ほぼ日 |
12年ぶりに南極に行くというのは
どういうお気持ちなのでしょうか。
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斎藤 |
「ちょっと行って来るわ」っていう感じですね。
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ほぼ日 |
え、そんな気軽な感じですか。
「ちょっと」って‥‥。
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斎藤 |
前回行った時はね、初めてだったし、
わからないところなので、
どうしようかなって思うことが多かったんですね。
例えば着るものをたくさん持って行ったり、
生活用品を
たくさん持って行ったりしてたんですけど、
今回はあんまりそういうことはないんですよね。
ほんと軽い気分なんです。
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ほぼ日 |
でも近くに旅行に行くのと違って、
忘れ物といっても、現地で調達が‥‥。
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斎藤 |
ああ、できないですね。
でも南極観測手隊自体は
もう40年近くも入ってますから、
まあ、何か足りなくなったら、
過去の置き土産がちゃんとあるんです。
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ほぼ日 |
なるほど!
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斎藤 |
本もものすごくたくさんあってね。
昔のビデオとかも、あります。
新しいの持って行って、それを置いていって、
また次の隊がまた持って行って、置いていく。
約40人の隊員が越冬をするのですが、
研究者が半分で
研究職じゃない方も半分いらっしゃるんです。
医者とコックさん、
機械をメンテナンスする方とか。
メーカーで言うと、
イスズ自動車とか、ヤンマーとか。
あとは、通信士ですね。NTTから来たり。
生活はすべてこの40人でまかないます。
食べ物も、ちゃんと3食、
調理の方が作ってくれるので
食べる心配はしなくていい。
どうしても「俺は朝これがないとだめだ!」
というのであれば、
それは個人的に持って行けばいいんですけども、
基本的には食事は全部用意してくれます。
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ほぼ日 |
1年半分なんて持って行けないですもんね(笑)。
その食料というのは真空パックですか?
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斎藤 |
そうですね。あとは冷凍と冷蔵品ですね。
荷物を運ぶ船「しらせ」が日本から出て、
途中オーストラリアに寄るので、
そこで最後の補給をします。
生鮮食品、キャベツとかタマネギとか
積み込むわけです。
それが昭和基地に行って、
来年の2月くらいまでは
生鮮食品も食べます。
それ以降になると、
あとは冷蔵品と冷凍品ですね。
10年前から比べると、
冷蔵とか冷凍技術はものすごく発達したようで、
前回行ってきた方の話を聞くと、
日本とあんまり変わらないって。
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ほぼ日 |
ええーーーっ!
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斎藤 |
(笑)釣りをして魚も食うんですよ。
ワカサギ釣りのように、
氷に穴開けて釣るんです。
でも釣りも、やたら釣るんじゃなくて、
一応ね、観測なんです(笑)
だから、ある一定の時間を決めて、何匹釣れるか。
いくつ穴をあけて。
それで何人が何匹釣れるから、
今年はおそらく何匹くらいの魚が
いるだろうという。
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ほぼ日 |
全部データなんですね。
最後は食べるけど(笑)。
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斎藤 |
そうそう。観測隊ですから。
最後は唐揚げとかですね(笑)。
食べ物は不自由しないかな。
ただ、やっぱりレタス、トマトとか、
生のものは食べたくなりますね。
もやしとか、レタスも栽培しているんだけど
なかなか難しいですね。丸くはならないんですよ。
トマトもプチトマトくらいの大きさにしかならない。
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ほぼ日 |
それも観測の一環だったりするんですか?
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斎藤 |
うん。それは水耕栽培だったかな。
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ほぼ日 |
生活とデータがもう密着しているんですね。
昭和基地(提供:国立極地研究所)
(つづきます)
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南極観測について、
もっと知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページを
ぜひご覧ください!
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