明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第22回 『自分Tシャツのジレンマ』


── 洋服ダンスとか行ってみましょうか。
ボーズ 服か。そういや、やってないか。
── でも、もう、ずいぶん処分したんだよね?
ボーズ 洋服はね、だいぶ片づけた。
一時期、どうしようもない状態だったから。
── どうやって片づけたの?
ボーズ ええとね、送る方向で。
── 送る? 誰に?
ボーズ 親戚のうちの子とかに。
── またそのパターンだ。
捨てられないから送りつける。
ボーズ うん、親戚のうちの子に捨てる、みたいな(笑)。
── あははははは。
残ったお菓子を口の中に捨てるのといっしょで。
ボーズ そうそうそう(笑)。
── でもこれは喜ばれるでしょう。
人気ブランドばっかりだもんなあ。
ここから出る古着は価値あるなあ。
ボーズ そうだねー。
友だちとかが洋服屋さんが多いからね。
買ったりもらったり
安く売ってもらったりとかして、
服は増える一方なんだけども。
いちおう、欲しくても手に入らないみたいな
服がいっぱいあるから、送ると、
すげー喜ばれるよ。
── その子、いくつ?
ボーズ いま二十歳くらいかな?
── ああ、大喜びだ。
ボーズ うん。もう、「どんどんくれー!」みたいな。
── だよなあ。
ボーズ 1シーズンごとに段ボール1箱とか送るからね。
そういうふうにするようになって
やっと片づきだしたって感じ。
── なるほどー。ちょっと、まあ、
捨てないまでも見てみていいですか?
ボーズ いいよ。このへんはぜんぶTシャツだね。
── ああ、谷川俊太郎さんとの対談でも
Tシャツは捨てられないと言ってたけど。
ボーズ うん。だから、ここに残ってるのは、
ほんとに捨てられないやつだね。
── なんか、とくに捨てられない
Tシャツとかある?
ボーズ ええとね、あ、このへん困ってる。
なんつーの? 自分のTシャツ。
── ああ、ツアーのTシャツとかだ。
スチャダラパーのTシャツね。
わ、もろ自分Tシャツもあるね。
ボーズ そうそう。こういう、
自分系のTシャツってのがけっこうあるわけ。
もう、1箱、2箱ある。
── 質問だけども、自分のTシャツってのは、
大っぴらに着て歩けるものなの?
ボーズ いや、歩けないよ(笑)。
── あはははははは、着て歩けないのか(笑)。
ボーズ ライブのときとかだけだね。
エイプのやつだし、つくってもらって、
できあがったときとかは、
「いいじゃんコレ!」とか
「かわいいし」とか言うけどさ、
まさか30過ぎたおっさんが
自分の絵がついたTシャツ、
街で着れないじゃないですか(笑)。
── ゴリライモが「ゴ」のTシャツを
着てるようなものか(笑)。
ボーズ そうそうそう。常にね。
── 街で、誰かがボーズさん見かけて、
「あ、ボーズだ!」って言って、
近寄ってよく見ると
自分のTシャツ着てるっていうのは‥‥。
ボーズ ヤバいよね(笑)。
かといって、捨てられないし。
── うわっ、捨てらんないし、着られないし。
ボーズ ヤバいんだよね。もうパラドックス(笑)。
── あははははははは。
ボーズ でも、つくるのは好きだからさ、
ライブごとにTシャツ
3枚とか4枚とかあるから。
── あははは(拍手)。
ボーズ それもう10何年やってたら、
もう箱、すげえ。
── ひー、おもしろい。
しかもさあ、どっかの外国でつくった
ペラッペラのダメTシャツならまだしも、
いちいちモノはいいんだよね(笑)。
ボーズ エイプだからね。デザインも
スケシン(スケートシング)とかだし。
だから、できあがったときとか、
超うれしいんだけど、
自分で着られるかっていうと困るよね。
── 部屋着にできるかっていうと
また微妙だしねえ‥‥。
ボーズ そうそうそう。部屋着にしたとしてもさ、
宅急便とかが「ピンポ〜ン」って来て、
自分のTシャツ着て出ていくのもなんじゃない?
── 「自宅でくつろぐゴリライモ」に。
ボーズ なっちゃうんだよ。
いいけど、いいんだけど、
バカだよね、それはやっぱり(笑)。
── はははははは。
全部一周して見てくれたら
それでOKなんだよね。
ボーズ うん。ゴリライモが「ゴ」を着る感じで、
オレ的には笑えるとしてもさ、
ちょっと客観的に見られるとアホですよ。
── うははははは、ゴリライモの苦悩。
ボーズ ‥‥あ、コレ、もう1枚あったわ。

(まだ続きますよー)

 スチャダラパー、4年ぶりの新作発売!
 『THE 9th SENSE』
 

 定価 : 2,800円(税込)
 ASIN : B0000C4GO3

 スチャダラパー4年振りの新作、
 早くもチャートを賑わせております。
 そりゃそうだろう。この出来映えだもの。
 ハイクオリティーな全14曲を、
 あえて、よそにあるような紹介文と
 違った言葉で表現するならば、
 これって、聴く対象の
 性別年齢その他を問わないのでは?
 つまり、あなたの部屋の棚に、
 ヒップホップのCDが
 1枚もないとしても。
 よい音楽としてとてもおすすめ。
 あ、余談ですけれども、
 この連載を読んでくださっている方には
 ニヤリとするフレーズが登場しますよ。
 (永田)

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2004-05-07-FRI

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