vol.123
- Damejin 1 -
●”脱力系”というよりもはや“解脱力”‥‥な
---- 『ダメジン』をよろしくお願いします
7/1よりテアトル新宿にてレイトロードショー
□三木聡監督に会いました。
「時効警察イッキ観オールナイトイベント」
というのが、この間ありまして。
何かというと、
ドラマの「時効警察」9話分全部を
TOHOシネマズ六本木ヒルズの大スクリーンで、
オールナイトで一気に観る‥‥という
けっこう大変な耐久レースだったんですよ。
観ましたね~。
不思議と一睡もせず、9話まで。
夜9時半から翌朝5時半までノンストップ。
朝4時ごろからさすがに全身しびれてくるというか、
イスに座りっぱなしだから、
体勢がキツかったですけど。
毛布とか、クッションとか、お菓子持参で、なんとか。
ミッドナイトに三木聡さんとオダギリジョーさんが、
登場して、オーディエンスに「喝!」を入れて帰る、
‥‥というか、だらだらしゃべってたから、
「喝」ではないんですけど、
ゆる~い笑いが会場に蔓延‥‥。
オダギリさん曰く、
「笹野高史さんの4人のお子さんは笹野さんにそっくり」
‥‥って、ま、どーでもいいことなんですけど、
三木さん曰く、
「カナダ人は、家に鍵をかけない」
これだけでなんか笑える人は、
コアな三木聡ファンですよね。
で、今日は「時効」じゃなくて、『ダメジン』です。
ダメダメ3人組(佐藤隆太、緋田康人、温水洋一)が
「一生、夏休み」みたいなダメ~な暮らしをして、
いろんなヘンな人に会ってヘンなことがある話。
働かないで生きるには、インドへ行けばいいと聞く。
なぜならインドには「ムードがあるから」‥‥。
川に住むインバさんとか、○○を食べるシーンとか、
ユルいんだけど、なんだかラディカル。
ちなみに黄金の“岩松了&ふせえりコンビ”は、
ここで誕生しました。それから、
岡田眞澄さんの遺作になった作品でもあります。
(作品については、ここをご覧ください)
「シティボーイズ」の舞台の作/演出をして、
TV「トリビアの泉」「タモリ倶楽部」「ごっつええ感じ」
などなど、人気番組を次々と手がけてきた
三木聡さんが、映画の初監督をした作品です。
『亀は意外と速く泳ぐ』と『イン・ザ・プール』
より先に制作されてた作品なのですが、
なぜか3年間眠ったあと、とうとう世に出ます。
三木さんの原点ここにあり、という意味でも、
「待ってました!」のうれしい公開です。
なんか殺伐として、街の中ですれ違う人の顔が、
コワイ(緊張っていう意味で、なんですけど)
最近の世の中、三木さんのゆる~い笑いで、
一気にふ~っと息が抜ける感じがいいんですよね~。
そ、そ、そんなコワイ顔しないでさ~、
ダメはダメなりにいいんじゃないの~?
