糸井 |
野口さん、こんにちは。
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野口 |
どうも。
こちらが、前にお話をした、
ピーチジョンのコピーライターの佐藤です。
ふだん、リンダって呼んでます。
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糸井 |
リンダさん、はじめまして。
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佐藤 |
どうもこんにちは。
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野口 |
もともと、わたしは、
リンダがうちのカタログに書くコピーを、
ピーチジョンのお客さんに読んでもらいたくて
やっているのかもしれないぐらいなんですよ。
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糸井 |
へえ〜。
それ、いいなあ。
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野口 |
この人の書くくらい楽しいコピーだったら、
読んでるだけでも、楽しいじゃないですか。
いかにコピーを読ませるか、という
カタログを、つくりたいなあと思っているんです。
ものを買いたいという楽しさとは別に、
カタログを読んで元気になってほしいな、
という野望を持っちゃって。
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糸井 |
それは、『通販生活』を作っている
カタログハウスのナイスな社長が言ってることと、
おんなじですよね。
「なんで、ものを黙って売るのよ」っていう。
ほかのカタログ会社が、
カタログコピーに冗舌にならずに
黙って、お客さんに何を見せたかと言うと、
「けだるい午後」とか、
何も言ってないのと、
おんなじようなことを、書いてるのね(笑)。
「それじゃあ、何も伝えていないじゃん」
って、ぼくなんかは、思っちゃいますけど。
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野口 |
(笑)そうなんです。
そういう点については、
リンダとふたりで、とことん話しあいました。
他社のカタログを見ながら、
「こういうのは嫌だからやらないで欲しい」
と、今年の年頭に、社員へ向けて話もしまして。
「シャンパングラス片手に、
大きなジュエリーとかをつけてる
ブラジャーの写真は、絶対に禁止です!」とか(笑)。
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糸井 |
(笑)
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佐藤 |
それじゃ、ひいちゃうもんね。
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野口 |
うん。
でもほんとに、他社のカタログって、
そんなのばっかりなんですよね。
バラの花束を持っていたりとか。
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糸井 |
わかるわ。なんか、
「読者をナメてる」
って感じがするんだよね。
「けだるい午後」にしても、
「女は、けだるい午後みたいなものが好きで、
あとは、何も考えていないんだろう」
みたいな勝手な思いこみがある人が、
あんなもんを書けたんだろうなあ、きっと。
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野口 |
「さあ、鏡に向かって、
きのうとは違うきょうのわたし」
「シンプル&ナチュラルなデイリーウェア」
「恋する予感のランジェリー」・・・。
わたし、そういう例を無限に出せますよ(笑)。
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糸井 |
(笑)さすが本職。
そういう例が、ポンポン出てくる!
ほとほと嫌だと思っていたんだろうね。
それは同時に、ヌードグラビアとかもそうなのよ。
いっつも、
「ミカ、18歳」
みたいのが、書いてあるじゃん。
「はちきれそうなボディで、悩殺」みたいに。
それも、ナメてるよね、読者を。
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野口 |
そうそう。
それでよく、クライアントもOKするよな、
とか、ほんとに思いますよ。
カタログは、広告と雑誌の
すれすれのラインにありますよね。
わたしたちのところにも、
「PJに書いてあることは誇大広告だ」
なんて、クレームが来たりも、するんですよ。
でも、わたしは、
「広告ほど真実はない」
と思っているんですね。
絶対にウソは書けないし、
ほんと、正直に書いています。
雑誌にライターが書くのとでは、
責任感が、ぜんぜん違うんですよ。
それは、あらゆる企業の広告が、
そうだと思います。
広告というのはもともとウソを書けないものなのに、
どうして誇大広告とか言われなければいけないのかな、
と感じることが、多いんです。
雑誌なんかだと、
「これを飲むとヤセるよ」
とか平気で書けるけど、そういうことを、
広告では、絶対に書けませんから。
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佐藤 |
書けないですよね。
でも、ミカちゃん(野口さん)がそうやって
コピーを大事にしてくれるのが、うれしかった。
「わたしは、コピーを読ませたいから、
コピーが読めるデザインじゃなきゃこまる」
そう、デザイナーに向けて、
はっきり言ってくれたことがありまして。
そこまで思ってくれているんだったら、
わたしも、ちゃんと書こうと思いました。
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糸井 |
そう言ってくれると、
コピーライターとしては、
書ける気持ちになるよね!
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佐藤 |
はい。
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野口 |
リンダは、ほんとは、例えば、
なろうと思えば作家になれるぐらい、
豊かな文章を書ける人なんですよ。
「カタログで、いいのかなあ」
とか、わたしとしては、思ってたんです。
リンダには、すごい才能があるからね。
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