vol.51
- invisible human? -
●透明人間になれるかなぁ…。
ふぁ〜!オーマイグッドネスな毎日だけど、
バーチャルワールド"デモ"見ようツアー
第5セクションは、
拡張デスクトップ編なのです。
ハウ・アー・ユー・オール?
vol.46から始まったこのツアー。
新しくてワクワクする近未来センタン技術のいろいろを
見たり体験したりしてきました。
いかがでしたか?
実は、塚本研究チームの、
一連のバーチャルワールド研究の延長線上には
「透明人間プロジェクト」という
魅惑のプロジェクトがあるのです。
思い浮かべるのは、裸の香取慎吾くん(笑)。
塚本先生もあのドラマを
随分注目してたみたいなんです。
もし透明人間になれたら、どうする???
好きな場所に潜りこんで、
見ちゃいけないものからいいものまで見ちゃう?
相手から見えないのは、楽しくもあり、
哀しくもあり、複雑な気持ちが芽生えますなぁ。
当然、社会はごったがえしてきて
きっと「IT革命」に続く「透明人間革命」
なーんて言葉が踊り、大騒ぎでしょう(笑)。
だけど、研究するには、
ほんとに夢があって楽しいイメージが
どっさり湧いてきますよね〜。
今日の拡張デスクトップのコンセプトは
まさに、透明人間になるための手法第1弾!(?)
これを知ったら、みなさんも明日から消えることが
できるか…。慎吾くんのようになれるのか…?
えいっ!(しゅわ〜)…消えた。
●拡張現実感な拡張デスクトップ
さて、拡張デスクトップを紹介してくれるのは
大阪大学工学部情報システム工学教室の
坂根くんと岸野さんです。
このデモツアーでは
- HMD-TOP
- ROBO-TOP
- VCC
を紹介してもらいました。
拡張デスクトップとは、
デスクトップというコンピュータでの作業環境を
実世界に拡張したもの、という考え方です。
私たちが日々使ってるPCのモニタ画面上には
いろんなアイコンが並んでいます。
その一つ一つは、フォルダだったり、
アプリケーションだったり、
ファイルだったりします。
コンピュータで仕事をするということは
つまり、それらのアイコンを移動させたり、
開いたりして作業を進めることになります。
計算機がやっている仕事を、
数字や記号じゃなくて、
人間に分かり易く見せるために、
画像を用いて設計された作業環境を
使っているわけです。
そう、そう、それです!
ご存じ、GUI。
グラフィカル・ユーザー・インターフェースです。
GUIで仮想的に作られたデスクトップ環境で、
私たちは、原稿を書いたり、計算をしたりした後、
箱にしまったり、もっと大きな箱を作って
箱を箱にしまったり、
そうやってファイルの収納管理をしています。
ではこのような作業環境を、
私たちが生きている実世界に
拡張したらどうでしょう?
●HMD-TOP
さあ、ここからは想像力フル回転!
あなたのPCの仕事環境を
モニタ画面上だけじゃなくて部屋全体に広げるのです。
どうやって?
そこで、これの登場!
HMD-TOPシステムです。
では、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
をかけてみます。
なにやら凄い感じでしょ。
そして部屋を見回すと
あっ!坂根さん!浮かんでますよ。
アイコンや、ブラウザウインドウや、電卓が、
部屋の空間に、ぷわん、ぷわーんと。しかも立体的!
わぁーお!初めてだわ、こんな感覚。
おもしろい!!!!
左目と右目の画像です。
うまくいけば、裸眼立体視といって
このまま見ても立体的に見えるらしいんだけど
画像が小さすぎてちょっと難しいですね。
残念ながらここでは。
でもHMDで見るとちゃんと3次元でしたよ!
このHMDには、CCDカメラが2台と磁気センサー
が取り付けてあります。
どんなしくみになっているのかな?
