ピッポ、ピッポ、ピッポ、ポーーーン。
時刻は、午後7時になりました。
全国のカボチャくり抜きファンのみなさん、こんばんは。
1年ぶりですね。お久しぶりです。おかわりありませんか。
ちょっと痩せたんじゃないですか?
え? むしろ太った? ああ、そうですか。
そんなことはさておき、今年も
「モギがカボチャをくり抜く60分2」
の時間がやって参りました。
まさかこの企画を再びやるだなんて、
誰が想像したでしょうか。
カボチャ様でもご存じあるまい、とはこのことです。
ともかく、今年もやるのです。
くり抜くのです、モギが。
くり抜くのです、カボチャを。
くり抜くのです、60分くらいで。
実況は私、永田が担当いたします。
カメラは、ぐっさんこと山口が担当します。
つまり、去年とまったく同じメンツですね。
それじゃあまりにも同じだから、
ひとりくらい新メンバーを入れましょうかね。
そんなことを、だらだらと考えつつ、
今年もバカバカしいことを
サッとやって、サッと終わろうと思います。
「ほぼ日がこんなことやってるよ!」って
あんまり人に言わないでくださいね。恥ずかしいから。
ええと、ぼちぼちはじめますよ。
最後まで、のんびりと、
広い心でおつき合いくださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします!

さあ! いよいよ始まりましたー!
モギさん、頼みますよ!
ぐりぐりっと、景気よく、ものの見事に、
カボチャをくり抜いて‥‥って、
いなーーーーーーーーい!
モギ! おい、モギ!
モギがいないと、
「モギがカボチャをくり抜く60分2」は
いったいどうなるんだ!
おい、おい、おーーーい!

お、お待たせしました!
モギです! これがモギです!
カボチャをくり抜く予定です!
もう10分たってますよ!


さっそくくり抜こうかと思いますが、
せっかくの2作目なんですから、
新キャラを紹介しましょう。
なんと、今年はふたりです!
カボチャをくり抜くのは、
モギだけではありません!

ご紹介しましょう!
斉藤ヒーゲです。
ヒゲが生えているので
ヒーゲと呼ばれています!
‥‥え? 知らない?
まあ、そりゃそうでしょ。
え? すごいゲストが来ると思った?
来るわけないじゃないですか!
ただのアルバイトくんです!
マジメなアルバイトくんです!
というわけで
今年はふたりでくり抜きます!

さあ、いよいよくり抜いていきましょう!
見てください!
ずらーりと用意されたこの道具!
これだけ準備したのですが‥‥。
使うのはこれだけです!
なら準備しなきゃいいじゃん!



さあ、いよいよくり抜いていきましょう。
驚いたことに、
メールが山ほど届いています。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
今年、ふたりはどういう
カボチャを目指すのですか?
そう、まずは下書きが重要です。
ふたりが書いた下書きは
このようになっています。
っていうか、モギ、去年とまったくいっしょ!
ヒーゲ、それってけっこうむつかしくない?
大丈夫?

まずは、カボチャのてっぺんに
丸をかきます。
なぜ、カボチャのてっぺんに
丸をかくかは、あとで説明します!
キューキューっとね。
はい、ヒーゲも、
キュキューっとね。
はいはい、そうです。
え? もう30分経過?
はい、延長けってーーい!
はい、ふたつのカボチャに
ふたつの丸がかかれました!


下書きを進めていきましょー!
まずは目をかいて‥‥。
口をかいて‥‥。
はい、モギバージョン完成!
ていうか、ほんと、去年のまんま!


おつぎはヒーゲです!
まずは目を‥‥。
意外に緊張しているヒーゲ。
口のあたりはちょっとむつかしそう
不慣れな新米魔法使いに、
先輩の魔女がアドバイス。
「だからさぁー、そこはさー」
「はいはい、そッスね」
ともあれ、完成です。
ヒーゲバージョン。
これ、ほんとに完成するの?
五分五分?

さあ! お待たせしました!
全国のカボチャくり抜きファンのみなさん!
溜飲をさげてください!
いきます! くりぬきます!
ザクッ!
ザクザクザクッ!
グググググワーーーーッ!
カパっ!
ぐももももももーーーーっ!
ずしゃァァァ!
「す、すげぇっ!」
中は空洞です!
我々、去年はここで
びっくりいたしました!
カボチャの中身は空洞なのです!
そりゃそうだ!



よし! 行けっ! ヒーゲ!
グサリ。
む、む、微妙に固い?
お! 
おおおおーーっ!
うおおおおおーーーっ!
うおおおおおおおおおーーー!
うおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおお!
うおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおお!
カパっ!
ぐわばっ!
ずるずるずるずるずるーー!
ぐわぉーーーーーーっ!
「す、すげぇっ!」



てっぺんに空けた穴から
カボチャの「わた」をとっていきます。
ふたの部分も念入りに。
「わた」をきちんと取り除いておくと
完成品が長持ちするそうですよ。
ふたりで仲よく
カボチャのわたをとっていきます。
そんな職場です。
世界にあまりありません。
さあ、いよいよ、つぎは
目をくり抜きます!
きゃあああああああ!


