ポケットに『MOTHER』。
〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜

7月13日 いまはレベル上げ


電車のなかで『MOTHER』をプレイする。
聖なる山は、電車に乗っているあいだに
クリアーできるような場所ではないから、
要するに、僕はゲームを進めようとして
プレイしているわけではない。

不良たちの住む街から山に向かい、
洞窟をしばらく奥へ進むと、そのあたりで
たいてい電車は僕が降りる駅に着いてしまう。
だからゲームは進まないけど、
それでちっともかまわない。

何をやっているのかというと、
レベルを上げているのだ。
戦闘を繰り返して、経験値を溜めて、
僕と僕の友だちのレベルを上げているのだ。

立ちはだかる大きな障害を前に、
自分の力不足を痛感して
ちくちくとレベルを上げていくこの作業が
僕は意外と好きである。

その日一日、
たとえ物語がまったく進まないのだとしても
その作業は僕にとって無意味ではない。
というのも、レベルが足りなくて
ゲームの進行が行き詰まってしまうことは
むしろ健全なことだと思えるからである。
だから、いまはレベルを上げるのだ。

たとえばこれがレベル以外のこと、
謎解きやフラグ立て
(誰かに話しかける、アイテムを使うといった、
 隠された条件を満たすことでゲームを進めること)
などでゲームが行き詰まっているとすると、
僕はもっといらいらするだろうと思う。

けれど、聖なる山に挑むにあたって
僕が抱える問題というのはシンプルで、
要するにレベルが足りないことと
地形を把握していないことが原因なのだ。

だから僕は、
電車で移動するときのちょっとした時間を利用して
僕と僕の友だちのレベルを上げる。
少し山の入口から奥へ進んで、
そのあたりの地形を少しずつ把握していく。

目的は戦闘を繰り返して経験値を溜めることだから
始終あるエンカウントはストレスにはならない。
気持ちにも余裕があるから、
敵に対していろんな攻撃を試してみたりする。
「PKサンダーγ」が全体攻撃だなんて
いままでぜんぜん気づかなかった。

そんなふうにして、のんびりといろいろ試していたら
「チェック」という戦闘コマンドがあることに気づいた。
というか、あること自体は知っていたのだけれど、
いままでまったく使ったことがなかった。

「チェック」を使ってみて、少し驚いた。
そして、いままで使ってなかったことを後悔した。

戦闘中、モンスターをチェックすると、
まず相手の攻撃力と守備力が数値で表示される。
便利な機能だが、個人的に数値はさほど気にしないので、
これはべつに知らなくてもかまわない。
問題はそのあとである。
攻撃力と守備力が表示されたあと、
なんと、そのモンスターに対する
ちょっとしたコメントが表示されるのである。

たとえばスターマンのコメントはこうだ。
「とおい ほしから きた おとこ」

バッファローのコメントはこうなっている。
「じつの ちちおや でさえ おそれる つらがまえ」

とうぞくカモメのコメントにいたってはこうである。
「この どろぼう!!」

なんだか楽しいじゃないか。
僕はコメントを読みながらにやにやし、
そして同時に「ちぇっ」と思う。
だって、僕はいままで戦ったモンスターのコメントを
すべて読み逃しているということになるのだ。
もちろんいまから引き返して
チェックし直すということはできるけど、
それもちょっと違うと思う。

とくに気になるのは、やはり「くま」のコメントだろうか。

とりあえず、
そんなことをいろいろやりながら過ごしている。
僕と僕の友だちはいくつかレベルを上げた。
いまは、もう一度あの山に挑むときに備えている。

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2003-07-14-MON


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