ピーコ |
わたしたちは、まったく、
ムーブメントをするようなゲイでもないのね。
だから、ゲイであることを隠しておきたいなら、
隠しておけばいいと思うわけ。
ただ、もし、
そうじゃないと思っている人がいたとして、
そういう人たちは、
わたしとおすぎがいなかったら
もう少し大変だったと思うのね。 |
糸井 |
それはそうだね。 |
ピーコ |
わたしとおすぎが
いろいろ言われていたような
ひどいことは、言われないような
道ができて、あとはそれぞれのゲイの人が
自分で道をつくればいいと思っているんだけど。
だから、わたしたちはテレビに出てても
人間じゃないと思われてきたんだけど。
犬とかネコよりは上だけど、
人間じゃあないと思われてきたから、
何を言っても本気には受け入れられないところも
あったんだけど・・・。
でも、きたなくても
ゲイって言っていいとか、
そういう道はひらいているじゃない? |
糸井 |
いまよりももっと
ゲイに対してキツイ状態の時に、
「オカマのふたごよ!」って言って
出てきたわけですからね。 |
ピーコ |
そうね。
いろんな人がいるでしょ?
2丁目を歩いてても、
「そんなにきたないのに、
オカマって言って歩いてほしくないわ」
と言われたり。
・・・ま、そいつもきたなかったけどね。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
わたしは、オカマだったり
ホモだったりゲイだったりすることが、
ぜんぜん、イヤじゃないのね。
生まれかわっても、また、
オカマになりたいと思うわよ。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
いまは、なんかね、
「寝ベタ祭り」みたいに
もう、寝ないじゃない?
だから、この次は
朝から晩まで、イイ男のそばで
寝ているようなオカマになりたいわよ。 |
糸井 |
(笑)わはははは。 |
ピーコ |
だって、いますごく忙しいでしょ?
日本中をぐるぐるまわるような
お仕事を、いただいているじゃない?
・・・きっとね、前世は
寝たきり老人だったと思うのよ! |
糸井 |
(笑)裏目、裏目に行くんだ。 |
ピーコ |
そうそう。
裏目に裏目に出るから、
この次にもしゲイに生まれたら、もう・・・。 |
糸井 |
淫蕩なオカマになるんだ? |
ピーコ |
そーよ。
朝から晩まで、おふとん。
だいたいの日本の人って、
わたしたちが世の中に出た時、
「オカマって、朝から晩まで寝てるんだ」
って思ってたのよ?きっと。
わたしはそれですごく怒ってて。
女だって、男だって、
朝から晩まで寝てたい人もいるじゃない?
どうしてオカマだけが
「イヤだ」って思われるのかしら、って。 |
糸井 |
ぼく、ピーコさんの
シャンソンのコンサートに出かけていって、
「生まれかわっても、オカマになりたい」
って聞いた時に、
「それ言える人って、いいな!」と思ったの。
ぼくは生まれかわっても
男になりたいとも
女になりたいとも思わなくて、
何にも思えないの。
だからすごいなと思った。 |
ピーコ |
いいよぉ?オカマって。 |
糸井 |
(笑)そう?
・・・じゃあ、俺も、
次はオカマになるわ。 |
ピーコ |
何か言った時に、
「あらあらごめんなさい、
オカマなものでぇ」って・・・。 |
糸井 |
(笑)ハハハハ! |
ピーコ |
ことが、荒だたないんだよ? |
糸井 |
(笑)会場に来た人も、みんな
「生まれかわったらオカマになりたい」
と思うでしょうね、おそらく。 |
ピーコ |
歓迎するわ(笑)。 |
糸井 |
(笑)うふふ。
・・・あ、もう、
時間がなくなっちゃったんだよ。 |
ピーコ |
今日、本を買った人の中で、
「損したわぁ」と思った人、手ぇ挙げて!
・・・よかったわね、重里ちゃん。
ひとりもいないよ。 |
糸井 |
(笑)・・・いやぁ、よかったです。
どうもありがとう。 |
ピーコ |
・・・でも、あんた木村拓ちゃんと
しゃべっている時はそんなことないのに、
わたしと喋る時は、
そうやって両手を握ってるのね?
どうしてどうして? |
糸井 |
・・・(おすぎさんのマネで)
わたし、相手に似てくるのよ! |
ピーコ |
(笑)そういうの、よくないわ?
それこそオカマを差別してるもん(笑)。 |
糸井 |
そーなのよ、あたしは。 |
ピーコ |
(笑)まだマネしてるわね。
あれ? あたし、「あたし」って言うかな?
・・・言うわね。 |
糸井 |
(笑) |
ピーコ |
でも、「アタイ」って書かれるとイヤなのよ。 |
糸井 |
(笑)わはははは。 |
ピーコ |
「アタイはね!アタイはね!」
って書かれちゃうんだから。週刊誌とかで。 |
糸井 |
(笑)ふふふ。
いやー、おもしろかったわ。
ピーコさん、どうもありがとう。 |
(『ピーコ伝』発売記念対談は、ここでおわり。