ほぼ日 |
南極の話はいつ頃から動き始めたんですか?
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斎藤 |
去年の夏ぐらいからかな。
観測隊に参加するメンバー決めがあるんです。
面接も一応ありました。
研究系の部門は研究者の中で
雪氷関係のグループ、オーロラの研究グループ、
ペンギンを研究するグループというような
小グループがあって、
その中ではだいたい何次の時には
誰が行きましょう、
って決まっていく感じですね。
研究職以外ですとお医者さんや
コックさんは公募だったり、
メーカーとかは、どこそこのメーカーで、
来年お願いしますって辞令がおりたり(笑)。
それぞれの会社とかグループで
個別に決まっていって
初めて全員で集まるのが出発する年、
つまり今年の3月です。
3月に初めて会って、
半年もしないうちに一つの隊になって
南極へ行く。
これが面白い。
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ほぼ日 |
年齢層もばらばらですか!
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斎藤 |
平均年齢が今年は35歳。
一番若いのが24歳かな。
大学院を出たばっかりで。
一番上が52歳の観測隊長です。
全員で40名ぐらい。
ま、なかなか変わった集まりですね。
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ほぼ日 |
学校のひとクラスって考えると
すごく仲良くなりそうですね。
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斎藤 |
前回の観測隊で、
1年半、一緒に過ごした仲間は
今でも連絡はとりあいますねー。
今回もう一度行くにあたっては
壮行会を開いてくれたりしました。
南極に行く直前の団結式の様子。
「みなさん、南極経験者。
なんか、雰囲気似ているんです」
(奥様、亜希子さん談)
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ほぼ日 |
いいですね。
南極に向かうにあたって
準備としては
どのようなことが行われるんですか?
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斎藤 |
例えば面白いのは、富士山に登って、
滞在する訓練とかがあります。
富士山に4日くらいいたかな。
今回行くところが標高3800メートルで、
そこまで飛行機で
ほとんどいっぺんに行っちゃうんですね。
だから高度障害とか出る可能性があるので
高度障害がどういうものかを確認するんです。
一番てっぺんに山小屋がいくつかあって、
そこに4泊して、
どのように体が変わっていくか見ていきます。
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ほぼ日 |
何か体に症状が出たりしました?
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斎藤 |
ぼくは、ちょっと頭が痛くなったくらいで
あんまり出なかったですね。
ゆっくり登ったので、
段々順応していったと思います。
ただ、少し動くと、
空気薄いからぜーぜー言います(笑)。
他には雪上車を作ってるメーカーが
長岡にあるので
そこで砂浜を利用して
雪上車の運転の訓練とか、
雪上車の整備のしかたとかを
直接メーカーに行って習いました。
意外と研究には関係がないようなことでも
いろいろな訓練があります。
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ほぼ日 |
日々の生活でできないと困ることばかりですね。
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斎藤 |
他にも全員隊員が長野県の菅平で
集まって研修をしたり、
持って行くモノを調達したり、
観測の計画を立てたり、
健康診断があって、
人間ドックに入ったりもしました。
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ほぼ日 |
そして旅立ちの日を迎える、と。
送り出す家族としては
「南極に行ってくるよ」って
聞いた時はどう思われたんですか。
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亜希子 |
前に行っていたときには
まだ出会ってなかったんですね。
話だけを聞いていたので
あんまり彼が南極に行くという
実感はなかったんです。
ただ、これから1年半、
南極に行ってしまうということで、
まったく寂しくないって言ったら
嘘になりますけど、
前から「もう一回行きたい」って
言っていたので
私としては「絶対もう一回行ってほしい」と
思っていたんです。
彼は私を残して行くことを
だいぶ心配していたんですけど、
でも、まあ、ね。
やりたいことやってもらった方が
面白いなあと思って。
今はインターネットとかで、
連絡を取り合えるからいいですけど、
昔の南極隊員の家族たちは、すごいですよね。
(つづきます)
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南極観測について、
もっと知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページを
ぜひご覧ください!
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