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ご近所のOLさんは、 先端に腰掛けていた。 |
vol.98 - Initial D - ●『頭文字D THE MOVIE』がスゴイ! ![]() ©2005 Media Asia Films (BVI) Ltd. 公開接近中の 『頭文字(イニシャル)D THE MOVIE』。 (以下、『イニD』) アジアの5地域 (中国大陸、香港、台湾、シンガポール、マレーシア) のオープニング興行成績がダントツ1位という映画で、 しかもそれが、反日感情の高まるまっただ中、 まったくの日本のお茶の間と風景が舞台の映画を たくさんのアジアの人が観ていたという事実。 驚きと同時になんだかうれしくもあって、 作品のことが、激しく気になり始めました。 「免許証は身分証」にしか思ってない、 縦列駐車ができない運転オンチな私でも、 いまハチロク(AE86)モード全開。 「峠の走り屋」の映画にどっぷりハマってます。 ●多国籍な中国映画 『イニD』は、中国(香港)映画だけど、 台湾、香港、日本のキャストで、 原作・舞台は日本、製作は香港、 日本のドライビング技術チームという アジアの才能が結集した作品です。 10年前にヤングマガジンで連載開始すると人気爆発 、 なんと3900万部を売り上げるという脅威の記録を作った しげの秀一のマンガ『頭文字D』は、 アジアでも根強い人気があるんですね。 知らなかった~。 このマンガの魅力にぞっこん惚れ込んだ 『インファナル・アフェア』シリーズの 香港のアンドリュー・ラウがプロデュースし、 監督は、そのアンドリュー・ラウとアラン・マック の最強コンビ。 脚本は、やはり『インファナル・アフェア』シリーズの フェリックス・チョン。 (だけどコミック27巻もの分量が109分になるのだから、 原作がそのままというわけにはいきません。 たとえば高橋涼介の弟、啓介は出ないとか、 脚本には相当の苦労と工夫がありますね。) 原作者のしげのさんは、インタビューで 「日本ではなくて、他のアジアの国が作ってくれた ということに意義を感じます。うれしいんです。 群馬県が舞台の走り屋の世界など、 日本の事情をよくわかった上でないと 全然面白くないと思っていたんですよ。 それが他のアジアの国の人たちも 「面白い」と思ってくれるんだと、思って。」 と答えていますが、 観ているほうもほんとにうれしい! ![]() キャストは、主演の藤原拓海に台湾のジェイ・チョウ。 拓海の父の藤原文太に香港のアンソニー・ウォン。 拓海のガールフレンド、茂木なつきに鈴木杏。 他にも、エディソン・チャン、ショーン・ユーの 香港イケメン最強コンビ。 チャップマン・トウ、ケニー・ビー、ジョーダン・チャン という芸達者が脇を固め、 カースタントはタカハシレーシング。 ワクワクして試写を観たのですが、吹き替え版で、 あまりのアニメっぽい話し方に、 もう最初は吹き出してしまいました。 役者本人の声が聞けないなんて、 映画のよさが半分無くなってしまうし、 「こ、声~~~!」と無音で叫んでみたんですが。 でも、原作はマンガなんだし、 アンソニー・ウォンの父ちゃん(藤原文太)を 見てたら、もうそんなことどうでもよくなってきました。 っていうか、吹き替え版のほうがいいかも、とまで 引き込まれていくうちに思っちゃいました。 「拓海」とか「いつき」とか 日本名がついた香港、台湾俳優に最初は笑っちゃったし、 それにどうしてもエディソン・チャンとショーン・ユーの 声の当て方がしっくりこなくて、しょげていましたが、 その2人以外は、とてもよくて(笑)、 アンソニーの文太とケニー・ビーの立花裕一の掛け合いは、 日本語じゃないとおもしろさが半減するかもしれない。 字幕版を見てないからわからないけど、 宣伝さんに伺うと、現場では、日本語、北京語、広東語で やっていて、言葉がどうのこうのという場合じゃない、 みたいだと言ってたし。この映画に限っては、 ナマ声よりも、そのキャラと、雰囲気と、リズム感と、 ハチロクドリフトの方が優先順位が高いのだ!と 納得するというか、興奮してきました~。 およそ50日間、日本での峠下りのロケを敢行し、 実写化は不可能だろうといわれた ドリフト走行シーンが見事に、迫力満点、 CG無しで実現されました。 タカハシレーシングさん、ほんとにお見事、スゴすぎる! ドライビングシーンは、役者が自分で運転するのを基本に、 ということで、練習をかなり重ねたそう。 どうもショーンが一番運転がうまいらしいです。 もともとカーチェイス映画が苦手な私ですが、 この映画は、カーチェイスというより、 華麗なドライビングテクニックに惚れ惚れ! ドリフトで秋名山のコーナーを、まるで宙に浮いたように、 ふんわりと曲がるところや、 「溝落とし」と呼ばれる走法や、 アクセルとクラッチをマジシャンのように踏み替える ところとか、女性が観ても魅力満点です。 