高阪TK剛、じぶんレポート。 |
----------ROUND.13---------- 試合後の状態について どもです。 えーっと、 実は今、日本にまた帰って来ています。 ディレクTVで、この前のUFC (9月24日に、ルイジアナ州、 レイク・チャールズっていう所であり、 友達のフランク・シャムロックが ミドル級のタイトルを防衛しました。) の解説をしなければいけないからです。 自分は今オフ中だからこんな無茶なスケジュールでも 動けるんですけど、普通だったら考えられないですよね (2週間前にシアトルに帰ったばっかり)。 試合が近い時はそれを中心にして スケジュールを組みますから。 そこで今回は、選手の試合後の状態について 少し書きたいと思います。 まず、最初に言っておかなければいけないのが、 自分達はたった1日の試合(極論すれば、数分間)の その瞬間のために、3週間から5週間もの時間を費やして 身体と頭を作っていきます。 そこには寸分の狂いも許されません。 なぜならそれが負けにつながり、 そして最悪の場合には 選手生命自体を短くしてしまう事にも つながってしまうからです。 だからその練習期間中は 一時たりとも完全にリラックスする事はありません。 もちろん週末に休んだり、 たまに頭を切り替えたりするために 試合とは全く関係ないスポーツをしたりはしますが、 それらも練習に必要なものとしてやるのです。 そして試合という場でそれらを一気に放出します。 その結果はどうであれ、 その後、選手の身体がどうなるかというと 試合時間の長い短いに関係なく、 一度完全に抜け殻状態になってしまいます。 「今日は速攻で終わったから、 なんのダメージもあらへんやろ」 なんて事を言われる事がありますが、 実はそんな事ないんです。 むしろかえって試合時間が短かった方が、 身体が疲労していない分、 興奮状態からなかなかさめず、夜寝られなかったり、 食べ物を身体が受けつけてくれなかったりしてしまいます。 そして、どっちにしても抜け殻状態になってしまうんです。 個人差はありますが、 自分の場合、試合の翌日にそれがきます。 なんにもやる気がおこらなくなるんですね。 ひどい時なんかは、あまりにもボーっとしすぎて、 その日1日何をやっていたか 全く覚えていない時があったりします。 ただ、自分はこの時期に釣りによく行くんですけど、 今まで一度も外した事がありません。 自分が一番釣れるのは実はこの時なんです。 もう、ボーっとしてなんにも考えてないんですけどね。 逆にそれがええんかなって思ったりもしますけど。 そして、それもある程度落ち着きだすと その次にまた身体に異変が起こります。 禁断症状です。 身体を動かしたくて、 いてもたってもいられなくなるんです。 頭では練習なんかやりたくないって思ってても、 身体がムズムズしだして、 ついついジムに行って縄跳びをしてみたり、 エアロバイクに乗ってみたりしてしまいます。 でも考えてみれば、それは当然の事です。 なぜなら、試合前には最低でも3、4時間っくらいは 練習しているのに、それが突然 なんにもやらなくなるんですから。 なんか食事を1食抜かしたみたいな感じに なってしまうんですね。 それがだいたい試合から3、4日後にやってきます。 が、ここで本当は動いてはいけないんです。 怪我をしていたり、頭にダメージを負っていたりした時は 論外でやってはいけないんですが、そう言う事ではなく、 つまりメリハリのある練習をしなければ、 身体も頭も向上してくれないんです。 多分、どんな事でもこれは一緒だと思うんですけど、 一度良いイメージができてしまうと、 またその次にもそれを引きずって持っていってしまい、 そしてそれが新しい物を拒絶してしまいます。 気が付いたら前とおんなじ事しか できなくなってしまっているんです。 これはとっても危険なことです。 自分にとっての良いイメージは 頭の片隅に置くぐらいでちょうど良いんですが、 これを試合が終わってすぐに練習を始めてしまったりすると 頭の切り替えができていないうちに練習をやっているので、 知らないうちに前回とおんなじ動きをしていたり、 攻撃のパターンが一緒だったりするんです。 もうこうなったら、後は悪循環です。 例えば練習相手も同じ相手だったりすると 動きを読まれて前まで通用した技が全然だめで、 その結果自信がなくなっていったり、 仕掛けるのを躊躇したりするように なってしまったりするんです。 だから、最低でも1、2週間は なんにもしない方が良いでしょう。 ジムにも行ってはダメです。 そしてその後、身体のメンテナンスに入ります。 このメンテナンスの出来具合いによって 次の試合に向けての練習を、 いつから、どんなふうにやって行けば良いのか、 っていう事が決まります。 それでは次回は、 このメンテナンスについて書かせてもらいます。 |
1999-10-13-WED
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