ほぼ日 |
2回目の南極と言う話が出てきましたが、
いったいどのような経緯で
南極観測隊に参加することに
なったのですか?
観測隊に入るルートが
まったく想像できないのですが。
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斎藤 |
前回行ったのは12年前、
第35次観測隊でした。
そのときは、
建築を専門にしていたんですね。
日本の観測隊の基地として
昭和基地があるのですが、
今回行くドームふじ基地を建てる計画が、
その時にあったのです。
それで、寒いところで建築できる人は
誰かいないかということで、
知り合いから連絡があって‥‥。
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ほぼ日 |
得意だったのですか、
寒いところが‥‥。
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斎藤 |
もともと北海道の生まれなので、
寒いところの建築は大丈夫でしょうと。
それが南極行くきっかけですね。
でも戻ってきてからは、
建築はすっかりやめて、
今は、北大の低温科学研究所で
氷の研究の手伝いをしてまして、
そこで働きながら
「もう一度行きたいので
何か南極に行く機会があったら、
行きます!」
と手を挙げていたのです。
そんなこともあって、
今回、南極に行く人を探していて
いい機会だからどうですか
という話になったのです。
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ほぼ日 |
では今回は南極の氷の観測をする?
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斎藤 |
ええ。
氷というのは場所によって違うので
面白いですよ。
大陸の上の方は、
ざらめの砂糖みたいな感じで、
ほんとに深いところにいっちゃうと、
綺麗な透明の氷になるんです。
大陸に降った雪はその重さで氷に
変化していくのです。
南極というのは大陸の上に氷が乗っていて
雪が降って融けないで、
それが氷になっていく。
100万年以上も融けないでいるので
その厚さが平均で
2400メートルくらいあって。
一番高いところで4300メートル。
今回ぼくが行く
ドームふじ基地というところは、
氷の標高が3800メートルという地点に
あるんです。
(提供:国立極地研究所)
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ほぼ日 |
富士山より高い、100万年前の氷!
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斎藤 |
雪が積もって溶けないでいるので
上から順番に穴を掘って
サンプリングしていくと、
現在から過去の地球環境を
さかのぼれるのです。
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ほぼ日 |
この氷の採掘と研究を
1年間通してなさるんですか?
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斎藤 |
南極は南半球で
ちょうど春から夏にかわる頃なので、
この作業ができるんですね。
秋から冬の気温が低い時期は
採掘をしません。
掘ることができる期間が
南極の夏にあたる11月から
1月の半ばくらいまでですかね。
ドームふじ基地というのは、
気候が厳しくて、
平均気温が
マイナス54度ぐらいなのです。
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ほぼ日 |
もう想像できない寒さですねー(笑)。
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斎藤 |
夏はマイナス35度くらいに
上がっていくんです。
やっぱり、冬になると
70度を下回っていくので、
以前は冬も、氷のサンプリングを
していたんですが、
やっぱり掘るときの効率が悪いので、
夏の期間に集中的にやります。
マイナス30度くらいであれば
大丈夫です。
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ほぼ日 |
それでもマイナス30度なんですね。
とってもベタですが
もちろんバナナが‥‥。
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斎藤 |
凍ります(笑)。
ただね、夏はずっと太陽が出てて、
太陽の日差しがあって風がないと
結構あったかいんです。
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ほぼ日 |
バナナが凍るけど
結構あったかいというのも
想像しきれないです(笑)。
採掘できないときは
どうされるのですか?
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斎藤 |
南極の秋、
つまり来年の2月ごろには
昭和基地に向かいます。
そこでまたその翌年の採掘に向けた
準備作業をする。
そして来年のちょうど10月ごろに
またドームふじ基地から
昭和基地に向かうわけです。
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ほぼ日 |
そうすると、
2005年の11月に
ドームふじ基地に入って研究をして
2006年の2月昭和基地に移動して、
準備をして
2006年の10月頃に
またドームふじ基地に向かって
また研究をして‥‥。
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斎藤 |
再来年の春に日本に帰って来ます。
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ほぼ日 |
すごい長旅ですねー!
(つづきます)
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南極観測について、
もっと知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページを
ぜひご覧ください!
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