坂根さんに説明していただきます。
坂根さん: |
2台のカメラから得られる実世界の画像に
2台の計算機を使って実空間アイコンの画像を
右目と左目別にレンダリングしたものを
ユーザに提示します。
これによって、ユーザは実世界および実空間
アイコンを立体的に見ることができるのです。
|
HMDをかけている岸野さん。
手に持っているのは、スティックタイプのマウスで、
これで空中に浮かんでるアイコンをクリック。
開いたり、移動したり、
モニタ画面と同じように作業ができるんです。
●ROBO-TOP
それから、
この拡張デスクトップという仮想空間を
複数のユーザで、共有して
遠隔利用するためのシステムが
ROBO-TOPです。
この移動型カメラサーバというのを
ユーザの希望する場所に置きます。
つまり自分の分身を置くわけですね。
で、自分は離れたところに居て
リモコン操作するっていう設定です。
カメラサーバには、CCDカメラ、
地磁気センサ、
ラジコンカーを制御するための回路、
これらの機器を統合するコンピュータを搭載。
ということで、
このカメラサーバがとらえる映像を
さっきお話したHMDで見ながら、
実空間に浮かんでいるアイコンやウインドウを
離れた場所から操作をします。
サーバロボットが
何台かジーコ、ジーコと動いていて
他の人との共同作業が
遠隔地で静かに行われている…。
そんなからくりです。
つまり、「いないけどいる。」
透明人間のコアな部分「いないけどいる。」の
研究にどんどん近づいていくのですね。
すぐに、あああ!これが透明人間か!
と納得するにはまだ少し時間がかかるんでしょうけど
そのステップは確実に前に出ているという感触を
味わいましたよ。
こういうふうに、自分の分身を置いて
遠隔操作で会議に参加したり、
まるでそこに自分がいるように作業をしたりするのは
“テレプレゼンス”とか“テレイクジステンス”
とも呼ばれています。
NASAをはじめ世界の研究機関が
しのぎを削っている
ホットホットなバーチャルリアリティ分野です。
熱いよ〜ん。
●VCC
拡張現実感をさらに現実的にするために、
物体の位置座標を
確実に知る必要があるのだそうです。
その研究がこのVCC。
visual computer communicationというシステム。
上のVCCの看板の説明にあるように、
マーカをモニタ画面に点滅表示して
それをカメラで撮影してマーカの位置をゲットし
マーカの表す情報を受け取る通信方式。
「ほら、コレ、見てください。」
と言われて覗き込むと、
ピコピコピコピコのマーカの画面。
この点滅具合によって情報を送っていて
これは「VCC」という文字を送っている
マトリックスで、
4つのコーナーの点滅は、
位置情報を送っているんだそうです。
なんだか不思議。頭がピコピコしてきました。
例えばこのシステムを使ったバッチを
身に着けていれば、
初対面の人同士、名刺代わりに
情報交換ができたりすることも将来的には
可能になる…っていう便利なシステムです。
今日は盛りだくさんにお届けしましたが
みなさんも、頭、ピコピコしてきました?
もっともっと知りたくなったら
こちらに詳しいページがあります。
この塚本研究グループのホームページは、
日に日に充実してきて、びっくり。
それもこれも毎日訪れてくれる
「ほぼ日」読者のみなさんのために
どんどん更新されているのだとか…。
ぜひぜひ、行ってみてくださいね。
透明人間プロジェクトの塚本先生による
説明もリンクされています。
●原宿でみんな着けて歩くよ。
でました!ツカモト流大予言。
「2、3年後には、原宿で、若い人たちが
HMDを着けて歩いているだろう。」
「原宿で」と限定するところが
塚本先生のこだわりなのよね(笑)。
「これが"おしゃれ"になるような
価値観の変化が必ず起こると思うんですよ。
デザインがちょっと変わるとか、なんか
きっかけがあればねー。」
小型軽量でおしゃれになって
どこかにある臨界点を越えたとき、
携帯電話がブレークしたように、
このHMDを原宿でみんなが着ける日が来る、
と想像するだけで、なんか楽しいですねー。
HMDご試着希望の方は、ぜひ塚本助教授を
訪ねてみてください(笑)。
さーて次回はバーチャルワールド"デモ"見ようツアーの
いよいよ最終回。
モバイルバーチャル音楽セッション編です。
イエイ!
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[私が読んだVR関連の参考文献]
仮想現実学への序曲(共立出版)
人間のためのコンピュータ(Addison-Wesley Publishing Company)
ヒューマンインターフェースのデザイン(共立出版)
マンーマシンインターフェース進化論(パーソナルメディア)
ユーザインターフェースの設計(日経BP出版センター)
marsha
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