
なんつーか、あれは、
隙のあるアーカイブなんだよ。
── きりがないなあ。
(ビデオ棚を見渡しながら)
ええと、ここに、マジックで
『新世紀エヴァンゲリオン』って
書いてあるビデオがありますが、
これは‥‥必要?
ボーズ いや、これ、借りものだから処分できないのよ。
誰かから回り回ってここにあるの。
── いつから借りっぱなしなんだか。
ボーズ 引っ越しのときに、あまりにも意味のないものは
ずいぶん捨てたんだけどねえ。
あ、これは、あやしいなあ‥‥
『サッカーなど』。
── 『など』、あやしいね。
ボーズ 『など』、いらねぇだろ、っていう。
── そもそも取っとくつもりが、ない感じがします。
ボーズ そういうの、みんなどうしてんだろう?
捨ててんのかな?
── 『サッカーなど』?
ボーズ 『など』。捨ててるのかな? 『ドラマなど』。
── 捨ててるっていうか、
いつの間にかなくなってるんじゃない?
妹が上書きしちゃったとか、
お母さんが捨てちゃったとか。
ボーズ ああ、そっかそっか。
── 要するに、あの、捨てる瞬間にさえ
立ち会わなきゃいいんだよね。
ボーズ そうなんですよ。そうそうそう。
そうなんだよ、これはな。
結果的になくなってたっていいんだもん。
── そうそう。けっこうね、ウチの妻も、
俺が断固として捨てないTシャツを、
こっそりと捨ててるらしくて。
意外に本人は気づいてないっていう(笑)。
ボーズ そう、彼女がそういう人だったりとかすると、
やっぱりね、そうなりますよね。
── 糸井さんところの奥さんも、
片づける人らしいですよ。
ボーズ だから、奥さんってそういう役割なんじゃない?
── 逆はないのかしら?
ボーズ あ、逆も、まあ、いるかもしんないけどね。
でも、溜めちゃうのって、やっぱり男でしょ。
── 属性としてはね。
ボーズ うん。「またくだらないもん買って!」って。
── うーん、これ、どうしますかねえ。
自分で捨てるのは至難なんだよなあ。
ボーズ レーザーディスクとかは
ずいぶん処分したんだけどねえ。
棚いっぱいあったんだけど。
── え、それは捨てられたんだ?
ボーズ うん、まあ、捨てたっていうか、
友だちが、なんかバーみたいなの開いたんで、
その店に全部あげたっていうか。
── 捨ててないじゃん、それ。
ボーズ いや、でも、僕のでは、もうないっていう。
── 所有権を放棄したのか(笑)。
ボーズ そう、もういらないです、っていう。
でもね、レーザーディスク、ひどいんだよ。
1回売りにいったらね、
もうね、なんでしょう、1枚100円ぐらいなの。
── うわああ。それは、捨てるよりイヤかも。
ボーズ ねぇ! もとは6000円とか1万円とかですよ。
それが100円って!
── ええと、ビデオの棚は後回し!
あっちのほう見ていいですか。
ボーズ よっしゃよっしゃ!
(続きます‥‥)

2003-09-26-FRI

HOME
戻る