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冬に向かっている南極では 日に日に日照時間が短くなっているようです。 そして長い夜の空にあらわれる美しいものは‥‥
5月になり昭和基地は夜の時間が長くなってきました。 日の出はおおよそ10時、 日の入りは14時半ころ。 太陽が出ている時間は 一日10分くらいずつ短くなり、 高度は握りこぶしひとつ分くらいの高さで 地平線に沿って移動しています。 まるで一日中、夕日ですね。 なんとなく寂しい情景にも感じられますが、 これからはいよいよ本格的なオーロラの季節です。 赤や紫、青、緑、 色とりどりのオーロラが、 カーテンのようになったり、 火炎のようになったり、 大きな弧を描いたり、 形も大きさも変えながら南極の真っ暗な空に舞います。 いろんな色の絵の具を水にいっぺんに溶いたような‥‥、 それとも色とりどりの羽衣を空の端と端でつないで、 「せいの!」とバタバタとはためかせるような感じです。 ところでオーロラっていったい何でしょう? 地球上で見えるところは北極圏と南極圏。 南半球は今私たちが観測している南極。 北半球ですとアラスカやフィンランドが有名です。 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、 北海道の陸別町というところでは、 地平線が淡い赤色に色づく 低緯度オーロラが観測されています。 オーロラが発光する高さは100kmくらいのところ。 このあたりにはまだ酸素、水素、窒素などの 分子原子の気体があります。 ここに大気圏外から高速の荷電電子が飛び込んできて、 分子原子にぶつかると発光するのです。 これを高電圧の真空放電といいます。 色はその種類によって それぞれ特徴のある色に発光します。 ということはオーロラの色を見て、 そこにどんな気体があるかわかるのですね。 この仕組みは皆さんよく目にするネオンサインと同じ。 ネオン管の中は真空。 スイッチを入れると 電子とか陽子の流れが中に入っている ネオンガスに高速でぶつかって発光するのです。 遠くからやってきた荷電粒子の流れは 地球磁場の関係から極地方により多く流れ込みます。 流れ込むところは 北極と南極の緯度70度くらいのところ。 宇宙から見るとドーナツの輪が浮いているように見え、 昭和基地はちょうどその輪の真下にあります。 50年前、 やや遅れて南極観測に参加した日本に認められた地は、 どこの国も興味を示さない 夏でも氷に閉ざされた前人未到の地でした。 ところがオーロラ観測にはとても条件のよい観測地。 今では昭和基地あってのオーロラ観測です。 懐かしいなあ、夜のネオンサイン。 では今夜もワクワクする宇宙のネオンサインを見に行ってきます。 おしまいに一枚の写真。 さてなんでしょう? 次回はこのお話。 2006年5月14日、 風速1m/s前後。ほとんど無風。 最低気温、−20.7℃。 昨夜、南極には珍しくしんしんと雪が降り、 朝はきれいな雪景色でした。 南極観測隊 斎藤健 ************************* うわーー、オーロラきれい! 人口のネオンと仕組みが一緒でも きっと実物は まったく違う迫力を放っているんでしょうね。 と、のんびり思っていたら‥‥ 最後の写真は いったい何でしょう? 斎藤さんへ感想や質問に加えて おしまいの写真はなにか! とひらめいた方は 件名を「南極観測隊斎藤さんへ」として postman@1101.comまで ぜひメールにてお寄せください。 斎藤さんも メールをとっても楽しみに 読んでくださっています! 南極観測について、 さらに知りたいという方は こちらの「極地研究所」のホームページも ぜひご覧ください。 |
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