胸から伝わるっ。
ピーチ・ジョンがふくらんでいく物語。

 
第2回 女の人の生き方は。


※第1回からの、糸井重里による
 「いま、ピーチ・ジョンの話を
  聞こうと思った動機」のつづきです。

 女の人どうしが組んで何かをするという
 可能性などについて、しゃべっています。


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ピーチ・ジョンの社長の
野口さんとはじめて話した時に
「彼女のスピーディーな生き方を伝えたら、
 きっと、女の子は勇気を持てるだろうなあ」
とぼくは感じたんです。

それと、さっきしゃべったように、
ピーチ・ジョンというブランドは、
すでに女の子から、かなり
好かれているじゃないですか。
「なぜ、そこまで支持をされるのかな」
と知りたい気持ちにもなりました。

そのふたつの動機があいまった、といいますか、
ぜひ、ピーチ・ジョンという会社の話を
はじめから詳しく聞いてみたいと思いました。

しかも、カタログ通販において
かなり重要な役目を果たすコピーライターが、
ピーチ・ジョンの場合は女性なのですが、
その方と野口さんの関係も、とてもいいんです。

野口さんは初対面の時、
「わたしは誰よりも大事な女がいるんです。
 その人は、いま池袋のうちの会社にいるけど」
みたいな話をしてくれました。

その「大事な女」って、
ピーチ・ジョンのカタログを作っている
コピーライターの女の人のことなんですよ。

その話に、ぼくはちょっと感動しちゃいました。
ふつう「社長とコピーライター」っていうのは、
一般的には仕事のつきあいに徹するじゃないですか。
コピーライターのことを、
社長が、ウソをつかずにそう言えるんだと思うと、
なんだか、うれしくなっちゃいました。

さらに聞いてみると、
どうやら野口さんは、夫である会長さんと
そのコピーライターの佐藤知代さんと、
3人で会社の大枠を作っているみたいでした。

コピーライターである佐藤さんを
クリエイティブディレクターにして
『PJ』のカタログ全体の方針を
彼女に一手に任せちゃえているんです。

女の子ふたりがしっかりチームを組んで
会社を作っている様子をうかがうと、
やっぱり、勇気がわいてきました。

野口さんと佐藤さんの話を聞けば、
読んだ人が
「わたしにも、本当に何かできるかもしれない」
って、思えるような本が、自然にできあがる、
とぼくは、思いました。

女の人って、
学生の時も、社会に出ても、
かなり優秀な動きをしますよね。
そんな人でも、専業主婦になる場合があります。

専業主婦になったとしても、
優秀で好奇心旺盛な人たちは、
家事ひとつにしても工夫をしていたり、
時間を作って趣味を磨いたりしていますよね。
パートタイマーで、はたらいたりもしています。

だけど、自分のサイトを運営していて
そういう人たちからも
たくさんメールを受け取るなかで、
ぼくは少しだけ、思うことがあるんですよ。

「わたしがいかに、
 どれだけ工夫をしたとしても、
 それ以上に大きな何かをするきっかけは、
 わたしの日常には、もう訪れないかもしれない」

そう感じている女の人が、
もしかしたら、いるのかもしれない・・・
大量のメールを読むなかで、
ふと、そう感じる時があるんです。

能力もあるし、人格的にもすばらしい人たちが、
「もう、何もすることが、ないのかな?」
「わたしは、一生このままかもしれない」
とか、漠然と不安に思って暮らしているとしたら、
なんか、ぼくは悲しく思うんです。

女の人の生き方って、何でしょうか。

もしも日常で、
「自分は、くすぶってる」
みたいに感じているなら、それこそ
だんなさんと別れるなら別れてもいいわけで。

いっそ、正面から、
「子どもが大きくなってから、何するの?」
というところまでも含めた女の人の生き方像を、
ピーチ・ジョンの会社運営に深く関わる
ふたりの女性を通して、
ぜひ見つけたいなあ、と思いました。
野口さんには、お子さんもいらっしゃるし。

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(次回に、つづきます)

2001-08-22-WED
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