OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.161
- zukan 2 -


ベリーベリーラジカル!
──『図鑑に載ってない虫』その2



©2007「図鑑に載ってない虫」製作委員会
テアトル新宿ほかにてロードショー中


□たくらむ女優、ふせえりさん

『図鑑に載ってない虫』は、
いつから「ズカチュー」なんですか~。
聞いてないなあ~。
早め、早めに言ってくださいよね。

というわけで、早めにふせえりさんの第2回です。

話は、『図鑑‥‥』の現場に漂う怪しい煙に乗って、
やっぱり「時効警察」に飛んでいきます。
というか、なにしろ「帰ってきた 時効警察」は、
『図鑑‥‥』とクロスオーバーしていますから。

エンドーは出る、チョロリは出る、霧山消防局は来る、
なんとな~く「クロスを探せ!」ですか。
でもわからないからと言って、
人様の家の呼び出しボタンに、
瞬間接着剤をつけて遊ばないように、
くれぐれも気をつけてください。

さあ、ドライブ感出てきましたね~。
ふせさんもいい感じにドライブ。
では、早めに読んでください。

── 三木監督の現場って、
   リハーサルを入念にやって、
   間合いとかかなり厳しくて、
   アドリブは無いと‥‥。


ふせ そうですね、アドリブは無いですね。
   よくこういうおもしろいことをやってると、
   アドリブとかつきまとうと思うんですけど、
   三木さんは、一切、無いですね。


── けっこう張りつめてるんですか、空気は。
   ユルユルじゃなくて。


ふせ そこはかとな~く、緊張感が漂ってる感じ。
   ゆる~くしてるわけでもなく、
   緊張感でピリピリしてるわけでもなく、
   地にこう、うす~く黒い煙が這ってる感じですね、
   現場は。


── わは~、煙が‥‥。

ふせ す~~っとね(ふせさん独特の表情~!)。

   

── 不穏ですね~~。
   煙を踏まないようにしないと、みたいな。


ふせ うん、なんか、そんな感じはあります。
   こう、じわ~~っと、いう感じ。


── しかも、濃い方ばっかりで。

ふせ あ~あ~、みんな、そうよね。

── 現場は濃いのかなあと思ってましたが。

ふせ そんなことも無いんですかね。
   「その場でおもしろく生きられたらいいな」
   って思ってると思うんですよね。
   岩松さんにしても、松尾くんにしても、
   伊勢谷くんにしてもね。
   そういうのがベースにあるんで、
   なんかちょっと普通と違った現場かもしれないです。


── 三木さんって変わった監督ですか?

ふせ うん、変わってるかもしれないですね。
   撮影終って飲みに行こうってことは、
   絶対ないですし。


── そういう関係性を作らないんですね。

ふせ そう、作らないです。

── 三木さん、お酒を飲まれないですよね。

ふせ そうそう、あまりそういうの、
   好きじゃないみたいですよ。
   たまたまそういうの好きじゃないひとが多いんです。
   なんかこう、終ったあとに発散するのやめよう
   ‥‥みたいな。ストレス、タメタメに、
   次の現場行こう、みたいな感じで。


── 自虐的ですね~。

ふせ そうそう。そんなふうにならざるを得ない感じが、
   こう「うす~い煙」になってる(笑)。


── 昨日のこと、ひっぱってるな~って。

ふせ スタッフもそんな感じじゃないですかね。
   作ってきたものがウケるとすごい喜んで、
   ヨシヨシ、シメシメみたいな感じで、
   わりとそういう「たくらみ」持って、
   この現場に来ようっていうのが、
   あるんじゃないですかね。


── ふせさんもたくらんでますか。

ふせ 私はね、たくらみはいっぱいあるんですよ。
   それをひとつひとつ、つぶしながら、
   自分のたくらみはつぶしながらね。
   たくらんでいるのを悟られないようにして、
   「今日はちょっとここ出してみようか」
   みたいな感じはありますよね。


── え~、あれで、ちょっとですか。

ふせ うん、なんかね、そんな感じ。
   たくらんでも意外とわかっちゃうんですよね。
   見破られるたくらみでね。


── たくらみだらけの現場、なんでしょうね。

ふせ だから監督はそれをつぶすのが、大変でしょうね。

── オレの考えはこうだ、みたいな。

ふせ だって映画って、監督が総指揮なわけですからね。
   あっちから、こっちから、みたいにたくらまれて、
   役者だけでも大変なのにね~。


── そういえば、「情熱大陸」に出てた
   ジャニーズの嵐の二宮くんが、
   他のメンバーがモニターで踊りをチェック
   してるとき、DSゲームとかやってて、
   モニター見てないんですよ。で、インタビュアーが、
   「どうして見ないんですか」って聞くと、
   「そこで自分が生まれちゃうと辛いでしょ、
    自分をつぶしとかないと」とかなんとか、
   そんなことを言ってたんですよ。


ふせ すごいしっかりしてるよね、何歳?

