野口 |
そのあと、わたしは20歳の時に、
うちのダンナと知りあいまして。
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糸井 |
まだ、それが20歳の時なの?
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佐藤 |
若かったんですよ、すごく。
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糸井 |
話が若いよね。
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野口 |
ナガイさんが亡くなって半年くらい経って、
わたしは、うちのダンナの会社に入ったの。
次の年の4月くらいだったと思うけど。
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糸井 |
ダンナは、もう、仕事をしていたの?
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野口 |
はい。
サラリーマンをやめて脱サラして、
会社つくったばっかりでした。
飲み屋で知りあったんです。
なんか私がデザインとかできるという話で、
「じゃあ、来ない?」って。
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糸井 |
やっぱり、ダンナのことを、
「ステキ」とか思ったわけ?
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野口 |
いやぜんぜん。
麻雀してた(笑)。
毎日いっしょに麻雀やってたんですけど。
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糸井 |
ダチつながり?
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野口 |
そうですね。
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佐藤 |
その頃、ミカちゃんは
おもしろいことを言ってた。
若いのに、
歌舞伎町のことをよく知っていて。
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糸井 |
変わってるよね?
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佐藤 |
久しぶりに会って、わたしが、
「ブルーハーツが好き。ヒロトが大好き」
と言ったら、
「歌舞伎町には、ヒロトの本物がいる」
って言うの(笑)。
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糸井 |
(笑)
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佐藤 |
「知代さん、歌舞伎町には
ヒロトの本物ばっかりだよ」
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糸井 |
(笑)あはははは。
センスいいよな。
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野口 |
当時、彼女に
「ブルーハーツ大好きで」と言われても、
わたしには、ブルーハーツが、
なんでいいのかわからなかったんです。
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佐藤 |
「本物のヒロト」じゃなくて、
「ヒロトの本物」(笑)。
彼女の中では、雀荘を寝ぐらに
してるようなヒトのことですよ。
ヒロトのよさを、
ぜんぜんわかってない(笑)。
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糸井 |
(笑)あはははは。
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野口 |
わたしの行ってた雀荘に
通って打ちに来る人って、
やくざとかクラブのママとか、ほんとに
住んでるところのない人なんです(笑)。
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糸井 |
「本物」たち。
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野口 |
そう(笑)。
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糸井 |
佐藤さんのあだなのリンダは、
『リンダリンダ』のリンダなの?
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佐藤 |
そうです。
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糸井 |
だいたい、なんで歌舞伎町にいるの?
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野口 |
バイトしてたんです。
10人くらい女のコがいて、
20人くらいがシフトで入れ替わっている、
ミニクラブと言うのかな。
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糸井 |
イラストレーションをやりながら、
野口さんは、そこに勤めてたの?
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野口 |
そうです。
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糸井 |
その頃のイラストの仕事って、
どういうのをやっていたかを、
もし、覚えていたら、教えてもらえる?
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野口 |
何だろう?
おみやげ屋さんの
キャラクターのイラストとか、
あとは、企業誌のさし絵
みたいな仕事ですよね。
社内報のイラスト、とか。
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糸井 |
郵貯のしくみ、
みたいなのを描いてたわけだ。
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野口 |
そうそう。
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糸井 |
でも、19歳や20歳で、
どうしてそういう仕事が入ったの?
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野口 |
それは、ナガイさんがまわしてくれたり、
あとはおともだちですね。
みんな、ともだちが、まわしてくれて。
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糸井 |
「イナカモンで、ひとりぼっち」
みたいなふりしてるわりには、
ともだちがいたの?
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野口 |
ひとりぼっちじゃないです。
ともだちは、多かったですよ。
でも、女のコのともだちは、
ほとんどいなかった。
仙台あたりから、
女のコで大学に入るために上京する子って、
ほとんど、いなかったんです。
同じ高校からだと、3人くらいでした。
だけど、男のともだちは、
東京の大学に来るから。
仙台つながりのともだちから、
あちこちの子とかと知りあって、
という感じ。 |
糸井 |
歌舞伎町でバイトして、
ダンナに知りあって、
仕事は、イラストレーションを
少しやっていたんだ。
当時、食えていましたか?
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野口 |
イラストでは食えてないですよ。
だから、バイトしてた。
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糸井 |
そっか。
バイトのほうが安定してるんだ。
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