ボーズ |
いや、まずはこれを‥‥。 |
── |
言われなくても、質問させてもらいますよ。
なんですかこれは?
なんでこんなデカい箱が
部屋の真ん中にあるんですか? |
ボーズ |
フィギュア。超ハイグレードなフィギュア。
『死霊のはらわたIII』の。
すげえよくできてる。デカい。 |
── |
だから、どうしたのよ? |
ボーズ |
‥‥ビンゴで当たっちゃったのよ。 |
── |
‥‥まったく。 |
ボーズ |
いや、竹中(直人)さんの映画に
ちょっと出たんだけどね‥‥。
終わったあとに打ち上げがあってね‥‥。 |
── |
‥‥当てちゃったんですか。 |
ボーズ |
‥‥当てちゃったんですよ。 |
── |
‥‥どうすんですか、こんなデカいもの。 |
ボーズ |
‥‥どうすりゃいいんだろうなあ。
だいたいさ、結婚式の二次会とかでもさ、
当たんないじゃないですか、ビンゴって。 |
── |
うんうん。それ、何人くらいいたの? |
ボーズ |
100人くらいかなあ。 |
── |
‥‥ラッキーな男だなあ。 |
ボーズ |
みんながつぎつぎに当たってるなかでさ、
「当たんねえなあ」なんて言いながら、
飯とか食ってたんだけど。
そしたら、「当たりましたよ!」って言われて、
「うそ? なにが?」って見てみたら、
ドーーーーン! とこれが。 |
── |
あはははははは。 |
ボーズ |
「これっスか、マジッスか?」って。
またさあ、これがさあ、
竹中監督が出した景品なのよ。 |
── |
メインだ。一等賞だ。 |
ボーズ |
一等賞なのよ。だからさ、せめてさ、
こう、映画の功労者に
当たればいいわけじゃない?
スタッフとか、役者さんとか。 |
── |
それをチョイ役で出たゲストが(笑)。 |
ボーズ |
そうそうそう(笑)。
「やっちゃったよ、オレ」みたいな。 |
── |
「すいません」だ。 |
ボーズ |
ほんとごめん。すいません。
いちおう、中身、見てみる? |
── |
そりゃもう見てみますよ。
ネタとしては申しぶんないですよ。 |
ボーズ |
いや、これは捨てないよ? |
── |
そりゃそうでしょう。
こんなん、ポイって気軽に捨てられないですよ。
しかも竹中監督にもらったものだし。 |
ボーズ |
ものとしてすっごくうれしいんだよ。
ただ、なにしろデカいからねえ‥‥。
ほらほら、ここ見て。ナンバリング付き。 |
|
── |
‥‥貴重は貴重なんだなあ。
欲しい人は欲しいんだろうなあ。 |
ボーズ |
や、ぼくもうれしいんだよ、これ。
実際、ぼく、この映画好きで、
レーザーディスクも持ってたくらいなの。
なんだけど、これは買わないじゃん?
よすぎて買わないっていうかさ、
これはオレが買っちゃダメだろ、みたいな。 |
── |
コアなファンの持ち物というか。 |
ボーズ |
そうそうそう。 |
── |
とにかく出してみましょうよ。 |
ボーズ |
そうね‥‥よいしょ、ちょっとこれ、
ひとりじゃ出せないんだよな、
‥‥よいしょ、そっち引っ張って。 |
── |
はいはいはい。 |
|
ボーズ |
せーの。 |
── |
せーの。 |
ボーズ |
(ガサガサガサガサ)
けっこう厳重に‥‥。
まあ、こんな感じなんですよ。 |
── |
‥‥うわあ。 |
|
ボーズ |
こんなすごいやつなんだよ。
すげえよくできてるんだ。ほんとに。
これがジャケットっていうか、
メインのシーンのまんまで。メインの。
たぶんこれ‥‥すげえ高いと思うんだよね。 |
── |
高そうだねえ(笑)。 |
ボーズ |
すごい高いと思うよ。
気軽に開けちゃダメでしょうっていう
感じのものだと思うんだよ。
なんかもう、オレの手に負えないもの、
みたいな感じでしょ? |
── |
あははは。 |
|
ボーズ |
ちゃんとフィギュアとかが大好きで、
ショーウィンドウとかがある人じゃないと
持ってちゃダメ、みたいな。 |
── |
飾れないね、これ。 |
ボーズ |
飾れない、飾れない。
けっこうつくりは繊細だしね。 |
── |
コパン(ボーズさんの愛犬)が
じゃれたらえらいことに。 |
ボーズ |
なるなる。
かといって捨てられるもんじゃんない。 |
── |
じゃあ一生持っておくものとして。 |
ボーズ |
うん。宝物としてずっと持っとくもの。
だから、もう、なに?
