明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第26回『工具箱の迷宮 その3』


── 工具箱、どうすりゃいんでしょうねえ。
ボーズ でも、何か捨てたいね。
── うん、何か捨てたい。
ボーズ もう、思い切って、
ネジとか捨てちゃおうかな!
── 悩みに悩んで、ネジかよ(笑)。
ボーズ これとか、いらないよね?
── 「これ」?
ボーズ うん。いらないよね?
── いや、「これ」どころか、
「このへん全部」いらないもんとして
いままで話してたのかと思ってた。
ボーズ え? どういうこと?
── 工具箱ごと捨てても
大丈夫なんじゃないかっていう
気がするんだけど。
ボーズ (息をのむ)ほんとだ!
── とりあえずさ、
いったん全部捨てると仮定して、
そこから必要なものを
抜くっていうのはどうでしょうね。
ボーズ そうだよね、言えてるね。
ほんとだね。言えてる、言えてる。
── ええと、このへん、ざざーっと。
ドライバーとか、どうする(笑)?
ボーズ ドライバーかあ‥‥ドライバーねえ‥‥。
ああ、でもほんとにいらないわ、これ。
このへんは使うことがあるのかなあ。
── いや、「使うことがあるのかなあ」だと、
どれも捨てられないよ。
そりゃ、「使うことはあるかもしれない」よ。
だって、大工道具なんだからさ。
ボーズ そうだね、そうだね。
でも、なんかね、このまえも、
バイクのどこかの部分の変なネジが取れてさ、
どれか合うかなあと思って
ドライバーをいろいろ合わせてたら、
1個、ばっちり合ったんだよね。
── そりゃ合うよ! こんだけあれば。
ボーズ その一瞬のために、
これ全部とっとくのかってことだよね。
── 最低限、「これは必要」ってのだけ残そうよ。
ボーズ いや、わかるけど、
それがどれなんだっていう話よ。
── それがどれなんだっていう話なんだよね。
ボーズ そうそう、それがどれなんだっていう話よ。
── ちっとも話が進まん!
ボーズ とりあえず、カブってるのをどけよう。
このへんのドライバーは完全にいらないね。
どう考えてもカブりまくりだもん。
ん? このネジはなんだっけ?
見たことあるな。
── あはははははははは。
「見たことある」とか、
そういう問題じゃないだろ(笑)!
ボーズ このネジ、使うやつっぽいなあ。
でもいらないよ、いらない、いらない。
あれだよね、用途がわからないものは
捨てちまうってことだよね。
── そのとおりです!
ボーズ このへんの釘もいらないよね?
── 釘を打つべき木材がないでしょうよ。
ボーズ ‥‥たしかに。
── はいはい、どんどん整理して!
‥‥なに見てるの?
ボーズ これ、いらないんだけど、すげえ便利そう。
── あはははははははは。
ボーズ うわ、なんか、見れば見るほど便利そう。
すげえよくできてるもの、発見。
これが1個あれば、OKなんじゃないの?
── すげえ便利そうだよね、これ(笑)。
あははははははは。
ボーズ すべてなんじゃないか、これは。
これなんじゃないか、うちには。
── やっぱい、また笑いがとまらなくなってきた。
ボーズ だって、コレ、すごいよ!
超便利そう!
── 片方がプラスで片方がマイナス?
あはははは、くだらない!
ボーズ この見るからに、なんでもできそうな(笑)。
こうも回せるし、こうも回せる!
── これさあ、組み立て家具とかに、
付属でついてくるやつでしょ?
ボーズ うん。これ1個で、
とりあえず組み立てられますよ、
みたいなやつ(笑)。
いや、これはすごいわ。便利。
── もういいよ、おもしろドライバーは。
このへんのキャスターは何?
ボーズ なんかの脚だね。なんの脚だっけなあ。
── 「なんの脚だろう?」って考えてる時点でもう。
ボーズ おかしいよねえ。捨てるべきだよねえ。
あっ、わかった!
赤外線ヒーターの脚だ!
ほら、あそこにあるやつ。
── ああ、はいはいはい。
キャスターつきの脚と
キャスターがついてない固定の脚と、
どっちか選べますよっていうやつね。
そんで、残ったほうがこれってことだよね。
ボーズ 要するにいらないよね。
わざわざキャスターつきの脚に
つけ変えるときなんて来ないよね。
── 捨てろ、捨てろ! つぎ、スパナ!
ボーズ スパナ。うーん、難題。
どれがいるんだか、まったくわからない。
── とりあえず、カブってるのから捨てよう。
ボーズ 鉄則だね。わ、けっこうカブってるなあ。
ええと、これとこれが同じ?
── いや、あのさ、それを言うならさ、
たんにこれが1本あればいいんじゃないの?
ボーズ うはははははは。
そうね、これね。
これがあればいいんだよね。
── 調整できるんだからさ。
こんなにずらーっとスパナを
そろえる必要ないでしょ?
ボーズ なんでこんなにいっぱいあるんだろうなあ。
セットで買ったのかな。
あ! スパナって、1本1本は違っても、
どっちかの側の大きさはダブるんだね!
── んん? どういうこと?
ボーズ ほら、たとえばこれは、
片方のサイズが「12」で
もう片方が「10」でしょ?
で、こっちのやつは、
片方のサイズが「8」だけど、
もう片方のサイズが「10」なのよ。
ってことは、「10」がダブってるじゃん。
── はあはあはあ、なるほど。
ボーズ ってことは、スパナのセットを買うと、
どうしてもダブりが出るってこと?
── ていうか、これが1本あればいいんだって。
