TKR
高阪TK剛、じぶんレポート。

----------ROUND.31----------
「脳と料理と格闘技」


こんちわ。
もうすっかり秋っぽくなってきてしまいましたね。
夏好きな自分としてはちょっと寂しいですよ。
あと、どんどん日が短くなってしまうので、
どんどん釣りができる時間が少なくなってしまいます。
まー、そんな真っ白になるまで
毎回やらなきゃ良いんですけど、
なんでも中途半端はいけないんでね。
で、今日はね、まー、最近練習してて
思った事があるのでその事について話しようと
思っているんです。
と言うのも、糸井さんに
「調理場という戦場」という本と
「海馬」という本をいただいて読んだんですけど、
ほら、自分なんかはどうしても
全部格闘技とつなげて読んでしまうじゃないですか?
そうすると、
「あー、やっぱりなー」って事が結構あったんですよ。

自分は若い選手と練習する事が多いんですけど、
最近たまに変な感じを受けます。
そこにあるもんだからって、
いきなりややこしい事をやろうしたり、
欲しがったりするんです。
そうですね、
なんかみんな桜庭さんになろうとしちゃうんですよね。
いなしてとか、すり抜けてとか言った感じのです。
でも違うんですよね。
実際に組んで練習したらわかるんですけど、
桜庭さんは単純に力も強いし、
相手にかけるプレッシャーも半端じゃなく強いです。
だから相手が不用意な動きをしたり、
ちゃんとした技が出せなかったりしてしまうんですよ。
それは見ただけじゃ絶対にわからないでしょう。
つまり、あーいう試合のやり方は
桜庭さんじゃないとできないんです。
いや、もっとちゃんというと、
ちゃんと1から段階を踏んでやってきてるから
できる事なんです。

「調理場という戦場」の中で斉須さんは、
全くなにも準備しないでフランスに飛び立たれました。
そして、そこでそれこそ言葉という
最も基本的な所から料理の為に積んでこられました。
おそらく、実際には関係のない無駄に思える様な事にも
たくさんの時間を割いて来られたのでしょう。
でも、とにかく前に出るためだったら
そんなのどうって事ないと思われてたと思います。
そして、その部分ってのは将来人間としての
後ろ盾になって行くんですよね。
で、それが多ければ多いほど
厚みのある人間になっていくのだと思います。
とにかく”攻撃の気持ちを失わない”
という事が何かをやろうとする時に一番大切なんです。
それさえしっかりしていれば、
技術やいろんな意味での体力も
かってについて来てくれるんです。
格闘技の世界も同じです。
もちろん、情報が増えて
無駄な時間が省ける様になった事自体は
とても素晴らしい事です。
と言うか、
そのための”無駄な時間”であったわけですから。
ただしそれは、そのありがたさや意味、
そして何よりも今自分が何を目指しているのかを
しっかり理解した上で受け止めなければいけないと
自分は思います。
じゃないと、薄っぺらくなってしまうんですよね。
でも格闘技の良い所は、そうは言っても、
考えてる事を実際やろうとしても
上手く行かない事の方が多いって所です。

相手がいるもんですからね。
で、どうしたら良いのか
考えてやってるうちに
自分の形が勝手にできてきてしまうんですよ。
その頃には最初やろうとしてた事なんか
完全に頭から消えてるはずです。
なかった事にしてしまうんですよね。

で、ここで「海馬」です。
この中で池谷さん(と糸井さん)は
「Whatメモリー」と「Howメモリー」の話を
されてましたが、格闘技の技は
全部Howメモリーでできています。
じゃないと、あれだけの動きの中で
いちいち対応なんかできないんですよ。
ただ、ものすごくたくさんの技を使ったり
知っていたりする選手でも、
実際には各場面で使うための大きなものを
2,3個ぐらいしか持っていません。
要はそれら同士を組み合わせていつも使っているのです。
で、その組み合わせたものも
1つとして記憶できるのでどんどん増えていくわけです。
だから、簡単に基本は大事だとか言いますけど、
それは組み合わせて作った技よりも
その元になってる部分が大事だと言ってるのですね。
そして、そこを知らないと
”上手く行かなくなったとき”に
戻る所がなくなってしまうんですよ。
ただし、ここで面白い事が起こります。
これらの事を人に教えようと思ったら、
これは「Howメモリー」ではなく
「Whatメモリー」からでないと伝わらないという事です。
じゃないと、自分ではわかってるつもりでも
相手はなんの事だかさっぱりわからないという事が
起こります。
そりゃそうですよね、
実際に自分がいつもやってる事は形ではなく
動きで記憶してるわけですから。
だから忘れずにいつまでも覚えていられるのです。
で、教えてもらってる方も最初は「What」で覚えて、
「How」で自分のものにするんですね。
まー、当たり前の様な事なんですけど、
その仕組みがわかればおのずとどういう
練習のやり方をすれば強くなれるか

ってのが見えてきますよね。
と、いう様な事が
そのまんまこの本に書いてあったので、
「なるほどねー」って思ったわけです。

ちなみに自分は、昔から「What」の方が
足りないのか嫌ってるのか、
何をするにも「How」の方でやってましたね。

それこそ九九なんか学校でいくら勉強しても
覚えられなかったですけど、
家でラップみたいな言葉のリズムを使ってやってるうちに
覚えられました。
だから今は大丈夫ですけど、
小学生の頃は「4かける6は」って
突然言われてもわからないので頭の中で
最初から始めてました。
英語だってそうです。
自分がアメリカ人相手に普通に喋ってる英語の意味を
たまにカミさんに聞かれたりするんですけど、
その状況で使うとしか覚えていないので
言葉で説明できないんです。
自分は英語の先生にはなれませんね。

と言うわけで、また違った方面から
格闘技の事が見れるようになったので、
今はちょっと得した気持ちになってます。

その反面、
「オレもうちの親父と同じで
 理屈っぽくなっていくんだろーなー」
とも感じている32歳でした。


総合格闘技塾 G-スクエア
月曜、水曜、金曜の午後6時から午後8時まで。
入会金 10000円
月会費 10000円
原則として16才以上
問い合わせ 03-3280-5557 
「TOTAL WORKOUT」まで。

 

高阪剛さんへの激励や感想などを、
postman@1101.comに送ろう。

2002-10-03-THU

back
戻る