TKR
高阪TK剛、じぶんレポート。

----------ROUND.9----------

トレーニングについて

そっちは暑いらしいですね。
でもこっち(シアトル)はいい感じですよ。
暑い日もあるけどカラっとしてるから風は涼しいし、
家の中もそんなに暑くならないので
クーラーなんかなくても過ごせます。

明日、明後日とシーフェスティバルってのがあって、
なんかブルーエンジェルズとか
ハイドロなんとかっていうボートのレースを
近所のレイク・ワシントンでやるらしいので、
自分は、日曜にでも見に行こうと思っています。

さて、練習の方もだんだん形になってきたので
面白くなってきました。

ただし、
モーリスはK-1(8月22日、有明コロシアム)に
向けてのトレーニング、
自分はリングス用のトレーニングと、
やるべき事が少し違うので、一緒に練習はしていますが
微妙に違う事をやるようにしています。

今回はその中で、クリニックでの
トレーニングの話をしたいと思います。

クリニックとは、
正式名をワシントン・インスティトゥート・スポーツ・
メディスン&ヘルスというのですが、
簡単に言うとリハビリセンターとトレーニングジムが
くっついたみたいな所です。

ここは、怪我をしてリハビリが必要な選手に対して
ただ単にリハビリを施すだけではなく、
その競技ができるところまで完全に治し、
なおかつその選手のレベルを元の状態以上にまで
上げてやってから送りだすというのが
本当の目的らしいです。
そしてこの“レベルを元の状態以上にする”
という所だけをやることも可能なので、
自分とモ-リスはここに通っているのです。

まず、基本となるランニング、スプリント等の
トレーニングは、前回の試合前にやっていたように、
試合時間に合わせてやったトレーニング
(スプリット・スプリント)が、
お互いに感触が良かったという話だったので、
今回もそれを取り入れる事にしました。

(※編集部註:前回のトレーニングについては、
この連載の---ROUND.5---を読んでみてください)

ここで、まず自分とモーリスでは
やり方に違いが出てきます。

モーリスが出るのはK-1のなので、
試合は1ラウンド3分×5ラウンド、
ラウンドとラウンドの間のインターバルは1分です。
だから、K-1 の試合と全く同じ時間で
前回と同様のセットを組めば良いのです。

ところが、自分が出るのは
試合時間30分でインターバルなしの試合です。
30分ぶっ続けのセットもできない事はないのですが、
それをやるとダッシュの時に
しっかり意識する事はできなくります。

意識してやるというのは、
ただ単に苦しい事をやるのではなく、
一つ一つの動きをしっかり考えながらやるということです。
たとえばダッシュをする時でも、
足を後ろから前にもってくる時にどこの筋肉を使うのか、
そしてその足が下についたら今度はどこの筋肉を使って
身体を前に蹴り出すのか、その時の腕の使い方はどうか、
腹筋を使って腰が後ろにいかないようにしているか、
などなど、いろいろな事を考えています。

こういうふうに全ての動きを
頭で考えながらやる事によって、
脳から筋肉につながっている神経が刺激されて、
より活発に情報を運んでくれるようになるのです。
クリニックでやるトレーニングについては、
まずこの神経の働きを良くするというのが第一目的なので、
この意識ができないようなトレーニングは絶対にしません。
持久力や瞬発力、心肺機能などの向上は
前回も話した通りあくまでも2次的産物なのです。

なので、30分ぶっ続けでのトレーニングではなく、
意識するために、5分を1セットにして、
今回はそれを4セットやる事にしました。
普通の計算だと6セットで30分になるのですが、
それも無理があるので、
4セットでできる限り集中する事にしたのです。

各セットの内容は次の通りです。

「1セット目」
・リカヴァー
 トレッドは傾斜角度0度でスピードは6マイル/H
 (このセッティングは最後まで同じ)。
 ちなみに時速6マイルは、時速約9.6キロです。
・ダッシュ
 トレッドは傾斜15度+10マイル/H。
 時速10マイルは、時速約16キロです。
・時間配分
 ダッシュを10秒、
 リカヴァーは30秒と15秒を交互にやります
(これも最後まで同じ)。


「2セット目」
 ダッシュのトレッドは傾斜12度+スピード11M/H。

「3セット目」
 ダッシュのトレッドは傾斜9度+スピード12M/H。

「4セット目」
 ダッシュのトレッドは傾斜0度+スピード16M/H。

というふうにやります。

そしてこれとは別に30分間の
インターバル・ダッシュというのもやっています。

これはトレッドで走りながら、時々スピードを
速くしたり遅くしたりするというトレーニングなんですが、
スプリントと違う所は、とにかくできるだけ
長い時間ダッシュを続けるようにするということです。
まー簡単に言うとこっちのトレーニングは
苦しいのを我慢するためのトレーニングですね。

これもいろいろプログラムがあるんですけど、
自分がやってるのはこんな感じです。

ベ-スとなるスピ-ドは7M/Hで、
そこから8M/Hに上げて3分走ったらまた元に戻す。
で、次は9M/Hに上げて何分、10M/Hに上げて何分、
というふうにスピード12M/Hまでやります。

そして、残った時間で更にいじわるなことをします。

12M/Hで走って、もう走れなくなったときに
すぐに7M/Hに落とすんじゃなく、
まず9M/Hくらいのスピードで30秒程走ってから
7M/Hに落とすようにしたり、
その逆で9M/Hからまた12M/Hにスピードを上げたりします。
とにかく最後まで心臓をバクバクさせるのです。

そしてこれらのトレーニングの時、
心拍数計は欠かさず付けるようにしています。
ハート・アタック(心臓麻痺)を起こさないために
と言われていますが、自分は単純に数値の変化が
目で見られるので面白いから付けています。

たとえば、
最大心拍数がだんだん上がっていくのもわかるし、
あと、上がった状態から普通の状態に落ちる時間が
短くなっていくのもわかって、すごく面白いんです。
そして、
心拍数計をみながらトレーニングをやる事によって、
自分の身体の事も良くわかるようになってきました。
これぐらいのバクバクだったら、
まだこれだけ動けるんやとか、
今こんだけバクバクしててもあと何秒したら
元に戻る事ができる、というふうにです。

だいたい以上がクリニックで今やってる事です。

このトレーニングを朝10時からやって、
その後、ウエイト・トレーニングをやって、
その次に、水泳をやってから休憩をいれます。
そして午後7時頃から
ジムでスパーリングなどの技術練習をしています。
次はこのジムでの練習の事を書きたいと思っています。

それでは、そーゆーことで。
夏ばてに注意してくださいね。

1999-08-13-FRI

back
戻る