と思うとほんとに楽~になりますよ。
明日から夏休みだし(って早過ぎか‥‥)。
「スパイ募集」の小さな貼り紙を見つけてしまうとか、
「日曜日に眼鏡をかけるのは、イギリス人」だとか、
「辛いものを食べると髪型が変わるよね」とか、
「え~~~?」っていうくだらなさが
いい感じで好きなみなさんへ。
では、憧れの三木聡さんに
お話、聞きましょう。
ポイントは、
1. 三木さんの映画の中の人の並び方が、気になる
2. 『ダメジン』のフィルムが、気になる
3. 『ダメジン』を作ったときの心境が、気になる
4. なんか「3人」というのが、気になる
5. ネタをいつ考えるのか、気になる
6. ユルいものづくりの現場が、気になる
7. オダギリさんが、なんか気になる
8. トルエンじゃなくてシンナー、が気になる
こんな感じで、
けっこう長い連載になりそうな予感です。
三木さんの話の「おもしろさの質」が、なんとなく
昔聞いていたセンタンの科学者の話に
似てるな~みたいな懐かしい感じがしました。
では、ユルめにいきま~す。
□三木さんの映画の中の人の並び方が、気になる
── 『ダメジン』は、
1作目に戻る形で公開するわけですが、
『亀は意外と速く泳ぐ』と『イン・ザ・プール』
『ダメジン』と、三木ワールドを3つ並べて
眺める気分って(プログラムを並べています)
なんだか格別で、最高にうれしい感じ、
三木さんファンとしては。
三木 ありがとうございます。
宣伝が上手なんだと思いますよ。
── 三木さんのいろんな映像の中で、
並んでいるところが気になります。
人の「並び方」なんですけど。
三木 並び方が映画的かどうかわからないですが、
舞台的な並び方なのかもしれない。
人の関係が、その位置関係になる、というのが、
拘ってるわけじゃないんですけど、
意識しているというのはあります。
「時効警察」も、
岩松さんとふせさんとオダギリさんの3人が、
こちらのメインの側にいて、
サネイエさんは逆に座って、そっちを映す時は、
カメラを逆に切り替えた方が
ポイントとしてはっきりするとか。
つっこみの人が右にいた方が、
つっこみやすいとか、あるじゃないですか。
そういう位置関係は考えますね。
でもカメラのことは考えないで作るもんだから、
カメラの人が「どうすんだよ」ってのも
あるんじゃないかな(笑)。

□『ダメジン』のフィルムが、気になる
── そういえば、カメラの方は3本とも同じ方ですね。
(小林元さん)
でも、3本それぞれ、トーンを変えて
撮っていらっしゃるんですよね。
三木 『ダメジン』は、スーパー16mmのフィルムで
撮ってるんです。
だからおのずと作り方も変わりますね。
編集もスタインベックという、
いわゆる昔のフィルム編集機でやりました。
それは僕の映画経験上最後になるという噂もあって。
それも同じ編集の方とやらしていただいてるんです。
次にやるときは、フィルムで撮っても、
デジタルに取り込んで編集するんじゃないかと。
ちょうどメディアの境目にあった映画なんです。
社会科見学的にも、
そのフィルム編集を体験できたのは、
おもしろかったですし。
「何コマが無い!」と助手さんが言うと、
ゴミ袋の中から探してきたりして。
── すごい手作業ですね。
三木 すごいです。セロハンテープで貼っていく
わけですから。
── 時間もかかりますね。
三木 それと「切る」という行為って、
「思い切り」があるじゃないですか。
デジタルの「切る」は「切る」というより、
「印をつける」イメージでしょ。
「ハサミで切る」という物理的なことは、
けっこう思い切り要りますよ。
── 映像の中にそのイメージが現れてますね。
三木 うん。ある種の思い切りの良さと、
デジタルじゃなくて大変だったのは、
オーバーラップとかいうものの制限も
ありましたし、予算的なものもあったし。
そうすると、カット編集で見せていく
ことになるんです。
あんまり細かいカット割にしない方がいいな
ということは物理的にありますよね。
プロモーションビデオ出身の監督さんとか、
細かいカット割が好きな人だと、
だいたい内容もそういうことだったりするので、
もちろんケレン味が必要でやってるんだけど。
オレのペースは、ざっくりしてるんです。
それはフィルムということもあるんですけど、
「時効警察」の方がデジタルになっている分、
カット割が細かくなっているというのはあります。
── 『ダメジン』の風味はある種特別で、
『亀』~『プール』へ行くと、
どんどんスピード感が加速していくみたいで。
三木 『ダメジン』はいちばんマッタリしています。
つづく。
そのマッタリの『ダメジン』は、
7/1よりテアトル新宿にてレイトロードショーです。
次回は、
3. 『ダメジン』を作ったときの心境が、気になる
からです。どうぞお楽しみに。
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ここで哀しいお知らせです。
センタン司令塔として活躍した内田俊一さんが、
先週、急逝されました。
ダーリンと対談をした楽しい想い出もありました。
ご冥福をお祈りいたします。
Special thanks to Director Satoshi Miki
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Written by (福嶋真砂代) |