ピーコ |
今やってることが正しいのか、
間違った方向に行くのかについても、
自分でどんどん判断していきたい。
・・・っていうことは、
誰かに口を出してもらいたくないわけ。
人のことには口出したい時があるけど、
自分の時は、もう全然カマってもらいたくない。
だから、今みたいな状況は、
ほんとは落ち着かないの。
バラエティに出てるのも、
あまり、居心地よくないの。
ただ、困ったことに
人間関係でもっているというか・・・。
いつも「浮いてるなあ」って
思いながらやってますよ。 |
糸井 |
今ってさあ、メディアに出る人がぜんぶ、
建前の正直ぶったところまでは
全部「本音だ本音だ」って言うけど、
ほんとに正直なことって、
ほとんど言わないじゃないですか。
言っちゃいけないっていうところは
ほとんどの人が守り続けているじゃない?
でも、そこがピーコさんだと、
言わないことは言わないって決めてるけど、
でもいちおう正直に全部言いますから、
みたいなところで、
みんなに当てにされてるんだろうね。 |
ピーコ |
それがすごく困るときも。
ファッションチェックも、
もう15年くらいやってるけど・・・。 |
糸井 |
え? そんなやってるの? |
ピーコ |
だってわたし、26年間テレビに出てるけど、
レギュラーがなかった時、一度もないんだもん。 |
糸井 |
へ〜っ。 |
ピーコ |
こんなにレギュラーがあるのは
めずらしいわよ。今、週8本もあるんだから。 |
糸井 |
アイドルだね、まるで。 |
ピーコ |
そこが、すごく自信がないの。嫌なの。
「何でこんなことしてんだろう?」って。 |
糸井 |
わかるわかる。
要するに、ショーケースばっかり
増えていっちゃうみたいなことになるよね? |
ピーコ |
きっとね。
昔はファッションチェック、嫌がられたの。
でも今は、もうどこに行っても、
「やってください、やってください」で。 |
糸井 |
そこにいる編集者の某くんの同僚の女の子たちは、
ピーコさんのファッションチェック、
「怖いけど、されてみたい」んだって。 |
ピーコ |
それで、講演やディナーショーとか
そういうところで、
ファッションチェックをやってくれっていう
依頼も、あるの・・・。 |
糸井 |
それは、おかしいよね? |
ピーコ |
そういうのはぜんぶ断ってる。
あれはビデオで編集ができるし、
どんなことを言われてもいい、
と思っている人が出てくるわけだから。 |
糸井 |
あれは、芸の一つだからね。 |
ピーコ |
お金を払った素人さんを、舞台の上で
みんなの前で笑いものにするのって・・・。
私は、一対一で会っていれば、
「ここを直した方がきれいになる」
っていう話を普通にするから。
そういう時には、こき下ろすことは出来ない。
ただ、だけど今は、取材に行くのが
すごく楽になったってスタッフが言ってます。
「ピーコさんの」って言ったら
出てくれる人がいっぱいいるんだって。
昔は、もうわたし本人が行っても、逃げられたもん。 |
糸井 |
何か、昔、ピーコさんが
青山で走っていたの見かけたことあるもんな。
あれ、ファッションチェックしてたんだよね?
俺たち、道端でよく会うんだよ。
なんか知らないけど・・・。
昔そういえば、俺がパチンコの帰りでさ。 |
ピーコ |
そう。
めし屋に入るとこだったわよ。 |
糸井 |
定食屋に入ろうとしたら、
「あんたそんなもの食べるの?
もっとちょっといいもの食べて」って。
あれねえ、ちょっと、うれしかったの。 |
ピーコ |
「めし」と書いてある店に、
さっさと入っていったからねえ。
あ、今あそこなくなったの? |
糸井 |
なくなったね。 |
ピーコ |
あの時、重里がパチンコやるってことに
びっくりした。わたし、パチンコとか
ギャンブルは、1度もやったことがないの。 |
糸井 |
おもしろいよ? |
ピーコ |
そりゃ、そういうのが好きだからでしょ。
わたしは、自分が動かないで、
お金が倍になったりすることって、
すごくいやなの。 |
糸井 |
それはばくちの性質と
ゲームの性質と2種類あって、
ぼくは要するに、ゲーム好きなんですよ。
釣りだって、そういうことでやってる。 |
ピーコ |
そうみたいね。
わたし、ゲームもできないの、
ルールを覚えられない。 |
糸井 |
スコアはつけたのにねえ。 |
ピーコ |
でも、好きな人がやってないと
興味ないから、今も野球なんか見ないの。
好きな人がやってるのがいいの。
・・・野球が好きなんじゃなくて、
好きな人がやってるからいいの。 |
糸井 |
(笑)愛に生きてるんだね。 |
ピーコ |
愛に生きてるのに、
愛されないという、
愛の吸血鬼なのよ(笑)。 |
糸井 |
(笑)いいわぁ。
なるほどね。
だって、最初から成就しない愛じゃない?
成就がなんだか分かんない愛なんだ?
・・・それは、美しいね。 |
ピーコ |
そんなことないよ。
ちゃんとハグしてもらえるんだもん。
どういうつもりでハグしてるか分かんないけど。 |
糸井 |
ものすごく複雑だね、それは・・・。
あの、男だと「やっちゃう」みたいなところが
あったりとか、籍入れちゃうとか・・・。 |
ピーコ |
だからオカマなんか、すごいわよ。
「あんたキスできるんでしょ?
キスまでいったら、こっちのペース。
キスしながらあそこ握っちゃって
気持ちいいって言えば、やれるわよ」
ってオカマが言うんだけど、そんなの不純じゃん。
「キスだって、不純じゃない!」
と言われますけど、私にとっては、
キスはぜんぜん不純じゃないの。
だって無理にキスするわけじゃないもの。
男が女の人にキスする時なら、
向こうが嫌がっても
キスして何とかしちゃおう、って思う人が
いっぱいいるだろうけど、わたしは違うから。 |
糸井 |
それは、俺はダメなんだ。
無理矢理だけは、いけないって思う。 |
ピーコ |
私もそういうのはぜんぜんダメなんだけど。
「いいよ」って言う人はいいの。 |
糸井 |
俺は「いいよ」な気持ちが好きだな。
ぜんぶ「いいよ」で行けたら、
ラクだよなって思う(笑)。 |
ピーコ |
あなたはずっと
そうやって生きてきたでしょ!(笑)
私はいいよって言われないところで
ずーっと生きてきたから。 |
糸井 |
でもいいよって言わせて見せないと、
目的がないんじゃない? |
ピーコ |
目的はないけど。 |
糸井 |
そうしたら、目的がないまま、
ゲーム性がないゲームみたいで、
ものすごく複雑だよ、それ。 |
ピーコ |
うーん・・・。
(つづく)
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