爆笑問題・太田光の
家族をつくったゲーム。
『MOTHER』からはじまった
ものなどなど。

第8回
おもしろくて、寝てしまった



糸井 太田さんが台本や原稿を書くのは
完全にひとりになってからですか?
太田 そうですね。
家に帰ってからとか、ま、あと移動中、
パソコンで書いてますけど。
だいたいひとりで書いてますね。
糸井 そんなふうに書いてて、
ネタが、くたびれてないのがすごいね。
太田 いやー、そんなこともないですよ(笑)。
ネタは、ほんとに、もうずいぶん前から、
なんか、枯れちゃったっていう意識があって。
その、もう、ほんっとに、
ちょっとずつ搾り出す、みたいな感じですね。
糸井 それは、あらゆる仕事、みんなそうだから。
ずーっと枯れてると思いながら、
みんな、やってるんですよ。
太田 うーん、そうなんですよね。
そうなんだろうなと思いながら
やってんですけど。
糸井 たとえば収録なんかで、
咄嗟に出てくる言葉っていうのは、
反射神経みたいなもんですよね。
じつは、台本を書いたりするよりも
あっちのほうが重要でしょう?
太田 そうですね。はい。
糸井 あっちのほうが、
作家としての仕事以上に、
錆びたらダメでしょうね。
それが錆びてないから、
まったく問題ないと思うけど。
太田 うん、それもね、なんか、なかなか(笑)。
糸井 太田さんの場合、テレビっていう場があるから
まずは、そのなかでやるっていうことを
基本にしてるわけですよね。しかも、
それがギャランティーになんないと困るわけで。
でも、しばらくすると、
ぜんぜん違うことを
やりたがるのかもしれないですよね。
いま、舞台っていうか、
劇場でやるコントみたいなのは
やってるんですか?
太田 2ヶ月に1回、
うちの事務所のライブがあるんですよ。
そこで10分ぐらいの漫才はやってます。
糸井 あ、やってるんだ?
昔、ライブを僕が見たときは、
やりたいシーンでやり過ぎてましたよね。
太田 ははははは、
糸井さんがいらしたのは、
たしか僕らの単独ライブですよね。
糸井 うん。あれは、ある意味、ひどかった(笑)。
その、つくってる分量が多すぎて、
お客がついていけないの。
太田 ははははは。
糸井 お客が疲れ果てちゃうんだよね。
あれ、やり過ぎだよ。あれは、異常(笑)。
太田 うーん、そうですねー(笑)。
糸井 もう、西武の松阪みたいでしたよね。
ヒジが痛かろうとびゅんびゅん投げて
球数多いんだけど完投、みたいな。
打たせて取れよ、って思うんだよね、
観てると(笑)。
太田 はははははは。
糸井 でも、ああいうのを一度やんないと、
ふつうのものがなんなのか、
わかんなくなるもんね。
太田 はい。
糸井 あれはすごかったなあ。
オレ、途中、寝たもん。
── どういうことですか(笑)。
糸井 おもしろいんだよ。もう、おもしろいんだよ。
でもね、量がすごいんだよ。
だから、レコードで言うとね、
あれは、ビートルズの
『サージェント・ペパーズ』なんですよ。
── はっはぁ〜、なるほど。
太田 (笑)
糸井 いいんだけど、ちょっと多いんだよ。
あのへんのアルバムって、
かけるのにちょっと躊躇するでしょ?
『アビー・ロード』とか、
『レット・イット・ビー』とか、
ケンカしてる時代の、いい加減なやつは、
意外にOKなんですよね。
だって、『サージェント・ペパーズ』をさ、
ちょっと聴いてみるか、なんて、
軽く思えないもん(笑)。
── 太田さんの自覚としてはどうなんでしょう?
太田 そうですねえ。
糸井さんがいらっしゃったのは
僕らの2期目のワンマン・ライブなんですよ。
だから、いっちばん、グワーーッっとなって、
ガンガンやる! みたいな時期で(笑)。
その一方で、まだ不安があるから、
あれも入れとけ、これも入れとけ、
みたいにしてやってましたからね。
だから……たしかにそうですね。
糸井 あはははははは。
でも、あれを見て、すいません、負けました、
って思ったのは間違いないから、
やってよかったのはたしかなんだよ(笑)。
いま、なにかやりたいっていうのは、
あるんですか?
太田 いまはやっぱり、う〜ん、そうですね、
コントですね、やっぱり。
糸井 ああ、いいですねえ。

(続きます!)

2003-06-25-WED

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