── いや~オトナですね。

ふせ それはでも、すごくわかるかもしれないですね。
   映画って役者があんまりチェックするわけじゃ
   ないですからね。
   やったものを見ないですね、現場では。
   監督がOKだったらOKですよね。
   役者があまりそこをこだわるよりは、
   と思いますけどね。
   三木さんの現場では、そういう人はいないですね。
   ときどき、「ハイ、カット」っていうと、
   必ずモニターのところへ行く人いますね。
   「なに見てるんだ~?」って思うけど。
   テレビドラマはけっこう多いですよね、
   次の段取りで見ることもありますけど。
   「時効警察」はテレビドラマだけど、
   見に来る人いないですね。


── 「時効警察」は映画っぽい現場なんですね。

ふせ かもしれないですね。

── 映画の監督さんも多いし、
   ケラ(リーノ・サンドロビッチ)さんは舞台ですが、
   ケラさんとは舞台ご一緒ってありましたか?


ふせ ナイ、ナイ、ナイ!
   やり方違うから、ケラとはやんない!


── お~、ココ使っていいですか。

ふせ いいよ~、ケラとは友だちだし、
   「やりましょう」とは言われるんだけど、
   「やんないよ」って。


── テレビはいいんですね。

ふせ テレビはいいの。
   ケラとは同じ年だから。
   マズイとかじゃなくて、ケラとはやらない。


── 「時効警察」は毎回のように監督が違うので、
   大変だろうと思うんですけど。


ふせ なんか気の毒ですよ(監督に)。
   三木さんが作ったものをナゾっていかなきゃ
   いけないから。
   三木さんのホンをあて書きするっていう
   感じだから、ちょっと気の毒かもしれない。
   他の監督にしても、ご自身のやりたいことが、
   たくさんあると思うけど、
   こういうふうにして下さいとか言われるから。


── 演じてる方もなんか感じるんですか。

ふせ 感じますよ。
   園さんとか‥‥(笑)。
   園さん、コメディとかやらない人じゃないですか。
   ムリヤリ、ムリヤリだし。
   もう、園さんだからいいけど。
   園さんももう自分でわかってるから。
   ほ~んと、おもしろくないの。


── (大爆笑、声が出ない、お腹痛い。)

ふせ 麻生(学)監督とかもね、ホラーの監督なんだけど、
   ツライと思いますよ。
   時効課の会話の妙なところで、
   みんながみんな、やんなくてもいいと
   思ったんですけどね、三木さんの持ち味を。
   毎回毎回変わってもいいような‥‥。


── 三木さんはやりたいようにやってくれって、
   いう方針だったとおっしゃっていたような。


ふせ そう。でもテレビだからいろいろあって。
   ほんとに気の毒な感じしましたね。


── これは秘密兵器らしいんですけど、
   オダギリさんも監督をされたと‥‥。
   (放映前のインタビューですが、
    放映されましたので解禁ですよね)


ふせ いまのところ内緒なんだけど‥‥、
   「監督やればいいのに!」
   って言っちゃったもの。
   昔から監督志望だったんですよね、オダギリ氏は。


── 大学でコースを間違えたと。
   でも監督作品を観たいですねえ。


ふせ 映画を撮りたいと言ってましたね。

── 演出とか、どうだったんですか。

ふせ オダギリくんはまた、こだわりとかあって、
   ちゃんとそれも伝えてくれるし。
   使う言葉がおもしろかったですよ。
   そのへん、観てもらえれば。


── 言葉ですね、楽しみにしてます。

   岩松了さん編へつづく。

オダギリ監督作品‥‥、
映像遊びがとてもラジカルデス。
ぜひ映画も早めに観たいですね~。
それにしても「帰ってきた 時効警察」の
最終回は、なんだかホッとしましたね。
「あ~やっぱり、これ、これ」っていうか、
散り散りに迷走していたものを
ちゃんと戻して終止符を打つ三木監督の緻密さ。
そしてふせえりさんは思ったとおり、
キレ味最高、ますます憧れのチョロリです。
「角刈り」の女優魂! 必見ですからね。



さて、次回は、岩松了さん編です。
コワイかな。ちょっと緊張してます。
目玉のおっちゃんです。

お楽しみに。

『図鑑に載ってない虫』
カメイが行く


Special thanks to Eri Fuse,
Nikkatsu and Unplugged. All rights reserved.
Written by(福嶋真砂代)

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2007-07-03-TUE

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