第7回:男と女の違い

阿川
男と女の根本的な違いを
生物学者の澤口俊之さんに
聞いたんですが、
女は男より順応性が高いそうなんです。
糸井
あぁ、はい、ぼくもそのようなことを
聞いたことがあります。
阿川
人間が二足歩行になって
生活をはじめたころ、
男は、女と赤ん坊のために狩りに行きます。
獲物はマンモスなどの大物で、
大きいから1人じゃ無理だというので
まず仲間を集めます。
糸井
そうですね。
阿川
で、まずはボスを決めて、
役割分担を決めて行くんですけど、
途中でたとえば大嵐になっちゃったら
計画が大幅に狂うので
一からやり直さなくてはいけないんです。
一方、女は赤ん坊と一緒に男の帰りを待ちながら
小さな狩りをはじめます。
家の前に落ちている木の実を拾い集めるんですね。
でもその狩りはアトランダムに取ればいいし、
雨が降ってきたらやめて、上がるとまたはじめる。
団体行動をしている男は、なにかが起こったら、
常に最初からやり直さないといけないから
変化に対して順応するのに時間がかかる。
一方、女はその場で柔軟に対応できる。
それは、こういう狩りの仕方の違いが
人間のオスとメスのそれぞれに
ずっと受け継がれているからなんだそうです。
糸井
ああ‥‥。
阿川
事実、そういう人がいたんです。
ご主人の会社が倒産して、
昨日まで社長夫人だった奥さんが
「あなた、こどもが3人もいるんだし
 新しい仕事探してきてよ」
と言うんだけど、ご主人はショックで動けない。
「しょうがない、私が働きに出るわよ」と言って、
奥さんが職を探しはじめたんです。
で、こどもを養うために時給のいいとこを
探さなきゃいけないとなって
たどり着いたところがランジェリーパブ。
その奥さんは、音声を変えて
スタジオ出演していたんですが、
「昨日まで社長夫人だった人が
 ランジェリーパブに勤めるということについて
 躊躇する気持ちはなかったですか」
という質問に対して、
「最初は恥ずかしかったけれど、3日で慣れました」
糸井
はぁー。なるほど。
阿川さんもランジェリーパブ、行ける?
阿川
行くと思います。
「恥ずかしい」と言いながら、
その場で「あ、こういう世界もあるのか」って。
少なくともそのランジェリーパブの
奥さんを見ていて、すごく同感したんです。
というのも、以前私『NEWS23』という
筑紫哲也さんの番組に出ていたんですが、
その番組を「辞めます」と言ったら、周囲から
「仕事がなくなるかもしれないぞ」と言われたんです。
なるほどな、たしかに私は実力もないし
親の七光りや筑紫さんの七光りで
仕事の依頼がきていたし、それは正論だと思いました。
だから、もし全部の仕事がなくなったら、
ちょっと悲しいけど、まあ、
どんなところでも、アルバイトでもいいから、
また学生時代の気分に戻って
働けばいいかと思ったんです。
糸井
よく言われる言い方で、
女性のメモリは上書きだって‥‥。
阿川
ああ、言いますね。
糸井
いまの話を聞くと、まさしく上書きです。
あと、男は違うんですよね。
男はなんだっけ‥‥。

(ほぼ日乗組員が、横から)
――「別名で保存」?
阿川
あ、別名保存。
糸井
別名保存。
阿川
それは女の子に対してってことでしょ?
糸井
恋愛だけじゃなく、
なにに対してもじゃないかな?
阿川
男の人は、必ず取っておくんですよね。
いざというときにそのファイルを
開けられるように。
糸井
まあ、開けられないように
始末する場合もありますけどね。
ただ、上書きじゃないです。
阿川
糸井さんは、過去の女の人に会いたいですか。
糸井
会いたい人もいます。あ、いけねえ(笑)。
阿川
(笑)
糸井
いや、違います。
なんだろう‥‥志半ばだった人に会いたいです。
阿川
ああ、まだ清らかな。
糸井
志半ばだったけど、
とても仲がよかったなということがあれば、
75になってでも会えたら嬉しいでしょうね。
阿川
じゃ、ちょっと調べてみたら‥‥(笑)。
糸井
いまの社会はできるんですよ、調べようと思えば。
だから、怖いんです。
阿川
怖いですよね。
糸井
いや、こういう話が阿川さんと今日、
できるとは。
伸坊だともっとこう、高笑いして
「アハハ」と言っちゃって終わりだろうなぁ。
かといって、和田誠さんとこの話をしても、
「そうかな」とか言われそう(笑)。
阿川
和田さん、純情なんだもん。
糸井
なんと言うか、
生きる若大将みたいな人ですよ(笑)。
いや、あのさわやかさはすごいですよね。
スカッとしてます。

(つづきます)

2015-02-17-TUE