爆笑問題・太田光の
家族をつくったゲーム。
『MOTHER』からはじまった
ものなどなど。

第2回
続・『MOTHER』とカミサン



── ご夫婦でいっしょに『MOTHER』を
プレイするというのは、どういった感じで?
太田 そうですねえ。まあ、そのときは
まだ結婚してなかったんですけどね。
要するにふたりで交代で
コントローラーを持つんです。
で、1時間くらいすると交代するんですけど、
やらないほうはずっとそれを見ているという。
見てるっていっても、ほんとに、
いっしょに参加してる感じで。
「あ、いま、あのアイテム使ったほうがいいよ」
とかって言いながらやるんですけど。
そのときに、たとえば、
男のセリフはぜんぶ僕が声に出して読んだり。
カミサンは女のセリフを声に出して読んで。
糸井 へーーーーっ!!
太田 なんか、自分たちも芝居しながら(笑)。
糸井 はっはっはっは!
── それは、ちょっとすごいっすね(笑)。
太田 だから、すーごく、疲れるんですけど(笑)。
でも、夢中ですからね、もう。
いかにうまくセリフを言うかとかね。
そういう感じで、お互い盛り上げながら。
「この街、すごいねえ」とか言い合って。
やっぱりはじめてのRPGだったから、
ふたりともいろいろと衝撃を受けていて、
そういうときって、
すぐ誰かに伝えたいじゃないですか。
糸井 わかる、わかる。
太田 で、その相手がすぐ隣にいるわけだから。
感動をお互いに伝え合いながら。
なおかつ僕らの場合は、つき合い始めなんで、
ふたりの関係も新鮮で。
だから、ぜんぶ新鮮だったですね。
糸井 最高だよね(笑)。
ほんと、新婚旅行じゃない?
プレイしながらベタベタしてるわけだよね。
ぼくも、そんなふうにやってくれたら、
最高だろうなと思ってつくってたわけだけど、
それは、親子でやってくれるといいな、
って思ってたんですよね。
太田 あー(笑)。
糸井 夫婦っていうのは、思い浮かばなかった(笑)。
それは、どこでやってるの?
太田 カミサンの家なんですけど、
僕がそこに転がり込んだようなかたちで。
だから、いっしょに暮らしはじめて
1ヶ月とかの時期だったと思いますけど。
糸井 それは、最高(笑)。
あるレコードをいっしょに聴いたよな、
みたいな感じだよね。
太田 そうそうそう。おぼえてるのは、
そのときに鳥を飼ってたんですよ。
わりとよくしゃべる鳥だったんですけど。
で、『MOTHER』って
歌を集めるじゃないですか。
だから、その歌を、鳥におぼえさせて、
「♪ピピピピピ〜」って、
歌えましたから、うちの鳥は。
── へーーー(笑)!
ますますつくった話みたいですねえ。
糸井 つき合いはじめのふたりがいっしょに
『MOTHER』を交代でプレイして、
その後ろで鳥が歌ってるわけ?
それ、誰かにぼくが話したら
ウソだって言われるよ(笑)。
太田 あと、最初の『MOTHER』は、
1回も電源切ってないんですよ。
最初から最後までぶっ続けでやりましたから。
糸井 はっはっはっは!
太田 最後の戦闘はすごかったですよ。
倒しかたがぜんぜんわからなくて。
もう、完璧な装備で臨んだんですよ、戦闘に。
ところがぜんっぜん倒せない。
けっきょく3時間ぐらい戦ったんですよ。
── 死闘!
太田 ええ、もうほんっとに死闘。
糸井 倒せなくても、自分が3時間死なないだけの
重装備をしてたわけね(笑)。
太田 そうそう。それでね、
すでに徹夜してるわけじゃないですか。
だから途中でね、気を失ったんですよ。
糸井 うはははははは!
── 電源切ってないんですもんね(笑)。
太田 だから、眠ったというか、気を失ってて。
うちのカミサンはもう、ひとりで、
ほんっとに、死闘してて。
で、もう、その重装備が
とうとう尽きるっていうときに、
「これもうダメだ!」っていうときに、
倒しかたに気づいたんですよ。
そこでぼくは「ねえねえ!」って起こされて。
── おお(笑)。
太田 で、もう、アイテムとかもなくなってるから、
ギリギリで負けるかもしれないっていう状態で、
そこから「あとちょっと」って感じで
ほんっと、瀬戸際のところで倒したんですよ。
だから、ものすごい感動でしたよ。
「はぁ〜っ!」っていう達成感と、
気がついてほんとによかったね、みたいに。
糸井 「俺とおまえがいれば!」
みたいな感じになるよねえ。
なんでもできるような気がするっていう。
つくり手にとっては夢の世界だね(笑)。
太田 そうですねえ(笑)。
だから、ゲームとぼくらのタイミングが
ほんとにうまく合ったんですよね。
糸井 あり得ない(笑)。
でもね、そういう話をたまに聞くんですよ。
たとえば、たまたまなにかで地方に行ったとき
「こうだったんです!」って聞いたりね。
最近になってメールがたくさん来たり。
だから、その、日本中に、
自分がつくったものが伝わってる感じって、
それまで持ってなかったんですよ。
つまり、誰かが、どこかで、
「あんたがやったことは、
 私に影響を与えたんだよ」
っていうふうに言ってくれるわけで、
それはものすごくうれしいですよね。
なんか、たかだか数千円のソフトがさ、
その人にそんなに大きく影響してるなんて。
太田 すごいですよね。
糸井 だから、『MOTHER』への関わりかたを
聞くだけで、その人の性格や人間性なんかが
わかったりするじゃないですか。
そんなふうになると思ってなかったもんね。
太田 うちの場合も、『MOTHER』によって
「あ、合うな」っていうのを確認しましたから。
糸井 (笑)
太田 自分がこんなに楽しめるゲームを、
ふたりでいっしょに楽しめるって思ったら、
「あ、この人とは合うな」って感じますよね。
だから、お互いに確認し合った感じですね、
『MOTHER』というゲームで。
糸井 そういう感覚を共有できるのは、
うれしいよねえ。
太田 そうですよねー。

(続きます!)

2003-06-17-TUE

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