- 阿川
- 男と女の根本的な違いを
生物学者の澤口俊之さんに
聞いたんですが、
女は男より順応性が高いそうなんです。
- 糸井
- あぁ、はい、ぼくもそのようなことを
聞いたことがあります。
- 阿川
- 人間が二足歩行になって
生活をはじめたころ、
男は、女と赤ん坊のために狩りに行きます。
獲物はマンモスなどの大物で、
大きいから1人じゃ無理だというので
まず仲間を集めます。
- 糸井
- そうですね。
- 阿川
- で、まずはボスを決めて、
役割分担を決めて行くんですけど、
途中でたとえば大嵐になっちゃったら
計画が大幅に狂うので
一からやり直さなくてはいけないんです。
一方、女は赤ん坊と一緒に男の帰りを待ちながら
小さな狩りをはじめます。
家の前に落ちている木の実を拾い集めるんですね。
でもその狩りはアトランダムに取ればいいし、
雨が降ってきたらやめて、上がるとまたはじめる。
団体行動をしている男は、なにかが起こったら、
常に最初からやり直さないといけないから
変化に対して順応するのに時間がかかる。
一方、女はその場で柔軟に対応できる。
それは、こういう狩りの仕方の違いが
人間のオスとメスのそれぞれに
ずっと受け継がれているからなんだそうです。
- 糸井
- ああ‥‥。
- 阿川
- 事実、そういう人がいたんです。
ご主人の会社が倒産して、
昨日まで社長夫人だった奥さんが
「あなた、こどもが3人もいるんだし
新しい仕事探してきてよ」
と言うんだけど、ご主人はショックで動けない。
「しょうがない、私が働きに出るわよ」と言って、
奥さんが職を探しはじめたんです。
で、こどもを養うために時給のいいとこを
探さなきゃいけないとなって
たどり着いたところがランジェリーパブ。
その奥さんは、音声を変えて
スタジオ出演していたんですが、
「昨日まで社長夫人だった人が
ランジェリーパブに勤めるということについて
躊躇する気持ちはなかったですか」
という質問に対して、
「最初は恥ずかしかったけれど、3日で慣れました」
- 糸井
- はぁー。なるほど。
阿川さんもランジェリーパブ、行ける?
- 阿川
- 行くと思います。
「恥ずかしい」と言いながら、
その場で「あ、こういう世界もあるのか」って。
少なくともそのランジェリーパブの
奥さんを見ていて、すごく同感したんです。
というのも、以前私『NEWS23』という
筑紫哲也さんの番組に出ていたんですが、
その番組を「辞めます」と言ったら、周囲から
「仕事がなくなるかもしれないぞ」と言われたんです。
なるほどな、たしかに私は実力もないし
親の七光りや筑紫さんの七光りで
仕事の依頼がきていたし、それは正論だと思いました。
だから、もし全部の仕事がなくなったら、
ちょっと悲しいけど、まあ、
どんなところでも、アルバイトでもいいから、
また学生時代の気分に戻って
働けばいいかと思ったんです。
- 糸井
- よく言われる言い方で、
女性のメモリは上書きだって‥‥。
- 阿川
- ああ、言いますね。
- 糸井
- いまの話を聞くと、まさしく上書きです。
あと、男は違うんですよね。
男はなんだっけ‥‥。
(ほぼ日乗組員が、横から)
――「別名で保存」?
- 阿川
- あ、別名保存。
- 糸井
- 別名保存。
- 阿川
- それは女の子に対してってことでしょ?
- 糸井
- 恋愛だけじゃなく、
なにに対してもじゃないかな?
- 阿川
- 男の人は、必ず取っておくんですよね。
いざというときにそのファイルを
開けられるように。
- 糸井
- まあ、開けられないように
始末する場合もありますけどね。
ただ、上書きじゃないです。
- 阿川
- 糸井さんは、過去の女の人に会いたいですか。
- 糸井
- 会いたい人もいます。あ、いけねえ(笑)。
- 阿川
- (笑)
- 糸井
- いや、違います。
なんだろう‥‥志半ばだった人に会いたいです。
- 阿川
- ああ、まだ清らかな。
- 糸井
- 志半ばだったけど、
とても仲がよかったなということがあれば、
75になってでも会えたら嬉しいでしょうね。
- 阿川
- じゃ、ちょっと調べてみたら‥‥(笑)。
- 糸井
- いまの社会はできるんですよ、調べようと思えば。
だから、怖いんです。
- 阿川
- 怖いですよね。
- 糸井
- いや、こういう話が阿川さんと今日、
できるとは。
伸坊だともっとこう、高笑いして
「アハハ」と言っちゃって終わりだろうなぁ。
かといって、和田誠さんとこの話をしても、
「そうかな」とか言われそう(笑)。
- 阿川
- 和田さん、純情なんだもん。
- 糸井
- なんと言うか、
生きる若大将みたいな人ですよ(笑)。
いや、あのさわやかさはすごいですよね。
スカッとしてます。
(つづきます)
2015-02-17-TUE