糸井 |
子どもを見てると、わかるんですよ。
子どもがひとりでいると、
いろいろ、いじめられてるんです。
それは自分もそうだったしね。
だって、エレベーターのボタンを
押せるようになったっていうだけで
子どもはうれしいんだよ。
「10階のボタンが押せるようになった」
っていうのは、
親に言いたいぐらいうれしいことなんだよ。
子どもって、そのくらい不自由に生きてるんだよ。
その気持ちをそこに入れたいな、
っていうのがあったから。 |
── |
なるほど……。 |
田中 |
ちょっと話は飛びますけど、
フォーサイドのモノトリービルにいる
エレベーター嬢の、お尻がいまだに気になって。
なぜか……。 |
糸井 |
え? どんなんだっけ? |
田中 |
エレベーターに乗ると、
エレベーターのお姉さんに
「うしろにくっついて
ヒップをちらちら見ないでね」
って言われるんですけど。
なんかエレベーターに乗るたびに
そればっか、気になって気になって。
自分でも、いつもそんなこと
思いたくないんだけど(笑)。 |
糸井 |
あはははははは。
ああいうセリフ、うまいよなぁ(笑)。 |
田中 |
いやー、もう、パブロフの犬状態で。
モノトリービルの前、通っただけで(笑)。 |
糸井 |
通っただけで、ムラムラするんだよね。 |
田中 |
情けないけど、そういうことですね。 |
糸井 |
ああいうのうまいな、オレ(笑)! |
── |
『MOTHER』って、全般的に、
お姉さんが男の子を、
「子どもじゃない、ちょっと大人なもの」
として扱うんですよね。
「ボク?」っていうんじゃなくて、
「キミは」っていう感じで。 |
糸井 |
うん。男の子だからね。
で、そのくらい少年って、
十分に変なことを考えてるんだよ。
で、それを見抜いてるお姉さんが
『MOTHER』にはいっぱいいるんで、
子どもとしては、
「見抜かれてるのかっ?!」ってことに(笑)。 |
鈴木 |
じつはエロさもあるということですかね(笑)。 |
糸井 |
あるあるある。
言われて思い出したわ。
よくおぼえてたねえ、ひろかっちゃん。 |
田中 |
なにげに強力でした(笑)。 |
── |
言われてみればあのセリフ、
『MOTHER』っぽいし、
じつに糸井重里っぽい(笑)。 |
糸井 |
あのお姉さんのあたりは、
オレ、すいすいつくれるんです。
だって、ふつうに生きてて、
目の前にお姉さんのケツがあったら、
見ますよね? |
鈴木 |
うん、うん。 |
糸井 |
でもそれは、忘れちゃうんだよ。 |
鈴木 |
そうだね。
お尻のすごさに感服していた時期は確かにあった。
バルドーの乗る自転車のサドルになりたいってね。 |
── |
少なくとも、いま出ているゲームには、
絶対に入ってないですねえ、
エレベーターのお姉さんのお尻(笑)。 |
糸井 |
やっぱりね、
狭いエロを考えてる人にはわかんないのよ。
大きなこころでエロをね、とらえるのよ。
ま、自慢することでもないか(笑)。
お姉さんのケツを見るような場面で、
なんかほかのこと考えて歩いてちゃいけないんだよ。
しっかり、自分をしてさ、生きていたら、見るものだ。
オレはね……見てるんだよ! |
── |
目の前のお姉さんのお尻を(笑)。 |
鈴木 |
ふふふふふ。
これ、(糸井さんが)40代になってからだよね? |
糸井 |
うん。1988年で40歳だからね。
40代でつくってたんですよ、これ(笑)。
濃いなー、やっぱなー。
いまのゲームつくってる子たちは若者だから
ぜったいこんなふうにつくらないよね。 |
鈴木 |
おとなだねえ(笑)。 |
糸井 |
あのへんって、もうさ、極端にいうと、
おとなが子どもをからかってるのと同じだよね。
「フライングマンを、キミはどう使うのかな?」
みたいなものじゃない? |
田中 |
ブンブーンを死なせたくないっていう
メールもありましたね。 |
糸井 |
あったねー! |
── |
あのメールは泣けましたねえ。 |
糸井 |
あのへんが、だから、
あの時代のオレなんですよ。 |
── |
「ワルいイトイさん」が残ってる。 |
糸井 |
そうそう。
「ものすごく重要なことだな」って思った瞬間に
プレイヤーに向かってポーンと投げ出して、
エグイことを経験してもらう。
父親であり、パンクであり、なんですよね。
というよりは、「おじさん役」かな。
ジャック・タチ(監督)の『ぼくの伯父さん』。 |
鈴木 |
叔父さんって、すごく世の中で
重要な役回りなんだね。
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