糸井 |
(ひとりで登場)
「こんばんは、おすぎです!(モノマネ)」
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ピーコ |
(続いて登場)
・・・やめなさい!(笑)
あんたがマネすると、
小堺一機みたいなんだから。 |
糸井 |
俺、永六輔さんのマネもできるの。 |
ピーコ |
(笑)そお? |
糸井 |
「こんばんは。永六輔です!(モノマネ)」 |
ピーコ |
(笑)なんか・・・口調がオカマっぽいわね。 |
糸井 |
(笑)おすぎのマネが残ってた?
いまの天皇陛下もできますよ。
「こんにちは〜」 |
ピーコ |
(笑)・・・しょうがないわねぇ。
あんた美濃部さん(故人・元東京都知事)の マネもできるよ。
あそこらへん、みんないっしょだから。 |
糸井 |
(笑)ああ、そういう喋りの系統なんだ?
・・・いや、このイベント、はじまったばかりなのに、
ピーコさんの本が、
もうすでにロビーで100冊売れてまして。
すごいわ。 |
ピーコ |
(アナウンスに向かって)
あ、ちょっとおねえさん、
わたしたちの前に飾ってあるこのお花を、
ちょっと手前にずらしてくださらなーい?
前の人が見えないみたいだから。
・・・わたしね、オカマだから、
花に負けたくないの。 |
糸井 |
(笑)ふふふ。
ピーコさん、じゅうぶん華があるよ。 |
ピーコ |
(笑)
「ピーコ、わたしを語る」と書いてありますが、
わたしは本を売るためにここに来たので、
本を買ってくだされば、語らなくてもいいのよ? |
糸井 |
こらこら!(笑) |
ピーコ |
わたしが「買って!」って言えばいいんだから。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
これはね、永六輔さんに教えてもらったの。
昔に永さんとふたりでいろんなところを
まわっていた時に、ギャラが出ないもんだから、
最後に出てく時にザルを持ってったんです。
「価値のあるって思った
お金だけ、入れてってください」
っていうわけ。
永六輔さんは、
「みなさん、お金を入れない方法は、
ひとつだけあります・・・目を見ないことです」って。
糸井
(笑)ふふふ。 |
ピーコ |
わたしは、
「チャリンはイヤよ、チャリンはイヤよ。
『ヒラッ』にしてね」って言うわけ。 |
糸井 |
あはははは(笑)。 |
ピーコ |
そういうことやってきたから、
わたしがそばで、握手なんかしながら、
「買ってくださーい」って言えば
買ってくれるのよ、これがまた。 |
糸井 |
引きが強いわ。 |
ピーコ |
ま、みなさん、
きっと、生きたオカマを
見たことがないんじゃないかしら? |
糸井 |
(笑)「生きたオカマに生きたお金を」? |
ピーコ |
(笑)・・・それじゃ、
わたし、難民みたいじゃないの! |
糸井 |
この会場、400人が上限なんですけど、
しかもすでに外で買った人もいるだろうのに、
100人が買ってますからねぇ。このパワーは、すごい。
(※注釈:170冊が10分で完売してしまいました。
その後、紀伊国屋の人が
在庫の本を急いで取りにいってた) |
ピーコ |
まぁ、もう60歳近いオカマが
おばかなことを言っているのを見て、
みなさん、「あ、わたしはまだ大丈夫」って
思うんじゃないかしら。 |
糸井 |
安心させるためなの? |
ピーコ |
オカマなんて、世の中を
安心させるために生きてるようなものよ。 |
糸井 |
(笑)はぁ・・・なるほど。 |
ピーコ |
うちはね、長いあいだ
「きたないオカマのふたご」と言われてきたから、
何だかね、それがトラウマのようになって(笑)。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
ま、くわしくは言わないけど、
何とかの裏に咲くすみれの花、とか言われて。 |
糸井 |
便所の裏に咲く。
・・・あぁ、日陰でもよく育つ
八つ手の葉のような人生を送られた。 |
ピーコ |
・・・まあ、だから
きれいきたないということに関しては、
それなりの劣等感?
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糸井 |
(笑)「それなりの」・・・。 |
ピーコ |
わたしは
「きれいじゃなくったって生きてけるわ」
とか言ってるけど、おすぎはこのごろ、
こんなんなって固めて鏡見てるわよ。
「ここよここ!
ここの角度だけ見ていれば十人前よ!」って。 |
糸井 |
(笑)ハハハ。おすぎさん、
ピーコさんよりきれいになりたいのかな。 |
ピーコ |
・・・いま、きたないからじゃない? |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
相対的に(笑)。
うち、ふたりしかいないから、
それしか比べるものがなくって。 |
糸井 |
わははは。
「きたない」と「よりきたない」? |
ピーコ |
・・・あんた!
重里に言われたくないけど、
まあ、そうでしょうねぇ・・・(笑)。
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(つづきます。)