OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.84
- HERO and KODO -



●太鼓と量子コンピューティング?

お、ひさしぶりですね。
まず、この先ここでお話しようと思っていることを
caos
「0でもなく、1でもない」
が量子力学のキーワード
先取りで、ちょっと
書いちゃうのですが、
実は「量子コンピューティング」の話を
ここ3ヵ月くらい書きたくて、
ウズウズしているとこなんです。
今週末にもう一つ研究会に出席したら
リョウシコンピューティングと
いうものについて
少し何か書けるのではないかと思います。
あ、いや書けないかもしれない。
自信は、0でもない、1でもない
0か1かの真ん中あたりです。

さて、もうすぐこの世の中は
次の段階に移るらしいです。
といっても、占いとか宗教の話ではありません。
(念のため、ね)
科学技術の分野の話です。
で、次は何なんだというと、
量子の世界に入っていくんだ、
‥という話を聴きました。
正直、「まだまだ先の話でしょう」
と思ってました。

しかし、どうも近い将来実現するかもしれない。
いや、その可能性が高くなっているというのです。

量子の世界に入ると、
今の科学とサヨナラすることになるくらいの
いわゆる「パラダイム・シフト」が起こります。
もちろん今の科学があるからこそ
次の量子の時代へと進む、
という順番があるのは言うまでもないことです。
積み重ねのたまものです。
デジタルで手に入れた価値観、
ネットワークのダイナミック感を基に、
でも、かなり、私たちはもっと
「変わる必要」がある‥というのです。

量子の世界では、今の科学よりもさらに深く、
人間の根源的なところ、
生命の不思議、
HERO
HERO©Warner Bros. Pictures
森羅万象の謎に気がつくように、
あ、「気がつく」というのは、
見過ごしてきたことを、
あらためて見直すことになるようです。
「先に進む」ということ
イコール、
自然や生命という基本的なところに
立ち戻るというパラドクス的な進み。

ところで今日話したいのは、太鼓の話なのですが
どうして太鼓に行くのか。
鼓童パンフレット
鼓童パンフレット
そこには、測ることのできない
(‥つまりうまく説明できない(笑))
理由があるからです。
でも一言でいうなら、
どちらも人間の、
あるいは宇宙の根源(コア)に
つながる力を持っているということ。

●HERO

ちょっと脱線しますけど
この夏公開されていた「HERO」という
中国映画。ご覧になったでしょうか。
私、5回も映画館に行ってしまいました(笑)。
ほんとは、もっと際限なく行きたかったのですが
そうもいかず、ざんねんでした。
HEROは、そういうすごい引力を発しました。

映画そのものは、今までにない
中国映画の魅力に溢れています。
‥と、このまま映画のことを話しだすと
キリがないのでやめときますけど、
なぜ、こんなにも自然に
足が劇場に向かってしまうのか
そのひとつの答が、音楽だったと、
「鼓童ワン・アース・ツアースペシャル」で
見つけることができました。

ご存知のとおり、
HEROの音楽はタン・ドゥンが担当し、
和太鼓集団の鼓童が参加しています。
イツァーク・パールマンのバイオリンの音色と
鼓童の太鼓のうねりが、
信じられなく美しい映像を、さらに
力強く心に響くものにしています。

そして私はHEROを見ながら、
すごいことが私の中で起こっているのに
びっくりしました。
つまり、うまく言えないのですが
「頭で考えていることと感覚が別々に働いていた」
みたいなことです。

頭では、「お腹空いたなあ、映画館出たら
クロサワのうどん食べようかなあ」
などと考えているまっ最中、つまり同時に、
スクリーンを観ている私の目から
なんと涙がツツーっと落ちていたのです。
お腹が空き過ぎたからではなくてね。
紛れも無く感動してたから。それは確かです。
「ええっ?」と思いました。

そして涙が落ちるところは
毎回だいたいおなじシーンで
そこには、鼓童の太鼓が響いていたことに
気がついたのは、5回目を観たときでした。
なぜそうなるんだろう‥?
単純に不思議になりました。
それは医学的な見地からは「あり得る」のかも
しれませんが、もっとなにか深い無意識レベルで
起こっているような気がしました。

それから鼓童の太鼓が気になり、
鼓童のメンバーの金子竜太郎(太鼓)、
EPO(ヴォイス・ギター&ハープ)、
嵯峨治彦(馬頭琴・口琴・のどうた)の
不思議な音のユニット
Aguri(あぐり)にも行ったりして
これまた新しいインスピレーションを受けました。


●鼓童ワン・アース・ツアースペシャル

そして今回の話の中心、
「鼓童ワン・アース・ツアースペシャル」
にやっと辿りつきました。
『鼓童ワン・アース・
ツアースペシャル』から


木遣り
「木遣り」



三宅
「三宅」



三宅
「三宅」



大太鼓
「大太鼓」



屋台囃子
「屋台囃子」



巴
「巴」



浮立
「浮立」



佐渡へ
「佐渡へ」

私はこのライブを観て聴いて、
やはり、太鼓の響きは
何か「無意識」に
届いている
という感覚がはっきりしてきました。

考えや、経験や、環境とか、
物理的なものを
すべて飛び越えて、無意識層に
ダイレクトに
つながる「力」がある。

こんなことは、
何度も鼓童を聴いたり、
太鼓の演奏を体験している人に
とっては、わかりきったこと
なのかもしれません。

HEROを観たときに、
あの頭や意識とは無関係に起こった
不思議な感覚は
鼓童を観ているときも
同じように起こりました。
つまり、映像ももちろん効果を
促すけれど実は音楽、
それも「太鼓」。
これが何か鍵を
握っているのではないか
と思えてきました。

