『MOTHER』の気持ち。
いちばん近くで、
この不思議なゲームの話を聞く。

第8回
「いったん忘れてくださいね」


── で、『MOTHER3』という順になるんですが。
糸井 開発中、という発表をしましたけれど、
ぼくは、これについて
いろいろいまからしゃべるのって、
よくないような気がしているんです。
何か言ったことが定着してしまうことも、
つくるときの自由さをなくさせやすいですし。
── 聞きたい人は、とても多いと思うんですが、
企業秘密、という面もある?
糸井 そういうんじゃないんです。
ほら、よく、妊娠がわかった夫婦とかが、
しっかり安定するまでは、
みんなに言わないでしょう。
あんな気持ちですかねー。
とっても期待もしていただいているし、
一度挫折したものだから、
不安も抱かせていると思う。
そこで、いろんなことを言い過ぎると、
また、ぼくらを含めて
おおぜいを混乱させると思うんです。
つくっているのは事実で、
進行しているのも事実ですよ(笑)。
── できてから発表するということに
なるんでしょうか?
糸井 それに近いことにしたいんです。
あれこれ想像しながら待っているという楽しみも、
もちろんゲームの遊び方のひとつなんだけれど、
こんどの『1+2』にしても、
今回なんかの場合、できてからの発表で、
よかったねーって、言ってもらえているでしょう?
それに近いかたちにしたいと思うんです。
── いったん、『3』を忘れていただくと?
糸井 そう。頼む!
映画というかたちでもなく、小説でもなく、
ゲームボーイアドバンスの
ソフトとして開発している、と。
それだけをお伝えして、あとは忘れていていただく。
もっと、試行錯誤しながらつくれるゆとりを、
制作チームが持っていられたほうが
いいと思うんです。
工場で、ベルトコンベアの前で
つくるものじゃないんで。
よくも悪くも、手作りですから、
迷い道、回り道をしながら
つくれるようにしてないと、
いけないんじゃないかと思うんです。
── 前に一度中止になったということで
慎重になっているとも言えますか?
糸井 それは、もちろんです。
チームにも、緊張をあたえすぎないようにしたい。
発売が近づいたら、「できました」と、
そういうふうにさせてください。
ほら、よく野球なんかでも、新人の選手が
しばらくファームで静かに力をつけていって、
ある日、一軍のマウンドにあがったりするでしょう。
あんなふうにさせてください。
── わかりました。
大きな動きがあったら、また、教えてください。
それまで、『3』という数字を
忘れているようにします。
糸井 すいません。
ぼく自身も忘れているような顔を
していますから(笑)。
── まずは、『1+2』までも、
しばらく時間がありますし、
そっちをめいっぱい楽しみたいと思います。
ありがとうございました。
糸井 いやいや、こちらこそ。
思いっきりホラが吹けなくて、恐縮です。
── いやいや、こちらこそ。
糸井 いやいやいや、こちらこそ。
きりがないから、テープ止めましょうや。
読んでくださった方、
どうもありがとうございました!!
── 勝手にしめないでください。
最後に、もう一度『MOTHER1+2』について
話してもらいますよ。みんな待ってるんですから。
糸井 おお、のぞむところです。

次回、いちおう、この取材の最終回です。
再び、『MOTHER1+2』について!

2003-04-28-MON

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