TKR
高阪TK剛、じぶんレポート。

----------ROUND.25----------
仲間という事



シアトルにはモーリス・ジムの他に
もう1つ総合格闘技の練習ができる
AMCというジムがあります。
ここはマット=ヒュームという選手が指導しているのですが、
自分は今回からここにも練習に行く様になりました。

ここでの練習は、マットが指揮を取ってメニューを指事し、
それをみんなでやるという
どちらかというと日本の部活みたいな感じです。
ただ、今回自分が初めてそれをやった時、
その1つ1つのメニューがあまりにも
的をいているのに驚きました。

と、いうのも、マットの指事する練習方法は
全てが試合の為だけにするものだったからです。
つまり逆に言うと、
いわゆる一般向けの練習ではなかったのです。
でもそれをやっている他の生徒のみんなが
試合をやっているわけでもないし、
はっきり言ってそこまでのレベルの人間というのも
2、3人しかいません。
だから、当然何をやっているのか
わかっていない者もいますし、
体力的にもついていけてない者もいます。
でも、自分や近く試合がある者の為に 、
みんながんばってついてこようとするのです。
自分も正直、これには感動しましたね。
上下関係なく、みんなで応援し合って
1つの事をやり遂げようとするんですから。

自分は昔から、今自分がおかれている環境が
はたして自分にとって適温なのかどうかという事を
常に考えて動いてきました。
特に練習環境に関しては、
自分は今でも絶対妥協を許しません。
こっちがいくら熱湯でも、
まわりがぬるま湯だったりしたら、
知らない間にこっちの温度も
どんどん下がっていきますからね。
自分がアメリカに来て練習する様になって
良かったなと思うのは、
ここの連中はこの温度がみんな高いんですよ。
しかもその殆どが瞬間湯沸かし器ですから、
さっきまでアホみたいな話をしていても、
練習を始めた瞬間、
一気に沸騰させる事ができるので、
1つの練習の中でもちゃんと
メリハリがつけられるんです。
で、なおかつみんな真平らですからね。
これって、なかなかできないと思いますよ。

さて、ではAMCではどんな事を
実際にやっているのかというと、
その殆どがドリル(反復練習)を中心にした
実戦練習です。
例えば、そうですね、簡単なヤツだと、
タックルで相手を倒して、
倒された方はすぐに起き上がって
逆に相手をタックルで倒す、
みたいな事をくり返してやるんです。
ただ、さっきも言った様に、
たまに自分でも難しくて
最初の方はうまくできないくらい
ハイレベルなテクニックを使ったドリルもやります。
しかもその種類は、
本当にどうやって思い付いたんやってくらい
たくさんあるんです。
ただし、その意味をその都度
マットができるだけわかりやすく説明しながら
練習を進めていきますから、
頭で理解する事はみんなできると思います。
そして、最後に今日やった事を実際に使った
スパーリングをやって、体になじまるせるんです。

ただ、ここで1つ頭に入れておかないといけないのは、
例えば1日に5つの新しい技術の練習を
最高に集中してやったとしても、
自分に合うヤツをその中から選んで、
そして更に実際に自分の動きの中で
使えるものだけにしぼりこんでいくと、
大体残っているのは1つか多くて2つだという事実です。
これを最初からわかっていないと
こういう練習の意味はなくなります。
だから、常に
「今自分は何をすべきか、どうなるべきか」
というテーマを持って練習をしなければいけません。
そうする事によって、
バリの取れた良い状態ができていくのです。

今回もマットにモーリス、そしてその他たくさんの仲間達が
自分の為に協力してくれました。
自分は、仲間って本当に大事にしないといけないって
今回つくづく思いましたよ。
けつを叩いてくれたり、やる気を起こさせてくれたり。
自分が今になっても
集中力をしっかり維持できているのは、
自分を支えてくれている
こういう良い仲間達のおかげだと思います。
しかも自分には彼等だけでなく、
日本に帰ればまたたくさんの仲間が
まわりにいてくれますしね。
ヒクソン=グレイシーが
「ファイターは常に感謝の気持ちを
 持ち続けなければいけない」
と以前言ってましたが、
自分も今のこの境遇に心から感謝しつつ、
これからの試合に望みたいと思っています。

2001-02-20-TUE

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