ほぼ日 |
南極には具体的にどのようなルートで
行かれるのでしょうか?
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斎藤 |
日本の観測隊は基本的に、
「しらせ」という船で行くんです。
日本の昭和基地というのは
大陸の上ではなくて、
島の上にあるので飛行場ができないので
飛行機で行くのがちょっと難しいんですね。
「しらせ」は東京の晴海埠頭から出発して、
オーストラリアに寄ります。
3年ほど前から観測隊員は
オーストラリアまでは
飛行機で行きましょう、
ということになりまして、
オーストラリアで船と合流して、
昭和基地まで船で行く。
それが日本の観測隊の
メインのルートです。
「しらせ」の航路(提供:国立極地研究所)
今回ぼくはドームふじ基地から入るので
飛行機で南極まで行きます。
これはどういうルートになるかというと
シンガポールからケープタウンに行って、
そこから色んな国の研究者が
チャーターした南極行きの飛行機に
乗って行くんです。
そこから先は、昭和基地じゃなくて
ロシアのノボラザレフスカヤ基地の
飛行場におりるのです。
そうそう、ここは大きな飛行場で
飛行機は車輪のまま
降りられるんですよ。
雪の上でも着陸できるんです。
もっと内陸だと、車輪のところに
ソリも一緒につけておりるんです。
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ほぼ日 |
でも、ブ、ブレーキは?!
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斎藤 |
エンジンを止めれば、
いつか止まります(笑)。
まあそれもひとつの方法ですが、
滑走路が短いところだと、
着陸してからエンジンを逆噴射して、
それがブレーキですね。
それで止まるのです。
今回、ぼくは
ノボラザレフスカヤ基地から、
今度は車輪とソリのついた飛行機に
乗り換えて、
ドームふじ基地の近くに
行くわけです。
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ほぼ日 |
ドームふじ基地の近くには
飛行場がないんですね。
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斎藤 |
実はこれからドームふじ基地の近くに
飛行場を作るんです。
いま、先にドームふじ基地に向かっている
先陣隊がいまして、
その人たちが雪上車で向かいながら
飛行場になりそうなところを
雪上車でならしています。
近くといっても300kmくらい
離れているそうです。
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ほぼ日 |
飛行場という名の平地を
作るってことですか?
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斎藤 |
内陸に行くとね、
結構雪面が平らなので、
意外と簡単にならすことができるんですよ。
そこに飛行機が降りられるようにするには、
雪かきというよりも、
野球のグランドをならすような
イメージですね。
これを雪上車を使ってやるんですが、
簡単とは言っても、
ひたすら時間はかかりますね。
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ほぼ日 |
ドームふじ基地と、
昭和基地はどれくらい離れてるんですか。
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斎藤 |
1000キロです。
南極大陸というのは、
日本の面積の
だいたい37倍くらいあります。
それで、昭和基地から南極点まで、
2200キロくらい。
ぼくが行くドーム基地は南極点と
昭和基地の間くらいにあります。
南極(提供:国立極地研究所)
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ほぼ日 |
雪上車でどれくらいかかるんですか。
時速100キロとか出ないですよね。
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斎藤 |
雪上車はね、時速8キロ。
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ほぼ日 |
!!!
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斎藤 |
一日に8時間くらい走るとして、
だいたい一日に60キロで
ドームふじ基地から昭和基地まで
3週間くらいですか。
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ほぼ日 |
昭和基地からドームふじ基地に
移動するにあたっての
目印は何になるのですか?
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斎藤 |
今はGPSが使えるんですね。
あと、いままでに南極点へ行った
第9次隊が作ったルートがありますし、
昭和基地からドーム基地へ
向かう途中にあるみずほ基地までは、
ルートができています。
そこからドームふじ基地までも、
しっかりしたルートがあり、
ルート上には2キロ毎に旗が立っていて、
それが目印になりますね。
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ほぼ日 |
移動をする雪上車というのは
どのぐらいの大きさなのでしょうか?
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斎藤 |
イメージが湧かないですよね。
雪上車と言っても中が、
かなり広いんですよ。
そこで寝泊りするわけなので
キャンピングカーみたいな感じです。
大きさとしては6メートル×3メートル、
ぐらいだったかな。
色々な物資を運ぶので、
ソリを引きながら行くわけです。
雪上車にソリを6台とか7台とか
引っ張って行く。
そうすると、やっぱりどうしても
遅くなるんですよね。
途中でガソリンスタンドないですから
自走燃料って言うんですが、
自分で走る分の燃料も持ちながら、
いつも途中で給油していくんです。
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ほぼ日 |
すごいですねー。
大きな箱にあらゆるものが入って
動いていくのですね。
内陸旅行雪上車(提供:国立極地研究所)
(つづきます)
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南極観測について、
もっと知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページを
ぜひご覧ください!
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