糸井 |
「ほぼ日」でも
「ほぼ日ブックス」でも、あるいは
「熱湯ほぼ日刊イトイ新聞」にしても
(※↑「ほぼ日ブックス」コーナー前回第10回での
「次の試合が…」のところで説明した新企画)
深さでリンクする、
高さでリンクする、
広さでリンクする、
むちゃくちゃさでリンクする・・・
そんな「リンク」をどう育てていくのかが、
いちばんおもしろいことだと思っています。
ひとりのチカラのある人が、
自分を壊しながら育てていくのは、
とてもおもしろいことですけれども、
ひとりの考えを隅から隅まで
目を配らせてものを作るということには、
実は、「ひとりだけ」の弱さも、
なくはないように考えているんです。
ひとりの考えだけを浸透させたものの
成長って、右肩あがりになるんだけれども、
その成長するグラフの上り調子の傾斜が、
とてもゆるやかなように思うものですから。
わけのわからない人たちどうしの
成長のグラフのほうが、
運がよければ、いきなり1が100になるような
おもしろさって、ありますよねえ。
もちろん、
チカラのあるひとりの人のすることより、
失敗の可能性は、とても高いでしょうけれども。
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末永 |
ええ。
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糸井 |
ほぼ日ブックスに関してしゃべってるのに、
話、どんどん拡散していますねー。
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末永 |
(笑)
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糸井 |
「ほぼ日ブックス第1弾」は、
「あ、こいつらのやろうとしていることって、
こっちとこっちとこっちの方面だろうなあ」
と、悟ってもらえるようには、
なっていると思うんです。
つまり、第1弾の
ほぼ日ブックスのラインナップでは、
ポテンシャルあるいはカオスを作ったわけです。
第2弾・ほぼ日ブックスの10冊では、
「定まらぬけれども、見えやすいバケモノ」
みたいなものを、作りたいと思うんですよねえ。
そして、
第3弾・ほぼ日ブックスが刊行される時には、
もう、「パオー!」って言いたい。
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末永 |
ははは(笑)。
ただ、イトイさんが言ってた
「雑誌と本の差」って、確かに、
誰かの規制で決まっているだけですから、
差を決めちゃわなくていいですよね。
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糸井 |
法律にあわせて仕事をしちゃ、きっとダメですよ。
だから、さっき少し話したけれども、
誰に向けて何を伝えるかの重要なキーワードは、
「社会の主人公は、誰なんだ」
ということになると、ぼくは思っているんです。
11月3日にやるイベントのタイトルの
「言葉はだれのものか」にしても、
「社会の主人公は誰なんだ?」という問いと
深く関わるものとして、存在していると思います。
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末永 |
知りあいの編集者に、
「今度イトイさんところで
こういう本を出したんです。
雑誌と単行本の中間のようなものなんですけど」
と言うと、「ムックですか?」って言われました。
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糸井 |
一応、これまでないものを作りたいから、
そのイメージって、実際に触れないと
伝わりにくいんでしょう。
実は「ほぼ日ブックス」の
「ブックス」という名前にしても、
いきなり独自な名前にするよりも、
「たとえばペンギンブックスのようなものだ」
みたいな、少し前のものと関連づけながら、
イメージのできやすいものを選んだつもりですから。
確実に新しいものだとしても、
最初は古いほうの名前で見せないと、
覚えてもらえないに決まっているので。
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末永 |
そもそも、いまは定着している
「なになに文庫」とかの「文庫」って、
「ライブラリー」って意味ですもんね。
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糸井 |
そうそう。
・・・あ、ライブラリーで思い出したけど、
たとえば、古本屋に本が集まるけれども、
いまって、古本屋は、価値を見てから
本を買い取るというかたちを、あまり取らないよね。
「何冊だから、1冊いくらでひきとります」
っていう本のひきとりかたでしょう?
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末永 |
ええ。グラム単価ですもん。
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糸井 |
そんな時代の知性って、なんだろう?と
前々から思っていたんです。
知性がグラムで取引されている中で、
その大事な知性を、どう扱うか・・・。
それを、提示できたらいいなあと考えてもいます。
ただ、実は一方で、ぼくは
「ほぼ日ブックス」上で求めているものに関して、
少し遠慮がちに喋っている面もあるんですよ。
それは、なぜかと言うと、
楽しい時間を過ごすためではないかもしれないけど、
「一生かかって一冊しか出せないような本」って、
やっぱり、価値があると思っているから。
おなじ本というくくりですけれども、
そちらの「一生、一冊」の方に関しては、
ぼくはまだ
タッチできてはいないから、
断言をすることは避けようと思っているんです。
通じさせるための本っていうのは
思いっきり出せるんだけれども、
「通じなくったっていいけど、
これがなかったら、たいへんだった」
という本って、俺が読んできた中でも、
確かに、大事なものとして数冊あるもん。
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末永 |
ああ、なるほど。
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糸井 |
そこの「一生、一冊」のゾーンを
これからどう触っていくかという
課題も、ありますね。
まあ、これだけ、
ぼくらが本を出したかったイメージを
くっきり話したって、たとえば、
「結局、本を出すという
ビジネスをしたかったんですね」
なんて、全然理解をしてくれない感想まで
メールで受け取っているんだから、
わけがわからないんだけど。
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末永 |
そりゃ、まあ、
『結局』って言う人は、だいたい、
「結局、死ぬために生きてたんですね」
って指摘するようなもんですから(笑)。
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糸井 |
(笑)ふふふ。
そういう、文句を言いたいがために
言ってるような話って、つまんないよね。
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末永 |
ええ。
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糸井 |
まあ、そういうメールにも
たまに触れるからこそ、
「俺はそうじゃない考えかたをしよう」
と思えることもあるので、
俺は、毒なメールっていうのにも
勉強をさせてもらっていると、
このごろ、思っています。
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末永 |
反面教師としては、そうでしょうね。
「こうなっちゃいけない」っていうのが
明確にあるというのは、良いことなんですよ。
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