
アジオ |
‥‥‥結局なにがしたいんだ!
このオバサンは!! |

アジコ |
超能力でフォークを曲げたいのよ。
このオバサン超能力者なのよ。
ホラ見て、この集中力! |

アジオ |
プラスチックのフォークを?
先っぽにイチゴが刺さったままで? |

アジコ |
イチゴが刺さっていた方が注意を引くでしょ。
決定的瞬間を可愛い孫娘に
見逃して欲しくないのよ。 |

アジオ |
娘さんはカメラ目線じゃん。
フォークなんて
まったく視野に入ってないじゃないか。 |

博士 |
ひょっとしてこのオバサン、
イチゴを見るの初めてじゃないのかな? |

アジコ |
そういわれて見ればそんな表情にも見えるわね。
珍奇なる赤い果実を前にした
困惑と逡巡が伝わるわ。 |

アジオ |
よく見てよ。
もうひと口かじってるじゃないか。 |

博士 |
う~ん、じゃあギネスに挑戦中かな? |

アジオ |
どんな種目? |

博士 |
人は何時間、孫に無視されながら
食べかけのフルーツを
フォークに差したままでいられるかレース‥‥? |

アジオ |
なんでもアリかい!
逆に知りたいわ! いままでの最高タイム! |

アジコ |
なによ。
アジオ君ったら人の意見にケチつけてばっかりで。
アナタの意見はどうなのよ! |

アジオ |
最初はまさかと思って、
自分の中で否定したんだけど‥‥
たったいま確信したよ。
このオバサンの表情でね‥‥ |

博士 |
もったいぶらずに早く教えておくれ。 |

アジオ |
生まれ変わりなんだよ‥‥このオバサン。
マリーアントワネットの‥ |

アジコ |
マリーアントワネット!? |

博士 |
18世紀末のフランス王妃、
フランス革命で断頭台の露と消えた
あのマリーアントワネット!? |

アジオ |
「パンが無いなら
お菓子を食べればいいじゃない。」
マリーアントワネットのこの有名な台詞は
ご存知だよね。 |

アジコ |
もちろんよ。
ベルバラは私のバイブルですもの。 |

博士 |
当時、フランス王室の圧政に苦しんでいた市民は
パンさえろくに食べられなかったという。
しかしそんな状況を聞かされた
当のアントワネット王妃は
涼しい顔でこういったらしいね。 |

アジコ |
ならばお菓子を食べればいいじゃない。
いかに王室が民衆に無関心であったかを伝える
有名なエピソードね‥‥ってまさか! |

アジオ |
その、まさかさ。
オバサンはこのケーキに乗っかったイチゴを
ひと口食べて悟ったんだよ!
自分の前世をね‥‥ |

博士 |
前世で口走ったあの台詞が
目の前のケーキと
オーバーラップしたというわけか‥‥ |

アジコ |
だとしたらこの表情は‥‥ |

アジオ |
ボクの口から言えるような、
そんな生易しい感情じゃないよ。
ベルサイユ宮殿での華やかな宮廷生活、
そしてその後革命の名と共に押し寄せた
耐え難い悲劇‥‥激動の生涯が
走馬灯のように駆け巡っているはずさ。 |

アジコ |
可愛い孫の誕生日に‥‥
そんな! 酷い! あまりに酷すぎる! |

博士 |
しかしさすが元王妃だね!
ご覧なさい、この表情!
前世の苦渋を噛み締めながらも
全存在を賭けて受け止めようとしているよ。
己の運命をね。 |

アジオ |
そう、それに悲観ばかりじゃないハズさ。
民衆に市販のお菓子が行き届く‥‥
そんな時代に生まれ変わったことに
彼女、心の奥では感謝してるんじゃないかな? |

アジコ |
ロマンねえ‥‥
時空を超えた、これぞ歴史ロマンだわ! |

博士 |
うん。
今週はなんとロマンに満ちた
味写作品が集まったことだろう!
さあ、ふたりともちゃんとごあいさつ申されよ。 |


アジオ&アジコ |
まおまおさん、nuntaさん、
大変美味しゅうございました。
夢と勇気をありがとう! |

博士 |
うん、よろしい。
やはり味写こそが現代のお宝だったということが
これでバッチリ証明されたようだね。
さあ全国のみなさん、この夢見がちな中年に
味写という名の財宝を
思うさま送りつけてくだされ! |


アジオ&アジコ |
よろしくお願いしま~す!
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