糸井 |
ピーコさんって、
マッチョな人にいじめられたってことはない? |
ピーコ |
マッチョの人って、
頭もマッチョだと思う。
・・・頭がマッチョって
どういうことかというと、デリカシーがない。 |
糸井 |
力で支配できるっていう発想ですよね。 |
ピーコ |
そこが嫌いなの。
テクニックがないとか
そういうので嫌いではなくて。
走って美しければ競馬の方がいいし。
何でも速けりゃいいとは、思わないもん。
限界に達しても、いろんなものを注射して
わけわかんないものを飲んで、
そういうのが、嫌い。
わたしが嫌だと思う人は
だいたい考え方がマッチョで、
そういうのは、図々しいと思うのよ。
もっと、隅のほうで生きているなら
何も言わないけど。 |
糸井 |
そういう人は、隅のほうで
威張ってても、しょうがないからね。 |
ピーコ |
でも、わたしは、もし自分がだめだったら
隅のほうで生きようかな?って思うもん。
今も、真ん中で生きてるわけじゃないけど。 |
糸井 |
でも、この頃はすごく、
ピーコさんの位置、変わってきているよね? |
ピーコ |
わたしは普通に生きてて、まったく同じだけど。 |
糸井 |
だよね? |
ピーコ |
それが、何かおもしろがられてる、
っていうのが、すごく嫌なの。 |
糸井 |
いや、いい方向に、だと思いますよ。
ピーコさんの言いたいことが、
きちんと通り易くなって
きてる時代だと思うのよ。
今までと同じこと言っても、
よりよく聞こえるようになってる。
お客さんっていうか、視聴者にとって。
・・・例えばあの、本の書評番組なんてさあ、
もう自由、のびのびじゃない? |
ピーコ |
だってあれは、わたしたちが
本のことを評論するわけじゃなくて、
ただの好き嫌いだもん。
好き嫌いっていうのは、ラクよ。 |
糸井 |
深夜だってせいもあるけど。 |
ピーコ |
だって、ピッてなっちゃうでしょ。 |
糸井 |
あれが一番面白いじゃない。 |
ピーコ |
あれもう終わるのよ。3月で。 |
糸井 |
ええ、惜しいなあ。
あれはすごくおもしろいじゃない? |
ピーコ |
本の番組をやっていていいのは、
無理してでも本を読むところよ。
でも、わたし翻訳もの、なかなか読めない。
あんまり名前が覚えられないというか・・・。
名前を覚えられないと、
もとに戻って何て名前だったっけって。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
もしかしたら、
あんまり外国人に興味がないのかもしれない。
だから名前が入ってこない。 |
糸井 |
意識してないんですかね。 |
ピーコ |
ブラッド・ピットは、
見れば、かわいいと思うかもしれないけど、
肌を見ちゃうと、毛穴が一つずつ
見えたりするでしょう? |
糸井 |
要するに、
違う生き物に見えちゃうわけだ。 |
ピーコ |
パリも好きだし、ニューヨークも好きよ。
でも、外国人が好きっていうと、そうでもない。
アメリカの文化は嫌いじゃないけど、
アメリカ人と友だちになる気もないの。
友だちにならなくっても、生きてる。 |
糸井 |
まにあってるの? |
ピーコ |
外国のおともだちいるけど、
その人たちは一生懸命こっちが言いたいことを
聞いてくれるし、当たり前のことだけど、
相手の言ってることをわかろうと
努力してる人とは、お友だちになれるわよ。
だけどフランス人でもアメリカ人でも、一般的には、
まずフランス人はフランス語ができなければだめ、
アメリカは英語のだめな人は相手にしないでしょ。
だからそんなに・・・。 |
糸井 |
コミュニケーションしようと思う人だったら、
もうすでに成立できる人なんだ? |
ピーコ |
まあそこまですごくはないし、
そりゃ日本人だって
コミュニケーションのできない人は
山のようにいるわけだから。
なんだろう?
そりゃ重里が言ったように
ただ単に、開き直ってんのよ。
だから、英語の能力がないの。 |
糸井 |
でも、開き直るのってなかなか難しくてさ。
やっぱりぼくらは揺れ動くのよ、
男らしくないから。
ピーコさん、マッチョじゃない割には、
いちいち男らしいね、 |
ピーコ |
だって手術をする時に、
目を取るってことを決める時でも
さっさと決めちゃうもん。 |
糸井 |
そこもすごいよ。
他人のように見てるね、自分を。 |
ピーコ |
それはね、そうしないと・・・。
もともと、自分っていうものに対して
そんなに自信があるわけじゃないでしょ?
だから、どこまで何をできるか、とか
どういうふうになるのか、っていうことは、
自分が自分から50メートルくらい
離れて見てないと、それは大変なことになる。
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