ピーコ |
それに誰かとすぐに
一緒に暮らしたがるホモもいて、
「え?また別の人と暮らしてるの?前のは」
そしたら、「もうやめたの」って
言う人もいるけど、
どうしてすぐ別の人と暮らせるの?
私はもう嫌。誰かと暮らすのって。
もの珍しいから、2、3日は
いじったり触ったりするかもしれないけど、
同じものばっかり見てれば、2〜3日でね。
それに、触ればすぐに
立っちゃうような男じゃつまんないし。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
だから、ひとりのほうがいいの。
好みってあるじゃない?
生活感のない部屋で、
好きな絵を飾ってあって、
季節が変われば絵を替えて、
お金がちょっと貯まったら部屋を替えて、
家具も替えて・・・。
自分のごはんは自分で作れるし、
お掃除も上手だし、洗濯も上手だし、
何の苦もないわけじゃない? |
糸井 |
その話、おもしろいです。
自分をものすごく
よく知ってる人の発言ですから。
みんなは、そんなに自分のことを
よくわからないから、
何かをやってみては、失敗してるんじゃない? |
ピーコ |
でも、そういうことってない?
好きだと、相手のことを一生懸命知ろうとするけど、
体を知るよりか、
もっと奥の方を知りたいと思う。
何を考えて生きてるんだろうかっていうことに
興味があったりするっていう。
いまわたしがすごい好きなぼうやは、
仕事のことはちゃんとやってるんだけど、
自分のことは、いっさい口をきかなくて。
そこを話しているのがおもしろい。
人を好きになっちゃうと、
洋服も1年間は春夏秋冬、
ぜんぶ揃えてあげなければダメでしょ。
「私と歩くんだから、変な格好しないで」
っていうふうになると、ぜんぶ作る。
それがどんどん、似あっていく。
私と歩いてるときには、
ふだんの職業の人には見えないの。
私といる時だけは絶対に汚い格好をしないで、
って約束させると、ちゃんと似合う。
それは、とても楽しいわよ。 |
糸井 |
・・・えーっと。
今の話は「おのろけ」なんですか? |
ピーコ |
(笑)じゃないわよ。
さっきの、
「セックスがない」ということを。 |
糸井 |
(笑)あ、そうか。
そこから来てるんですか。
だけど、ちょっとそういう
ピーコさんの気持ちって、
聞いていると「来る」ねえ。
うーん、なんていうの?
育っていくところを見ている暖かいまなざしと、
それに応えている姿っていう交歓がさあ・・・。
なんか、ちょっといいね。
つまり、全部が無性になっちゃった感じが
ピーコさんのユートピアなんだね。
「性なし」みたいになっちゃうのが。 |
ピーコ |
その彼とも、年中会ってるわけじゃないのよ。
今もひと月に1回しか会えないんだから。
また、電話はかけてこないし、
こっちから電話かけるか、
かけても出ないっていう、とても特殊な子なの。 |
糸井 |
あの、映画の中の高倉健みたいなものだね。 |
ピーコ |
うーん、似てるかもね。 |
糸井 |
本当にいる健さんは別として、
映画の中にいる健さんは
そんなふうな役をするじゃないですか。 |
ピーコ |
私、健さんてって女々しそうで嫌いなの。 |
糸井 |
女々しそうな健さんをぼくは知らないけど、
でも女々しくない男なんかいないですから。 |
ピーコ |
女々しいっていう言葉がいけない、
って言われりゃそうだけど、わたしは、
比較的女みたいだって言われていても
決断も早いし、人のいうこと聞かないし。 |
糸井 |
ほんとは男性的だよね。 |
ピーコ |
そうよ。
いわゆるおかまの方が、
みんな男性的よ。 |
糸井 |
そうだなあ。 |
ピーコ |
だってさあ、ウジウジしてる男は、
いやだもん。
「何で決まんないの、こんなことが」って。 |
糸井 |
俺、どこからそうなったかは、
わかんないんだけど、
ピーコさんが、昔、意識的に
「オカマの双子でーす!!」
ってやってたときと、今と
見えかたが、ちょっと違うよ。
やっぱり、見ていても無性化してるよ。
歳取ったからっていうせいもあると思うけど、
どんどん、生臭さがゼロになっていくじゃない? |
ピーコ |
あの、はっきり言って、
今つきあっているぼうやも、
母親は私よりも下なのよね。
お父さんはもうちょっと上で、
お父さんの年齢に近いんだけど、でも
「年齢が離れていて、嫌じゃない?」って聞くと、
「いやあ、親父とか母親とかとは全然違うから、
何でもしゃべれるし・・・」
って。
(つづく)
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