●太鼓は21世紀の秘密兵器かも

「観光ー日本霊地巡礼」
(筑摩書房)の中で、
中沢新一さんと細野晴臣さんが
霊地を訪ねながらなにやら
不思議なことを語り合っています。
これは10年以上も前に出版された本で、
最近読み直してみて、
まさに「今」な感じに
びっくりします。
ここでの「時間や空間を
 越えるエクスタシー」
の話は「無意識レベル」との
つながりだし、
ご両人はさらにカオスや
フラクタルの話を
霊地巡礼しながら語り合います。
まさにこれが今、可能性として
ますます現実になろうとしている
「量子コンピューティング」の話。
10年前に、このお二人は、
もうさりげなく発表していたのですね。
す、す、すごい!

つい先日あった森美術館主催の
シンポジウム
(The Pursuit of Happiness)でも
浅田彰さんは、21世紀のアートは
「美か崇高(サブライム)」の
どちらかという
道では無くなるだろう、
とおっしゃるし、
中沢新一さんも、
UNCOUNTABLE INFINITY
(数えられない無限)を
追求していくのが
これからの時代なのだ、
とおっしゃるし。
まさに、すべての流れが
一つに集まるというのが
見えてきてツボでした。

そうそう。HEROを観て
すごいなと思ったのは
中国の古代の精神性を扱う
映画だけれど
あまりにも新しい!というか、
ここに流れる精神は
今必要とされているアジア的思想、
つまり、善と悪という
ニ元的な選択ではなく
寛容と尊敬というもう一つの選択肢を
示唆している、ということだと
私は思います。
(あ、始皇帝の解釈には
  賛否がありましたけど)

実は「量子コンピューティング」の話を
聴く前に映画を観たので、
そのときはつながらなかったのですが、
話を聴いてからは、
「もう一つの答」というところで
ぜんぶ解き明かされていくような爽快さと、
太鼓の音によってこれから起こる変化について、
ドキドキするものを感じています。

21世紀になって、アートや音楽を通して
広く一般に浸透していくもの。
一般化が進むことによって、
人々の意識のレベルが上がり、
ある科学が受け入れられるということ。

これは「天動説」から「地動説」へ変わる、
それに近い震動があるといわれています。

これがパラダイム・シフトであり
そのことによって、デジタル(ビット)を卒業し、
キュービタル(量子ビット)へと移行する
第1歩になるようです。

●「自分がどうしたいか」を見極める

「鼓童ワン・アース・ツアースペシャル」公演は
歌舞伎界の坂東玉三郎さんが演出した
歌舞伎と和太鼓の2つの世界の融合。
幽玄と躍動(生命の息吹)が見事に溶け合い、
そのエネルギーで自ずと全身が震えてきます。

玉三郎さんの演出は、
鼓童のメンバーひとりひとりとよく話をし
「自分がどうされたいか」よりも
「自分がどうしたいか」を見極め、
その力を最大限にひきだすことを試みたと
インタビュー記事にありました。

「量子コンピューティング」を勉強していて
ワクワクすることは、
今までのデジタルな感覚と違い、
今度は「自分が主体として」中に入り込む感覚を
作る科学だということです。

つまり、デジタルのときのように画面を眺め
自分はお客さんになって、
何かをしてくれるのを待つのではなく、
自分も中に入り(含まれ)、
「自分を含む複数の人間が同時に(別の場所で)
存在する」場(パラレル・リアリティ
を作り出すことで、相乗効果が起こり、
ハプニングやエネルギーが生まれる、
ということがデジタル時代以上に、
技術としてやり易くなるということです。
したがって「自分がどうしたいのか」を
常にアピールすることは重要になってきます。
むむむ、こうなると、
玉三郎さんの演出と量子コンピューティングの
シンクロニシティを感じずにはいられません。

なんだか夢物語みたいですか?

私にもまだ夢みたいです。
ほんとうに実現するのだろうかと‥。
でも、デジタルでは物足りないと思いませんか?
何かが切り捨てられているような
虚しい感覚はありませんか?
もっと深くて豊かに生きたいと思いませんか?
(あ、なんだか宗教っぽい?)

夢だと思っていただいてもいいのですが、
まず鼓童の太鼓の響きをお腹で感じてみると、
案外「夢じゃない」と
思えてくるかもしれません。
未来はおもしろくなりそうだ、という感覚も。
その感覚を味わうこと、
これを「未来感覚」と呼ぶのだと、
東大名誉教授で東京海上研究所理事長の
石井威望先生は教えてくれます。
このことについてもう少し聞いてみましょう。

やっとデジタル用語が世の中に浸透し、
なんだかデジタルに体が慣れてきたと思ったら
え〜っ?もう次ですか!?
怒っている方も、当然でしょ、と思っている方も
一緒にもっと「量子コンピューティング」に
ついて探ってみましょう。
これからどんな変化があるのか。
私たちはどう変わるのか。
なぜ変わる必要があるのか。

太鼓と量子コンピューティングの関係という
少々飛躍した試みだったけれど‥。
私は繋がっていると信じてます。
まずは体験!

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鼓童ワン・アース・ツアースペシャル
世田谷パブリックシアター公演
2003/11/14 - 30
その他の公演、および詳しくは鼓童HPで。
http://www.kodo.or.jp/


marsha
Special thanks to KODO and Ms. Junko Suzaki (KODO)
All KODO photos and illustration by marsha. All rights reserved.

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2003-11-21-FRI

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