ボーズ あはははははは、そうなんだけどさ。
── そもそもそんなに締めるボルトがあるのか?
ボーズ 締めたことねえ、そんなもん。
── 生涯に締めるボルトの数って‥‥。
ボーズ いくつなんだっていう話だよね。
なのにこんなにスパナがある。
意味わかんない。しかもサイズがカブりまくり。
‥‥ここに「8」があるから、これもいらない。
「12」、「10」、「8」、「8」‥‥。
あ、なんだ! けっきょく2本でいいんだよ!
スパナは2本でOK。結論。
── いや、だから、そもそも
これがあればいいっちゅー話。
ボーズ そうだそうだそうだった(笑)。
── もう、スパナ全部捨てようよ。
ボーズ 捨てようか。いらないよね。
これ残しとけばいいんだよ、これ。
── そう言ってんじゃん、さっきから。
ボーズ これ1個かあ。
── これすらいらないのかもしれない。
ボーズ いらないかもね(笑)。
ドライバーも1種類にする?
── だって、1種類でOKでしょ?
ボーズ いるのかいらないのかわからないものは、
ほんとうにいらないのかなあ。
── いるのかいらないのかわからないものは、
ほんとうにいらないとして進めようよ。
ボーズ 「備えあれば憂いなし」ってことはない?
家具とか組み立てるときに必要じゃない?
── いや、でもね、最近、
組み立て家具を買うと必ず
組み立て用のドライバーがついてくるよ?
ボーズ ああ、言えてる! よし、これいらない!
── これは?
ボーズ あ、これはいらない。あとこれも。
── これいるの? これ、3つあるよ?
ボーズ よくわかんないんだけど(笑)。
── ちょっと冷静になろうよ(笑)。
ボーズ いらないのかなあ。いらないね。
いや、これ1個は
置いといたほうがいいんだよな。
── なんで? いらないでしょ。
ボーズ いらないか。いらないよね。
── これもいらないでしょ。
ボーズ これもいらないね。これもいらない。
じゃ、ここ捨てるやつでまとめよう。
このへん、捨てるやつ。
── うん。
ボーズ これいらない。
── これもいらない、いらない。
ボーズ このL字は、いると思う。
── ほんとに?
ボーズ うん。これは、あそこのところを締めるの。
実際、ときどき使ってるから。
── じゃあ、それは残すとして。
ボーズ これは?
── それはただのゴミでしょ。
ボーズ あ、ゴミ扱いか。それわかりやすいな。
捨てよう捨てよう。
── これ、何に使うの?
ボーズ これはねえ、棚の補強。
── 補強はわかるけど、今後、どこに使うの?
ボーズ あ、もういらないわ。これもいらないね。
こっちは、なんに使うんだろう?
── わかんないのは、こっちによこせ。
ボーズ これ、バイクの部品かなあ。
うわ、意味わかんねえ。何に使うんだろう。
これ、なんだと思う?
── いちおう、使った跡があるね。
ボーズ なんに使ったんだ、オレ?
こっちは妙に本格的だな。
── 突然業務用。
ボーズ 工具箱に、あるまじき本格的さだよね。
── いらないものと見なします。
ボーズ となると、このへんもいらないか。
── いらないねえ。
ボーズ このへん全部いらなかった。
ってことは‥‥ええっ! こんだけ?!
── こんだけ?!
ボーズ 残ったのこんだけ!
ふたり うははははははははは!
ボーズ ヤバい、ヤバい! 超おもしろい(笑)!
こんだけしかいらなかった。
すげー、おもしろい!
── (まだ笑ってる)
ボーズ これすっごいわー。すごい経験!
こんだけありゃいいんだよ、たぶん。
── ひー、おもしろい。
ボーズ うん、ここにあるのはいる。
これとこれがいる。あとはいらない。
いるのこれ。これだけ。はい。
── 微妙にこのL字が2本、
残ってるっていうのがおもしろいよね(笑)。
ボーズ そうそうそう。このL字はいるんだよ。
あそことあそこに必要、ってわかるもん。
すごいなあ。おもしろいなあ。
── すごいねー。こんなに綺麗になった。
このへんをざざーっと捨てると。
ボーズ すごいきれい!
── こっちは小物関係のOKゾーン。
ボーズ うん、これはOK。
うひゃひゃひゃ、靴べら残ってる(笑)。
── OKゾーンにポツンと(笑)。

(もう1週、続きます!)

 スチャダラパー、4年ぶりの新作発売!
 『THE 9th SENSE』
 

 定価 : 2,800円(税込)
 ASIN : B0000C4GO3

 スチャダラパー4年振りの新作、
 早くもチャートを賑わせております。
 そりゃそうだろう。この出来映えだもの。
 ハイクオリティーな全14曲を、
 あえて、よそにあるような紹介文と
 違った言葉で表現するならば、
 これって、聴く対象の
 性別年齢その他を問わないのでは?
 つまり、あなたの部屋の棚に、
 ヒップホップのCDが
 1枚もないとしても。
 よい音楽としてとてもおすすめ。
 あ、余談ですけれども、
 この連載を読んでくださっている方には
 ニヤリとするフレーズが登場しますよ。
 (永田)

ボーズさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ボーズさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-05-16-SUN

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