「おまえにモノを捨てる連載なんて
無理なんだよ! やめちまえよ!」
みたいな、象徴的なもの。 |
── |
そういうものを運命的に
呼び寄せてしまったと。 |
ボーズ |
そうそうそう(笑)。 |
── |
なるほどねえ‥‥。
しっかし、これ、
ほんとよくできてんなー。 |
ボーズ |
すごいよね、ほんと。 |
── |
うはははははは、
アップで撮影すると
エラいことになってるよ。 |
ボーズ |
どれどれ? |
── |
ほらほら。 |
|
ボーズ |
あはははははははは! |
── |
さらに寄ると、もっとすごい。 |
|
ボーズ |
もうこれ、絵だ、絵(笑)! |
── |
CGだ、CG(笑)! |
ボーズ |
いや、まいったな、ほんと。
一生持っとくしかないよ、これ。 |
── |
ここまでくると、
オマケのフィギュアとかじゃなくて、
ふつうに鑑賞するものとして
存在意義が出てくるよね。 |
ボーズ |
あるあるある。もう、彫像だからね。 |
── |
けどさ、10年くらい経ったあとに
一軒家とか建てたとするじゃない?
そのとき、フィギュア、飾りたい?
書斎にショーケースとか設置して。 |
ボーズ |
あああ、そういう話ね。
そっち行く人、いるよね。 |
── |
うん。べつに、一軒家とか建てなくても、
ショーケース志向の人っているじゃない?
集めたGショックをずらっと並べてみたり、
サイン入りユニフォーム飾ってみたり。 |
ボーズ |
ショーケースなあ‥‥
ショーケースじゃないかもしんない。 |
── |
じゃないよね。 |
ボーズ |
うん。こういうのを堂々と
部屋に飾れる人になるとは思えないなあ。
やっぱりこう、なに?
テレビの上とか、家具の隙間とかに
オマケフィギュアを飾る程度なんだよなあ。 |
── |
ってことは、なんだ、やっぱり、
こういう、ハイグレードなフィギュアをひとつ、
すげえ欲しくて買うとしたら、
「飾る自分」っていうあたりまで
ビジョンとして持っとかないと。 |
ボーズ |
そうじゃないと買わないでしょ、これ。
だから、自分ちにこれが来ると
あらためてわかるよね。
自分がこういう人じゃないんだなってことが。 |
── |
雲竜がせいいっぱい。 |
ボーズ |
雲竜? |
── |
雲竜。 |
|
ボーズ |
あ、これか。
そうそう、雲竜で十分ですよ。
あとこの横のやつもいいでしょ?
『のび太の恐竜』。 |
── |
ぴー助が公園の池から
夜中に家まで来ちゃう場面ね。 |
ボーズ |
このシーン、好きなんだよ。
のび太が熱出して寝ててね、
そこにやってくるっていうね。 |
── |
名作ですね。 |
ボーズ |
名作です。 |
── |
まあ、そういうフィギュアを
机のとこにちょっと飾っておいて。 |
ボーズ |
飽きたら捨てるというね。 |
── |
それくらいがちょうどいいですね。 |
ボーズ |
はい、それくらいがちょうどいいです。 |