MAEDA
高阪TK剛、じぶんレポート。

----------ROUND.15----------
sun is gone.


太陽はどこだぁっっっっ。
ぶあつい雲すぎるっっっっ。

ってわけで、寒いシアトルに帰ってまいりました。
自分はあと1週間オフを取るので、
その前にこの前の“UFC”の試合(11/14)を振り返って
あの金網の中で起こっていたできごとを
できるだけ説明させてもらいます。

自分はペドロ・ヒーゾとやって負けたんですけど、
これ以上ないってくらいの負けでした。
完全にヤツのゲームでしたね。いろんな意味で。

まず自分は、試合が始まって
ペドロと最初に向かいあった時すぐに
「こいつは後手ファイターや」って思いました。
なんでかと言うと、なんにも感じなかったからなんです。
簡単に言うと、「くるな」って感じもなかったし、
「ビビってるな」って感じもない。
なんか試合はしてるんやけど、極端な話
レフリーと向かい合ってるみたいな感じがした。

こういう場合、何か感じられるようなものを
相手に出させなければ試合は成立しません。
つまり、こさせるかビビらすかをするんです。
自分はこさせる方を取りました。
チョンチョンって少しちょっかいを出して
ガーってこさせようとしたんです。
が、こないんです。
それが1Rの展開でした。

インタ-バルの間、自分は
「次からシュート(タックル)に行くから」って
セコンドのみんなに言いました。
でも実は、まだどのタイミングで入ればいいのか
はっきりわかってなかったんです。
て言うか、勝つ為にはどう試合を組み立てれば良いか
っていう事自体わかってなかったんだと思います。
だから、とにかく自分が一番居心地の良いグラウンドに
早く持っていきたいと無意識の内に思ったんでしょう。
まだ手探り状態だったんですね。

で、2R目。
相変わらず、ペドロはきません。
ただ、牽制した時に返す打撃が正確になってきました。
確実に急所に当ててくるんです。
しかも重い。
もちろんガードもしてますが、
その上からでもそれがわかりました。

こういう打撃をくらっていると、こっちの心理としては
「もしあれがまともに入ったら」って思うようになります。
それが結果的にもう一歩踏み込めなかったり、
タイミングがずれたりするわけです。

シュートにも行きましたが、完全に読まれていて
簡単に切られてしまいました。
ただこの時、自分は両足タックルに行ったんですけど、
今はよっぽど知らないヤツじゃないと
両足タックルは取れません。
片足に行かないとダメなんです。
わかってたんですけど、体が感じてくれなかった。
つまり頭と体との連動ができていないんです。
このあたりから立場が逆転していますよね。
ペドロに自分がこさせられているんです。
これはあかんと思いながら、2Rが終わりました。

インターバルの間に
「TKが試合を作らなきゃダメだ。
 ペドロはとてもディフェンシブルなファイターだから、
 自分からは絶対に仕掛けてこない。
 だから牽制だけじゃなく、
 最初っからフルで行ったりもしろ」
ってモーリスに言われました。
全くそのとおりなんです。

3R目。
ペドロが待ってるのはわかってるんやけど、
仕掛けないとこのままではドローになってしまう。
もう、こっちが先にシビレがきれてしまいました。
で、この後の事は実は自分も良く覚えていないんです。
確かシュートに行ったとこを
アッパーか何かであわせられたんだと思うんですけど、
1、2秒気を失ってたんで、その前後の事は覚えてません。
気が付いたらレフリーのジョンが試合を止めてました。

さて、今回の試合を総合的に見ると
やはり完全にペドロのゲームでした。
心理的に追い込んで相手にボロを出させるやり方。
これは自分が最も得意とするやり方なんですが、
それを逆にやられてしまいました。
わかっていてそれを止める事ができなかったのは、
自分の力不足と、ペドロの試合のうまさが
変な意味でかみ合ったからだと思っています。

そして結論として、こういう相手と試合をする場合、
キレなければ勝てないという事がわかりました。
それが計算ずくの冷静なキレか、ただ単にキレるかは
その時の状態によると思いますが、
どっちにしても大きな波を起こしてやらないと
その先も何も起こらないんです。
バズを引いてから、テキサスやスプリットを入れる
みたいな事がこれからは必要になってくるでしょう。
(わからない人すいません)。

あとは技術的な事になるんですが、
それは頭で考えてしまうより
実際に体で感じた事を考えた方が無駄がないんで、
練習が始まってからまた書くようにします。
おおまかにだけ言うと、
そのキレる時に使う技の引き出しと、
キレてから使う技の引き出しを増やそうと思っています。

それでは、少しだけ休みを取ってから
12月の試合に向けてまた色々やっていこうと思うので
近いうちにまたここで会いましょう。

(高阪“TK” 剛)

1999-11-26-FRI

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