まるで、NASAのようなメディアになりたい?

 「ほぼ日ブックス」ごあいさつと紹介


ほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里です。
本日は、お集まりくださって
ほんとうにありがとうございました。

もうすでにお手にとってくださっている方や、
お読みになった方もおられるかと思いますが、
これから簡単に「ほぼ日ブックス」ってどういうものだ、
というご説明をいたします。

話しはじめるといくらでも長くなりそうですので、
できるかぎり短くお話ししたいと思います。
ご質問などありましたら、後ほど、
質疑応答の時間を用意しましたので、
足りないところは、そこであらためてお話しできればと、
考えています。

1.いい湯だな、ははんはん。

まず、「ほぼ日ブックス」は、
『時間を買ってもらう商品』であると考えています。
温泉に行って、
商品にカタチがないからと文句を言う人はいません。
持ち帰ることのできない「いい湯」が商品で、
その気持ちのいい時間を、ぼくらは買っています。

テレビや、ビデオや、ゲームや、映画や、ケイタイ電話や、
友だちとのおしゃべりが、競合相手です。
「ほぼ日ブックス」の本を読んでいる時間を、
たのしいと感じてもらえることが、目的。
そういう作り方をしていくつもりですので、
読んだそばから、捨ててしまっても、
ぼくらは残念だとは思わないことにします。
(むろん、大事にされたら、それはそれでうれしいけれど)

「ほぼ日ブックス」の出発時のキャッチフレーズは、
「90分を、わたしに下さい。」
というものにしました。

2.門前の小僧、習わぬ教を読む?

だから「ほぼ日ブックス」は、
誰にでも読んでもらえるよう、工夫し続ける本にします。

いままで本を読むのが嫌いだった人、本が苦手な人、
本からしばらく遠ざかっていた人、
そして誰よりも、若い人たちにおもしろがってもらえる本を
つくっていこうとしています。

老人の話はつまらないとか、
高度な話題と低俗な話題だとか、
自分は文科系だから理科系の話はわからないとかいう、
いままでの分類の常識を超えたところにこそ、
楽しみを見つけられるようにしたいのです。
つまり、「食わず嫌いをなくす」ことで、
本を読む人を増やしていきたいと思っています。

「口で書き、耳で読む」というスタイルを、
積極的に取り入れることで、
いわゆる教養の壁を乗り越えられるようにしていきます。
いままで「読んでも分りにくかったこと」を、
「直接聞いたらよくわかった」というような
『門前の小僧、習わぬ教を読む』の方法論を
実践していきます。


3.馬子にも衣装?

さらに、「ほぼ日ブックス」は、
かっこいい本にしていくつもりです。
人間だって、どんな服を着ているか、
どんなヘアスタイルをしているかで、
人々の関心の持ち方が変わります。
持ち歩くとき、読むときには本だってファッションです。
「表紙にカバーをかけないで持ち歩きたくなる本」を、
つくっていくつもりです。

4.損して得とれ?

実は「ほぼ日ブックス」は、読もうと思えば、
無料でも読むことができます。
全部が全部ではありませんが、インターネット上で、
「ほぼ日刊イトイ新聞」にアクセスしたら、
「ほぼ日ブックス」の内容は、
無料で読むことができます。

ほぼ日刊イトイ新聞は、「ほぼ日ブックス」の母体であり、
実は商売敵なのですが、いままでの経験では、
おたがいが活気づくほど、どちらも繁盛しておりますので、
インターネット上での、立ち読み、タダ読み、大歓迎
という方針で、これからもやっていくつもりです。

5.NASAのようになりたい。
 (これは諺になってないけれど)

大道で売っている怪しげな便利小物から、
世界中に知れ渡っているような大きな特許まで。
さらには、さまざまな異業種で活躍する人材も。
「NASAの遺産」だったりしています。

「ほぼ日ブックス」も、こんなふうに、
ここからどこに拡がるかわからないくらいに
意外でおもしろい展開ができたらなぁ、というのが
創刊したぼくらの夢です。
ここから育った流行、ここから生まれた企画、
ここで大きくなった作家、ここから出てきたビジネス...。
そういう副産物が豊かに増殖していく
ようなイメージが、
ぼくらのいちばんやりたいことなのかもしれません。

以上、やっぱり長くなってしまいましたが、
これでも簡単なつもりの、「ほぼ日ブックス」の紹介です。
応援していただけましたら、うれしいです。

2001-11-21-THU


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