
アジオ |
なんてオシャレなんだ! |

アジコ |
そうね。
私の趣味とは全然違うけど、
これだけ堂々と着こなされると
センスを超えた説得力があるわ。 |

アジオ |
きっと海外で育ったんだよ。
これは来日したばかりの頃に撮った
思い出の写真なんだ。 |

アジコ |
確かに正面から見ると
後光が射しているようにも見えるあんな帽子、
日本で探すのは大変でしょうね。 |

博士 |
後ろのおじさんとはどんな関係だろうね。 |

アジオ |
親戚のおじさんと言いたいけど、
多分違うだろうな。 |

アジコ |
どうして?
私はてっきりそんな感じだと思ったけれど。 |

アジオ |
身分がちがうんだ。 |

アジコ |
身分?! |

アジオ |
彼女はお金持ちのマダムなんだよ。
あのサングラスがマダムの証拠さ。 |

アジコ |
マダムなの?
あのお祭りの露店に売ってるような
サングラスが。 |

アジオ |
マダムだとも!
それにひきかえこのおじさん、
こんなヨレヨレの甚平じゃ
とてもマダムとは釣り合わないね。 |

博士 |
階級の差が身なりに現れているというわけか。
じゃあなぜそんなふたりが一枚の写真に? |

アジオ |
おじさんのスネに絆創膏が貼ってあるよね。
あれはたぶん暴漢に襲われた彼女を
助けたときに負った名誉の負傷なのさ。
かっこいい! |

アジコ |
じゃあ、おじさんはマダムを
絶対絶命のピンチから救った
ナイト様というわけね。 |

アジオ |
へへへ、ご名答!
ほら、おじさんの腕時計に注目してよ。
あれはきっとマダムが
プレゼントしたものなんだよ。 |

アジコ |
まあ、あんなに素敵な腕時計を。 |

アジオ |
フフフ、マダムからの感謝のしるしさ。 |

博士 |
うん。
そんなロマンチックな一枚が
民家の庭先で撮られたという点も含めて、
なんとも味わい深い作品だね。 |

アジコ |
発砲スチロールのプランターに癒されるわ… |

博士 |
さあ、名残惜しいが今日の味写研究はここまでだ。
ふたりとも存分に味わってくれたかな? |


アジオ&アジコ |
はい、博士。ごちそうさまでした! |

博士 |
よし、いい返事だ。
じゃあまた来年もとっておきの味写を用意して
君たちを待ってるからね。
そうだ。君たちもお家を探してごらん。
大掃除は家に眠っている味写を発見する
絶好のチャンスだからね。
私もこれから実家に行くよ。 |

アジオ |
はあい! 博士も味写探しですか?
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博士 |
もちろん! それとお年玉の前借りを…
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アジコ |
まだ、貰ってるんですか?!
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