さあ、くり抜きますよ、目を。
魔女が悪魔の微笑みとはこれいかに。
ぷつり。
(『ブラックジャック』風効果音)
シュワッ!
下から指で押して、
‥‥カパッ!
ポンッ!
(実際には、そんな音はしません)
おお、見事に目が!
さあ、つぎはヒーゲだ。



さぁ、がんばれ、ヒーゲ!
糸井重里も見ているぞ!
あ、違うわ。
見てないわ。
弁当食いにきただけだわ。


さくっ!
うおおおおおっ!
うおおおお‥‥って、
ハイハイ、わかったわかった。
あ、意外に曲線も
キレイに切れるもんなんだね。
カパっ!
「す、すげぇっ!」



さあ、モギはいよいよ口をくり抜く!
いったい私は
なにを書いているのでしょうか!
きぇええええ!
きぇえええええええええ!
って、いいよ、別に、マネしなくて。
おお、さすが先輩魔女。
お見事です!
カパっ!
しゅぱぁあああっ!
「す、すげぇっ!」



さあ、いよいよヒーゲの口です。
けっこう、むつかしいですよ、これは。
んん? なにやってんの?
「角、角に、千枚通しで
 穴を空けているのです。
 なぜなら、社長が、
 『角、角、に千枚通しで
  穴を空けておくといいぞ』
 とおっしゃったからです!」
というわけで、
角、角に穴を空けるヒーゲであった。

よしっ! いよいよ口だっ!
緊張の一瞬!
ヒーゲ、かなり慎重です!
って、コラ!
緊張のあまり休憩するな!
先輩魔女に怒られるぞ!
って、おまえもか!
おい、先輩、そんなことでいいのか!


さあ、がんばれ、ヒーゲ!
ザクザクっと‥‥ん?
んんん?
「す、すげぇっ!」
って、武井さん!
去年に続いて今年も
紛れ込まないでくださいよっ!
相変わらずの小芝居です。

口に挑戦するヒーゲ。
けっこう苦戦中。
しだいにギャラリーも集まりはじめました。
いちおう、
ぜんぶを切り終わったようですが、
なかなか、それが抜けない!
しびれを切らすギャラリー。
慌てて先輩魔女が
お菓子を振る舞い始めました。
「トリック・アンド・トリート!
 トリック・アンド・トリート!」
モギちゃん、モギちゃん、まちがってる。
「トリック・オア・トリート!」
しかも、仮装してるほうが、
お菓子あげてどうすんの!
でも、集まってきました、弊社乗組員!
そんななか、ヒーゲが叫んだ。
「きたっ!」



ず‥‥ずず‥‥ずずず‥‥。
ぐぐぐぐっ、ぐぁぁぁぁあああっっ!

「あっ」
「おおっ!」
「わ!」
ヒーゲ!
ヒーゲ!
ヒーゲ!
とれたっ!
とれたぁーーーっ!
「す、すげぇーーーっ!」
マジでひじょうに盛り上がる明るいビル。
心から安堵の表情を浮かべるヒーゲ。
ここ数年でもっとも安らかな表情です。
しかし、ほんと、これは見事。
すごいよ、これ。大成功。
「その口の形は、なかなかですわ」
にしもっちゃんもそう言ってます。


さあ、いよいよクライマックス!
ロウソクを取り出しまして‥‥
火を‥‥

ともし‥‥
カボチャの‥‥
中へ! お見事!
いやあ、よかったよかった!



カボチャランタン、ついに完成。
そしてそのあとは‥‥?

先輩魔女と、新米魔法使いは、
できあがったばかりの
カボチャランタンを抱え‥‥。
そそくさと移動をはじめるのです‥‥。
ふたりは、
魔法のマントと、
魔法のコートを手にとり‥‥。

それをふわりと身にまとうと‥‥。
いずこかへと向かいます。
ふたりの通るあとに、
光の粒が、キラキラと輝きます。


魔女と、魔法使いは、
光の帯を残像として従えながら‥‥
ひとびとが働くフロアを
こっそりと横切っていきます。
その姿は、きっと
ふつうのひとには見えないのでしょう。
ひとしれず、魔女と魔法使いは、
去ろうとしています。
しかし、なんとなく、
ひとびとはその気配を感じ‥‥
思わず、その気配の方向へ、
拍手してしまうのです‥‥
そして、ふたりが向かったのは?
職場の奥には
秘密の扉があって‥‥
秘密の扉の向こうには
秘密の階段があるのです‥‥
そして‥‥

魔女と魔法使いは
秘密の階段を‥‥
いちだん、いちだん、
のぼっていきます‥‥。
もうすぐハロウィン‥‥
みなさんは
信じられますか?
東京のど真ん中に‥‥
魔女と魔法使いが現れて‥‥
カボチャのランタンを‥‥
屋上に‥‥
置いていっただなんて‥‥
信じられますか?
「‥‥‥‥あ、なあ、聞いてくれよ」
「おれ、さっき、夢を見たんだ。
 ここに、魔女と魔法使いがいてさ
 カボチャをくり抜いて‥‥」
〜THE END〜
MOGI,HIGE,GUSSAN&NAGATA