それでいて、シラーっとクールに肘をついて、 ハンドルを握る拓海…どっぷりなわけです。 ●台湾の秘密兵器 長編映画初出演、初主演の台湾大スター、 ご存じ、ジェイ・チョウ。 まるでハイクラスな運転テクニックを コトも無くみせるように、 すんなりと難なく普通に、 シャイでオクテな藤原拓海になっています。 これはきっと高度な技術だぞ。 日本でいまどき、 普通のシーンを「普通に」できる俳優がいるだろうか。 (顔も普通過ぎる~) 普通を演じることの難しさ、演技をする時点で もう普通では無いのだから。 やっぱり「天性」しか無いのだわ、この普通さ加減。 ジェイはこの天性を持って生まれちゃったわけですね。 台湾芸能人長者番付No.1、 (CD総売上が1000万枚…宇多田さんよりスゴイ) すで音楽で金字塔を建てている彼が 俳優の道に踏み込むのは、簡単なのかもしれないけれど、 この『頭文字D』の藤原拓海が、 彼を見つけたと言ってもいいかもしれない。 他の作品でデビューしてたら、 大したことない俳優になっていたかも…。 そんなことわかりませんけど、 とにかく、私にはこれからジェイ=拓海です。 ということで、ジェイの多彩な音楽を聴く毎日。 ピアノ弾き語りミニライブも拝聴し(すばらしい!)、 ジェイに質問もしちゃったこのごろは、 ジェイを(音源を)片時も離さずジェイワールドに ひたるのでした。 (車は12台持ってるって…すごい25歳。) ![]() ●とうふやとガソリンや 『イニD』に戻ると、 外せないのは、さっき話したアンソニー父ちゃんと ケニー・ビーのコンビ。 『インファナル・アフェア』の渋いアンソニーの 印象がこびりついている人には、 この飲んだくれ(キャラは原作から少し変化)の、 ヘロヘロスケベおやじアンソニーには、 舌を巻くことになるでしょう(実は伝説のドライバー)。 私は、もう断然、文太アンソニーファンです。 会見のときも飲んできたんじゃないかと思われるくらい、 文太アンソニーになりきっていたのは、 役者魂というか、お調子者というか紙一重ですけど(笑)。 大好きなシーンは、 「おーい、とうふや!」 「なんだ、ガソリンや!」 という文太と裕一の掛け合い。 これはどうしても日本語じゃないと成立しない おもしろさだろうな。 でもそこここに香港らし~いぶっ飛んだ演出もあって、 なんとも絶妙です。 それと、チャップマン・トウの思い切り良いはじけぶり。 立花樹のキャラはほぼ原作を踏襲してると思うんだけど、 飛び跳ねてて甘ったれ坊主。 うまいね~、チャップマン・トウ。 『インファナル…』より技をいっぱい見せてもらえて感激。 エディソンとショーンは、仲悪いんですかね~? (って別にいいんですけど) スクリーンにふたりが映るとほんとに華やか! そこにいるだけでおいしいです。 今回は彼らの吹き替えに思わず吹いたのですが、 エディソンのしゃべり方とはかなり遠い。 でも画面見るとクールなんだよね、 高橋涼介という役はそういう役なんだけど、 なんだか合わないなあ。(主観、主観) いや、自分では 「役と僕がとても似ているのでやりやすかった」 などと言っていましたが。 彼らは実は『ベルベット・レイン』がいいです。 ふたりがものすごく生かされています。 アンディ・ラウとジャッキー・チュンも最高だし。 それから鈴木杏ちゃん。いい女優さんだなあ。 この多国籍環境にいて一歩も引けを取らない度胸。 それどころか彼女らしさが存分に引き出されてる。 これもアンドリュー・ラウ&アラン・マック監督の 腕の見せ所ですね。 鈴木杏のなつきとジェイの拓海の甘~いシーンは、 この映画の2大柱のひとつ。これが効いてるから、 カーレースシーンが効いてくるという、 2つは大事な両輪なわけで、 うまい演出と、2人の演技のうまさで、 じわーんときます。 いちばん好きなシーンは、 おまんじゅうを食べるところと 海に行った後日に2人で湖を歩くシーン。 公開待ち遠しいです。 9月17日からシネマミラノほか全国ロードショーです。 そうそう、前回ご紹介した辻田監督から ルーマニアのフィルムフェスティバル出品の 便りが届きました。またご紹介しますね。 ルーマニア、素朴でおもしろそうです。 ------- ![]() 日本デビューアルバム「Initial J」 相当かっこいいです! Special thanks to GAGA Communications. ![]() |
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2005-09-08-THU
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